「当たり前」の積み重ねで
質を高める。 大手銀行のグローバル対応

目次

金融機関(銀行・証券、クレジットカード・ペイメント、保険、ノンバンク)や金融サービスがグローバルに抱える多様な経営課題に対し、解決策の提言から実現までを支援するIndustry Solution Strategy Unit Financial Services Business Group。金融業界特有の知見を活かしたビジネスとテクノロジーのコンサルティング機能を担い、企業変革を起点に、バリューチェーンや社会の変革を推進するコンサルティングサービスを提供しています。

松尾さんと塩多さんが携わる、大手銀行の海外拠点におけるISO20022対応プロジェクトを通じた変革・共創・成長について話します。

松尾

Industry Solution Strategy Unit
Financial Services Business Group
Manager
2015年 キャリア入社

新卒で金融機関へ入社し、資金決済に関わるバックオフィス業務を経験。グローバル規模で変革を起こせる点に惹かれアビームコンサルティングにキャリア入社。金融機関向けのシステム導入、BPRプロジェクト、法規制対応を中心に金融機関の変革を支援。特に決済領域において海外拠点へのロールアウトプロジェクトに複数参画。

塩多

Industry Solution Strategy Unit
Financial Services Business Group
Consultant
2023年 新卒入社

学生時代から「日系企業のグローバル展開支援」に関心を持ち、アビームコンサルティングを志望。入社直後より金融機関向けのシステム導入、法規制対応を中心に金融機関の変革を支援。融資領域と決済領域において海外拠点へのロールアウトプロジェクトに参画。

世界同時対応で進む、国際送金基盤の高度化

松尾

今回のプロジェクトは、大手銀行の海外拠点における国際送金の制度対応です。外国送金の基盤ネットワークであるSWIFT(国際銀行間通信協会)が、送金電文のフォーマットを国際標準であるISO20022へ移行することになり、世界中の金融機関が同一のタイミングで対応を進める、大規模かつ重要度の高い取り組みでした。

もともと私たちは、銀行の基幹システムを支援してきた経緯があり、その知見を活かして本件にも参画しました。

塩多

グローバルで一斉に進む取り組みという点で、スケールの大きさを感じますよね。

松尾

そうですね。対象はアジアを中心に10以上の海外拠点に広がっており、各拠点の業務やシステム特性を踏まえながら、全体として整合性の取れた対応を進めていく必要がありました。私はその中で、eバンキングシステムにおける顧客データ移行を担当しました。各拠点のお客さまが利用する送金情報を新フォーマットへ正確に移行するための設計・推進を担い、全拠点を横断してプロジェクトをリードしました。

プロジェクト全体では、アビームだけでも20〜30名規模、他ファームのメンバーも含めると大規模な体制で、約2年にわたり推進していました。

塩多

私はその中でBCP(事業継続計画)の領域を担当しました。国際送金は社会インフラの一部でもあるため、万が一システムに不具合が発生した場合でも、業務を継続できる体制を整備することが求められます。

松尾

金融機関にとって「止めない」ことは、非常に重要な価値ですよね。

塩多

はい。そのため、代替手段や対応フローを設計するだけでなく、実際に現場で機能するかどうかもトレーニングを通じて検証しています。システムリリースのタイミングに応じて海外拠点をグルーピングし、それらの拠点とのコミュニケーションを同時並行に進めることで、それぞれの特性を踏まえた実効性の高い体制を構築しています。

「当たり前」を積み重ね、確実に機能する基盤へ

松尾

今回、制度対応を期限内に完了させることに加え、クライアントの業務が安定的に運用される基盤の整備を重視しました。特別な施策というよりも、一つひとつの論点に丁寧に向き合い、業務として確実に機能する状態まで落とし込んだことが、結果として大きな価値につながったと感じています。

印象的だったのが、RMA(Relationship Management Application)交換に関する業務整理です。SWIFTを通じた送金に不可欠な手続きですが、今回の対応の中で役割分担の明確化が求められました。そこでクライアントとともに業務を整理し、プロセスを分解することで、各工程の責任範囲を明確化しました。関係部署と対話を重ねながら合意形成を進め、実務としてスムーズに運用できる体制へとつなげています。

塩多

BCPの領域でも、同様に実効性を高めることに注力しました。各拠点にはもともと手順書が整備されていましたが、今回の対応に合わせて内容を見直し、実際の運用を想定した形へとブラッシュアップしました。システム導入に伴う記載を加えるにあたり、既存の手順も見直し、拠点がトラブル時に実際に動ける仕組みへと整えていきました。

松尾

BCPは当初、ゴールは見えているものの、何から着手すべきかが定まっていない状態だったと思いますが、どのように進めていったのでしょうか。

塩多

先行して取り組んでいた拠点の事例を参考に、進め方やシナリオ設計のポイントを整理しました。そのうえで、担当していた拠点グループそれぞれの業務フローやシステム構成に合わせ、トレーニング計画とシナリオを一から設計していきました。結果として、各拠点がトラブル発生時にも対応できる、実効性の高い体制を構築することができました。

松尾

それぞれの領域での積み重ねが、全体としての運用品質を底上げしていると感じます。目に見えにくい部分ではありますが、こうした取り組みがクライアントの安定した業務運営を支えているのだと思います。

グローバルで広がるチームを一つにし、推進力を生み出す

塩多

こうした質の積み上げを10以上の拠点で実現していく上で重要だったことは、拠点ごとの文化や業務の違いを踏まえながら、本部が求める水準とどうつないでいくかという点でした。本部と各拠点では前提や重視するポイントが異なるため、その違いを丁寧にすり合わせていく必要があります。

松尾

グローバルならではの難しさでもあり、私たちの介在価値を発揮できるポイントでもありますよね。

塩多

そうですね。私は本部の担当者と密に連携しながら、各拠点が具体的にイメージできる形で内容を整理していきました。テンプレートやサンプルを作成し、「なぜそれが必要なのか」という背景や目的も含めて共有することで、共通認識を徐々に築いていきました。その結果、拠点ごとに主体的に取り組みが進むようになり、全体として一体感のある推進につながっていったと感じています。

松尾

本部と拠点の間をどうつなぐかが、プロジェクトを円滑に進める上で重要なテーマでした。その中で大きな役割を果たしたのが、各拠点に駐在するアビームの海外メンバーです。

塩多

現地の状況を理解しているからこそ、橋渡しができる存在ですよね。

松尾

本部の意図を現地の実情に即して伝えたり、逆に拠点側の状況を本部へフィードバックしたりと、双方向のコミュニケーションを支えてくれました。私自身も業務が集中する局面では海外メンバーに支えられる場面が多く、クライアント、本部側の私たち、そして各国の海外メンバーが一体となって推進できたことが、プロジェクトを推進する力になっていたと感じています。

塩多

こうした連携の中で、私自身の拠点への向き合い方も変わっていきました。最初は物理的にも距離もありましたが、対話を重ねる中で、同じゴールに向かうチームの一員としての意識が強くなっていきました。最終的に、トレーニングを終えた拠点の方から感謝の言葉をいただいたときは、取り組みがしっかりと現場に届いていたことを実感でき、印象に残っています。

松尾

全拠点を見ていた立場としても、同じように感じています。関係者と丁寧に向き合いながら合意を積み重ね、その結果として実務が動き、手応えとして返ってくる。その一連のプロセスこそが、この取り組みの価値だったと思います。

ロジックと度胸で、信頼を積み上げる

松尾

今回のプロジェクトを通じて、ロジックを積み上げる重要性を改めて実感しました。事実を丁寧に分解し、筋道を立てて関係者に伝えていく。その積み重ねがプロジェクトを前に進める原動力になっていました。

一方で、自分自身の変化として大きかったことは、グローバルな環境でのコミュニケーションに対する度胸です。場数を重ねる中で、言語以上に「何をどう伝えるか」が重要だと実感し、自分の言葉で主体的に発信できるようになりました。

塩多

度胸という言葉、すごく共感します。私自身も、伝わるまで粘り強く向き合い続ける力が大きく鍛えられました。グローバルの現場では、文化や言語の違いもあるからこそ、相手の理解に合わせて伝え方を工夫し続けることがより求められると感じています。

松尾

まさにそうですね。その積み重ねが信頼にもつながっていくのだと思います。

塩多

もう一つ、自分の立ち位置の変化も実感しました。BCP領域を任され、トレーニングの計画から当日の推進まで担う中で、単に支援するだけでなく、クライアントと同じ目線で前に進めていく意識が強まりました。役割を果たす中で、より主体的に関わることの重要性を実感しています。

松尾

「横に並んで進めていく」という感覚ですよね。必要な場面では一歩前に立って方向性を示す。そのバランスが、価値発揮には欠かせないと感じます。

塩多

はい、その伴走という姿勢は周囲のメンバーからも学んだ部分が大きいです。ロジックだけでなく、「クライアントにとって何が最適か」を起点に動く。その積み重ねが信頼関係をつくり、結果としてより大きな価値につながるのだと実感しました。

松尾

加えて、グローバルメンバーとの連携の力を改めて実感しました。各国のメンバーと横断的に協働することで、より柔軟かつスピーディーに物事を進められる。このネットワークはアビームの強みだと改めて感じていますし、今後も活かしていきたいです。

塩多

私自身もこの経験を通じて、よりグローバルな現場でクライアントに近い立場から価値を発揮していきたいという想いが強まりました。これからもその領域で挑戦を続けていきたいと考えています。