NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

海外グループ各社のリース管理の統一化・標準化をSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®で推進
事例
  • 交通・運輸・物流
  • リース・クレジット
  • 財務会計/経営管理
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社(以下、NIPPON EXPRESSホールディングス)は、長期ビジョン「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向けた施策の1つとして、グループ各社の経営状況を統一的な基準で可視化する経営プラットフォームの構築を目指していた。経理業務においてはSAP S/4HANA®で構築した基幹システムをグループ会社に展開中だったが、海外グループ会社のリース管理を統一出来る仕組みがないという問題に直面していた。

そこで、アビームコンサルティングの支援のもと、まだ日本での導入実績が少なかったSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®をオセアニア拠点に先行導入し、SAP標準機能の活用によるグローバルでのリース管理の統一化を推進している。

経営/事業上の課題

  • IFRS(国際財務報告基準)決算機能の高度化
  • 海外グループ各社のリース会計情報の可視化
  • 海外グループ各社で個別運用されていたリース管理業務の統一化

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 導入事例が少なかったソリューションの活用可否を判断するため、PoC(Proof of Concept)アプローチを採用
  • アビームコンサルティングのリース業務知見とSAP S/4HANA®導入実績を踏まえた効率的なPoC推進と、NXグループ海外子会社標準リース管理の必要十分な定義
  • NXグループ海外子会社標準リース管理の"Fit to Standard"での迅速・高品質なデリバリー

支援の成果

  • 償却・償却計算・会計伝票転記の自動化による、リース管理業務の大幅な負担削減
  • SAP S/4HANA®システム内でのリース管理機能を実現することにより、外付けのパッケージ利用と比較してコストの抑制を実現
  • リース管理の業務・システムをSAP S/4HANA®の標準機能で統一することにより、業務の効率化と会計・経営管理の情報集約を実現

クライアント課題の難所

日本において導入事例が限られていることによる、SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®の業務要件適合性への不明確さ、実現性のある導入計画立案への難しさが懸念事項

リース管理は、契約条件の煩雑性や発生する契約変更の複雑性より、従来は基幹システム外でリース管理用の専用パッケージシステムを利用するか、契約件数が少ない場合は手作業で管理している会社が多かった。NIPPON EXPRESSホールディングスが統括するNXグループも例外ではなく、海外グループ各社のリース会計情報は各社のB/S、P/Lレベルでの報告把握に留まっていた。
NXグループはこれまで「Fit to Standard」のコンセプトのもと、SAP S4HANA®標準機能を最大限活用し構築した基幹システムを利用していた経緯もあり、リース管理においてもSAPの標準機能であるSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を採用することとした。日本でも2027年度からの新リース会計強制適用に向けたSAPのソリューションとしてSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®への注目度が高まっているが、NXグループでは海外グループ各社のIFRS16号対応のためにSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を選択した。
しかしながらSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®はまだ日本での導入事例が少なく、業務要件との適合性や実現性のある導入計画の立案が懸念事項として挙げられていた。
そのような中で、アビームコンサルティングは2021年からの基幹システム刷新プロジェクトの支援により、NXグループの業務に理解があること、その支援を予定通りに達成した実績があること、他クライアントにおいてSAPプロジェクトを多数手がけてきたこと、リース管理に関するシステム導入実績も豊富であることから、2023年12月からの本プロジェクトへの支援が決定した。

プロジェクトの重要成功要因

確かなリース管理知見にもとづく必要十分なスコープでの効率的なPoCと、対応方針のすり合わせを綿密に行うことによるリスク回避

SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®の導入事例が少ないため、本プロジェクトでは、PoC(Proof of Concept、概念実証)アプローチを採用した。導入対象会社の要件ベースではなく、アビームコンサルティングのリース管理に関する知見にもとづく一般的なリース管理要件をベースとして、SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®の利用可能性を効率的に検証した。
実際の検証においては、発生課題について提案型の姿勢でタイムリーにクライアントとコミュニケーションを取り、実現可能性の高い対応方針の立案を迅速に行うことでNXグループ標準のSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を用いた海外子会社リース管理業務を3か月という短期間で定義した。
また、実際の海外子会社導入においても、定義したNXグループ標準を活用する「Fit to Standard」の方針を遵守し、稼働後の障害発生件数が1桁台にとどまる、高品質での安定的な稼働を半年間の導入期間で実現した。

アビームの貢献

現場のリース管理業務負担の低減と、リース会計情報の統括会社からの可視化をコストを抑制しながら実現

本プロジェクトでは、SAPシステムの導入およびリース管理の経験と知見を持つアビームコンサルティングがプロジェクトをリード。
SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®に変更自体はアビームコンサルティング、導入に必要な他モジュールの導入は別会社が担当するという複雑な役割分担という状況下において、プロジェクト関係者との綿密な連携・調整を行い、積極的にコミュニケーションを取ることで予算とスケジュールを遵守し、満足度の高い新業務・システムの導入を実現した。
これにより、リース契約の締結・判定後、「①資産サイドの償却計算」「②負債サイドの償還計算(金利計算含む)」「③会計伝票登録」と3段階のマニュアル作業が必要とされていたところを、「①SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®への契約情報の登録」の1段階のマニュアル作業のみに削減し、リース管理の業務負担は大幅に軽減した。
NIPPON EXPRESSホールディングスとしても、B/S、P/Lレベルでの報告把握に留まっていた海外グループ各社のリース会計情報に関し、SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を導入した会社ではその根拠となる情報にまでダイレクトにアプローチできるようになり、リース会計情報の可視化を実現した。
コスト面については、SAP標準機能を活用することで、外付けのパッケージ利用と比較して抑制することに成功した。また当システムの基盤はAWS上で稼働していて、SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を含めたSAP S/4HANA®海外展開分のストレージ(Amazon EBS)を追加するのみで柔軟に対応できたため、基盤コスト観点においても抑制を実現した。
今後は先行導入を経て品質を高めたSAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®を他拠点へ展開し、IFRS決算機能の高度化に貢献していく。


NXグループ標準の基幹システム刷新は2021年より国内各社導入がスタートしました。アビームコンサルティングの皆さんには最重要・最難関である日本通運への導入を担当いただき、「On Schedule」「On Budget」「Fit to Standard」のプロジェクトテーマを遵守の上、2023年4月の稼働を完遂していただきました。
その成果をもって、SAP Contract and Lease Management for SAP S/4HANA®という新しい機能を用いた借手リース管理の基幹システムへの追加を依頼しました。PoCを実施する中で海外のリース管理ニーズが高いということが分かり、導入対象を海外子会社のIFRS16号対応としました。柔軟に対応いただき、他モジュールよりも後からの導入プロジェクトスタートにもかかわらず、他モジュールと同時稼働を迎えることができました。
アビームコンサルティングの皆さんには、今後も高難度の領域・新しい領域を中心に継続的にご支援いただければと思っています。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
経営プラットフォーム構築推進室専任部長
山口 崇幸氏

Customer Profile

会社名
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
所在地
東京都千代田区神田和泉町2番地
設立
2022年
事業内容
輸送・物流事業の日本通運株式会社をはじめとするNIPPON EXPRESS(NX)グループ会社の経営管理およびそれに付帯する業務
資本金
701億75百万円
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

2025年7月16日

  • Toshihide Otani

    大谷 俊英

    Director

Contact

相談やお問い合わせはこちらへ