トヨタグループの総合商社として自動車関連材料・パーツ・完成車のみならず、食料品や繊維等の様々な商材を扱う豊田通商。そのIT子会社として多くの業務システムの構築・運用保守を手掛ける豊通シスコム社では、豊田通商の海外現法向けの基幹SAPシステムを構築・展開・運用しているが、グローバル向けシステムならではの課題認識からアビームコンサルティングを課題解決のパートナーとして採択し、運用保守業務の改善に取り組んでいる。
トヨタグループの総合商社として自動車関連材料・パーツ・完成車のみならず、食料品や繊維等の様々な商材を扱う豊田通商。そのIT子会社として多くの業務システムの構築・運用保守を手掛ける豊通シスコム社では、豊田通商の海外現法向けの基幹SAPシステムを構築・展開・運用しているが、グローバル向けシステムならではの課題認識からアビームコンサルティングを課題解決のパートナーとして採択し、運用保守業務の改善に取り組んでいる。
経営/事業上の課題
課題解決に向けたアビームの支援概要
支援の成果
2004年から欧州現法を皮切りに10年以上に渡って各国への展開を続けている海外現地法人向けSAPシステム(WEST)の運用保守は、豊通シスコム社のリーダーシップの元、複数のSIベンダー要員から成る日本人チームによって行われていた。しかし、ロールアウトに関われるような英語力・業務知識を持つメンバーは展開プロジェクトに回され、残された運用保守チームと各国のキーユーザーの間には、次第に言語、ロケーション、時差に起因するコミュニケーション面・業務理解面での障壁が生じた。その結果、ユーザーからの問い合わせや変更要望対応に長いリードタイムが必要となり、表面的な回答しか行えないなどのサービス品質低下が発生し、ユーザー満足度が低い水準にとどまっていた。
アビームコンサルティングは2013年のWESTバージョンアップの支援から関与し、その後も機能拡張プロジェクトや欧州展開プロジェクトを遂行する中で、WESTシステムへの理解力とグローバル対応力を評価され、2015年から運用保守体制のあるべき姿の構想策定を支援することになった。
運用保守のあるべき姿の構想策定を進める中で、業務移転先国について複数の候補があがった。豊田通商のリージョナルHQがあるシンガポール、アビームコンサルティングのグローバルアウトソーシング拠点であるマレーシア・中国、そして豊田通商の大きなビジネス拠点であるタイなどである。最終的には以下の理由からタイを選択した。
1. ビジネス拠点としての重要性
豊田通商のビジネス的に最も大きい拠点であり、扱う業務が多岐に渡っている。ユーザーの近くに拠点を置くことで、業務理解が最も高まると判断した。
2. シナジーの創出
豊通シスコム社の関連会社であるToyota Tsusho Systems(Thailand)の人材を活用し、アビームコンサルティングThailandの人材と協働することで、シナジーを得られること。
運用保守業務の移管に際しては、当社独自のアビームメソッド定着運用方法論に従い、まず必要なドキュメントの棚卸と整備を行った。次に、ナレッジトランスファーを実施し、業務の理解を深めた上で、業務実施の際にはシャドーイングとリバースシャドーイングを行い、海外メンバーも訪日して直接学ぶ機会を設けた。
業務の難易度に応じて段階的に移管を進め、各フェーズでゲートチェックを行うことで、リスクを最小化しながら着実な業務移管を実現した。
タイへの運用保守業務の移管により、ユーザーとのコミュニケーションの円滑化に貢献すると同時に、運用保守に必要な情報が整理されたことで業務理解度が向上した。その結果、移管前は平均3.6点(6点満点)だったユーザー満足度が、移管後には4.0点に向上し、さらに運用の習熟が進むとともに近年では4.5点にまで向上した。特にユーザーと直接会話がしやすい豪亜極拠点においては平均5.0点を獲得している。
また開発案件のプログラムマネジメント支援においては、顧客と一体となったPMチームを組成し、現地法人との要件調整を含め、円滑な案件進行運営に貢献している。
Customer Profile
2025年3月3日
Taro Matsumoto
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