ロジックで描き、
熱量で動かす。 企業スポーツ変革の現場で磨かれた人の力

目次

新しい価値や体験価値の創出によりクライアントのトップラインを伸ばし、企業の成長戦略領域をリードするCustomer Value Strategy Unit。事業戦略、新規事業、顧客体験強化、営業改革、スポーツ・エンターテイメントなど様々な領域の成長戦略の策定から仕組みづくり、変革への伴走まで一貫して支援しています。

藤野さんと望月さんが携わる、企業スポーツの経営改革プロジェクトを通じた変革・共創・成長について話します。

望月

Customer Value Strategy Unit
Consultant
2020年 新卒入社

業界問わず通用するビジネススキルの習得と、自身の関心領域であるスポーツ業界への関与・貢献に繋がる最適な環境と判断し、アビームコンサルティングに入社。スポーツ業界を中心に複数のプロジェクトに参加し、中期経営計画/スポンサー/チケット/集客/CRM/アリーナ活用/新規事業PoC等のスポーツクラブにおける幅広い領域の戦略策定・実行支援を経験。ファン視点・現場視点での課題特定と周りを巻き込む実行力に定評。

藤野

Customer Value Strategy Unit
Manager
2022年 キャリア入社

商社営業として、海外商材の輸入ビジネスを担当。価格交渉から需給予測に基づく在庫管理、拡販までを一気通貫で推進。営業の枠を超えて企業課題の解決に挑みたいと考え、アビームコンサルティングへ参画。新規事業計画の策定、中期計画の策定、営業オペレーションの変革、顧客接点業務の改革、等、幅広い領域を経験。「相手が壁を作るほど、こちらから懐に飛び込む」という姿勢で現場との距離を縮め、組織全体の意識変容を牽引。

“運営”から“経営”へ
──企業スポーツの事業化に挑む

藤野

今回お話するのは、ある企業スポーツの経営改革プロジェクトです。当時のクラブは、スポンサー収益とチケット収益の双方に課題を抱え、事業としての基盤が十分に整っていませんでした。限られた予算の中で運営するという従来の発想が根強く、「投資し、価値を生み、回収する」という事業視点が、組織全体に浸透しきっていなかったのです。そこで私たちは、収益構造の立て直しと同時に、組織としての考え方そのものをアップデートすることをミッションに掲げました。私はその中で、中期計画の策定と経営管理基盤の整備を担当しました。

具体的には、スポンサー収益において、親会社の経営層から取引先企業のトップへ直接アプローチする仕組みを設計しました。従来は、企業ごとにメニュー価格を個別設定・値引きするという御用聞き型の営業が中心でした。そこから共通メニューを整備し、営業人員に依存せず拡販できるモデルへと転換を図りました。またチケット収益についても、単に無料招待で集客するのではなく、「お金を払ってでも観たい」と思っていただける体験づくりへと舵を切りました。こうした収益構造の転換を進める上で重要だったのは、戦略を描くだけでなく、実行のレベルまで落とし込むことでした。特にチケット収益の領域では、来場者とどう向き合い、どのように体験価値を高めていくかが問われます。その実行を現場でリードしたのが、望月さんです。

望月

チケット販売戦略の実行は、私が担当しました。Web広告やホームページの改修、CRM(Customer Relationship Management)を連動させた販売の仕組みを整え、認知から購入、来場までを一貫して設計することが私の役割です。

その中で常に意識していたことは、「また来たい」と思ってもらえる体験をどうつくるかという点でした。例えば、チケット購入から会場到着までの導線を見直したり、選手と触れ合える機会を増やして自然と“推し”が生まれる仕掛けを用意したりと、一度足を運んだ方がファンとなり、リピーターへとつながっていく流れを設計しました。

藤野

スポーツビジネスは、私にとって今回が初めての経験で、当初は手探りの連続でした。これまでのプロジェクトで培ってきた進め方をそのまま当てはめても、なかなかうまくいかない。スポーツの世界には独自の文化や価値観があり、それを理解した上で、関係者をどう巻き込むかを一から考える必要がありました。

試行錯誤を積み重ねながら施策を地道に続けた結果、スポンサー収益は年間1億円以上拡大し、チケットを購入したファンで会場を埋める状態を実現しました。地域やファンに愛されながら、収益を生み出すスポーツ事業体への転換が、確かな手応えとして見え始めています。

現場の力を引き出した、小さな成功体験

藤野

このプロジェクトにおける最大の変革は、「企業スポーツ」から「スポーツビジネス」へ、クラブのあり方そのものを再定義できたことです。その道のりは決して簡単ではなく、一つひとつのプロセスを丁寧に積み重ねて進めました。

プロジェクトは、クライアントの経営層からの相談をきっかけに始まりました。しかし、プロジェクト開始時点では、クラブの方々にとって、私たちアビームコンサルティング(以下、アビーム)がどのような背景で関わることになったのかが、十分に共有されていない状態でした。そうした背景もあり、「どのような視点でこのプロジェクトに関わるのか」といった期待や疑問の声が、クラブの方々からあがっていました。

望月

長年クラブを支えてきた方々は、それぞれの役割や仕事に強い誇りを持っていらっしゃいます。その想いを理解しないまま新しい施策を提案しても、なかなか本質的な議論にはなりません。だからこそ、まずはお互いを知ることが重要だと感じていました。

藤野

そこで私たちは、「私たちが支援させていただくことで選手やスタッフ、そしていずれはチームの発展につながり、事業の視点からチームの可能性を広げるために来ています。スポーツの現場については、ぜひ皆さんに教えてほしい。一緒に成果をつくっていきたい」と率直にお伝えしました。知見を一方的に持ち込むのではなく、現場の専門性と掛け合わせることこそが、このプロジェクトの価値になると考えていたからです。

望月

私は、言葉だけでなく行動でもその姿勢を示すことを意識しました。イベントの準備や当日の運営など、できることは積極的に手を動かし、クラブ側と同じ目線で現場に立つ。その積み重ねが「同じ方向を向いて挑める存在」として少しずつ受け止めていただけた要因だと思っています。

藤野

組織全体の意識に変化が表れ始めたのは、小さな成功体験からでした。例えば、コストの観点で慎重に検討されてきたWeb広告を実施した際に、広告のビジュアルを工夫することでKPIが大きく改善し、チケット売上という形で成果が見え始めたのです。望月さんはその成果を、「〇〇さんの取り組みがこの数字につながりました」と、具体的な行動と紐づけて丁寧に共有してくれていました。

こうした経験を通じて、「適切に投資し、価値を生み、次につなげる」という事業視点が、現場にも自然に根付いていったのだと思います。

試行錯誤を共にし、同じゴールを目指す

望月

このプロジェクトで大事にしていたことは、クライアントと「一つのチーム」として動くことです。立場や役割は違っても、同じゴールを目指す仲間であるという感覚を共有することを意識していました。

仕事の話だけに限らず、共通の話題を見つけたり、試合がある日はできる限り会場に足を運んだり。スポーツの現場では、試合が始まると一気に業務が立て込みます。そのリアルな忙しさを同じ空間で体感しながら変革を進めていくことで、「この人たちとなら一緒にやれる」という信頼が、少しずつ生まれていったのだと思います。

藤野

私も、「一つのチーム」という感覚は強く持っていました。立場によって異なる考えを同じ方向で、チーム活動を進めていくことに我々コンサルタントが潤滑油としての役割を持つことが大切だと考えていました。

状況によっては、私たちが実行側に回った方が前に進むこともあります。新しい施策を数多く打ち出すよりも、今取り組んでいる一つを確実に形にする。そのために何を優先すべきかを考えながら、「クライアントの成功を、自分ごととして喜べるか」を判断軸に行動していました。

望月

現場では単に結論を伝えるのではなく、「なぜそう判断したのか」という考え方も共有するようにしていました。例えば、「案内表示をどこに設置するか」という場面でも、「お客様の導線を踏まえると、〇〇という理由でこちらが自然だと思います」と理由を添える。そうしたやりとりを重ねるうちに、「こういう考え方なら、こちらの案はどうでしょうか?」と、クライアント側から提案をいただけるようになっていきました。

藤野

「有料チケットで会場を満員にする」という目標を掲げ、望月さんを中心に施策を一つずつ積み上げていきました。決して容易な目標ではありませんが、だからこそ、チームとして挑戦する価値があると感じていました。

望月

本当に、簡単ではなかったですね。スポーツは、選手のコンディションや天候など、コントロールできない要素も多い分野です。だからこそ、試合前にできることはすべてやり切ろうと考え、宣伝用の看板を持ってチラシを配るなど、細かな施策まで徹底しました。

試合当日、会場が満席になった瞬間、クライアントから「初めて見る景色です」と声をかけていただきました。自分たちの力でチケットを完売させ、会場を満席にできたことは、クラブとしても大きな成果でした。クライアントと「やりましたね」「本当に良かったですね」と声を掛け合えたのは、試行錯誤の時間を共に積み重ねてきたからこそだと思います。

私たちが考える「共創」とは、成果そのものだけでなく、こうした瞬間を共に迎え、分かち合える関係を築くことなのだと、このプロジェクトを通じて改めて実感しました。

ロジックと感情、その両輪で変革を前に進める

藤野

このプロジェクトを通じて強く実感したのは、「正しい戦略を描く」こと以上に「人の意識がどう変わっていくか」が成果を左右するということでした。

例えば、シーズン後半の目標を設定する場面です。私が想定していた以上に高い数字を、クライアントの方から「ここまで目指せるのではないか」と提案していただいたことがありました。これまでの小さな成功体験が積み重なり、「やればできる」という感覚が組織の中に根付いていった結果だと思います。「ロジックで戦略を描き、感情で人を動かす」──この両輪の重要性を、改めて学んだプロジェクトでした。

望月

チケット販売の取り組みでも、同じような変化を感じました。長年チームを支えてきた方が、「この施策は必ずやった方がいい。必要であれば私が説明します」と主体的に動いてくださったのです。その姿を見て、戦略そのもの以上に、こうして人の意識が変わっていくことこそが、変革の本質なのだと実感しました。

また、私自身にとっても学びの多いプロジェクトでした。私はもともと情熱が先に立つタイプですが、今回の経験を通じて、事前にどこまで緻密に設計できるかが成果を左右することを痛感しました。その点、藤野さんは冷静にロジックを組み立てながらも、誰よりも熱量を持って現場に向き合っていて、その姿勢を間近で学ばせてもらえたと感じています。

藤野

望月さんは、このプロジェクトを通じて大きく成長したと思います。もともとの強い情熱に、論理的な思考や設計力が加わり、現場を前に進める力が一段と高まりました。正解のない領域で試行錯誤を続けることは簡単なことではありませんが、望月さんのどんな局面でも粘り強く向き合い続ける姿勢は、アビームで価値を発揮する資質そのものだと感じています。

望月

そう言っていただけると励みになります。今後はこの経験を糧に、情熱を起点としながらもそれを最大限に活かすロジックをより高いレベルで構築できるコンサルタントを目指します。クライアントの中にある想いや可能性を引き出し、その実現に向けた道筋を、共に描ける存在でありたいと考えています。

藤野

私自身はどんな難しい局面でも、「藤野さんに任せたい」と名前で頼っていただける存在を目指しています。戦略を描く力と、人の心を動かす力。その両方を磨き続けながら、アビームが掲げる「Real Partner®」として伴走し続けたいです。