デジタル化の進展を踏まえた顧客接点の見直し、営業が本来注力すべき経営支援への時間確保、担い手減少を見据えた持続的な支援基盤の変革――JA三井リースはこれらの課題に直面していた。それらはいずれも、単なる業務効率化やデジタル化では解決できない構造的なものであった。
本取り組みにおける難所は、大きく三つあった。第一に、農業分野特有の複雑な業務パターンとステークホルダーの多さ。第二に、営業・企画・審査・バックオフィスなど複数部門にまたがる組織横断での合意形成。そして第三に、環境変化を踏まえた価値提供モデルの再定義である。単なるシステム導入や業務改善ではなく、業務・組織・顧客接点を一体で変革する必要があった。
従来、申込・契約手続きは地域ごとの慣習や補助金制度の影響により、属人化された業務プロセスで構成され、営業担当者は申込や事務対応に追われ、本来注力すべき経営支援や提案活動に十分な時間を割けずにいた。その結果、営業も現場に寄り添った支援を十分に行えず、顧客接点の利便性と提供価値の双方に課題を抱えていた。
加えて、農業分野では人手不足や高齢化が進行し、生産者一人ひとりへの支援の質の維持・向上が重要なテーマとなっていた。そのため、利便性向上や業務効率化で創出されるリソースを、より付加価値の高い経営支援や提案活動へ再配分することが求められていた。これは単なる業務改革ではなく、農業を支える価値提供モデルそのものの見直しを伴う取り組みであった。またステークホルダーは営業だけでなく企画部門やバックオフィスにも及び、役割や重視する観点が異なる中、全体最適の視点で目指す姿を共有し、合意形成を図る必要があった。
これらが重なり合い、業務プロセスの再設計、部門横断での意思統一、価値提供の見直しを同時に進めることが、本取り組みの本質的なテーマであった。
アビームコンサルティングは、「農業を支え続けるためにどのような価値を提供すべきか」という本質的な問いに向き合い、部門横断での全体最適に向けた構想策定と実行推進を担うパートナーとして、従来の延長線上では実現できない変革を牽引すべく選定された。