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産業とテクノロジーを融合し、企業や社会の未来価値創出を総合的に支援する未来価値創造戦略ユニット。デジタル戦略策定から新規事業構想、エコシステム形成まで、構想から実装を一気通貫で支援しています。
中村さんと坂井さんが携わる、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の新規事業創出プロジェクトを通じた変革・共創・成長について話します。
坂井
未来価値創造 戦略ユニット シニアコンサルタント
2024年 キャリア入社
中村
未来価値創造 戦略ユニット マネージャー
2016年 新卒入社
私たちは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の新規事業開発を担う部門を支援しています。クライアントは長年、自動車保険を中心とした強固なビジネスモデルを築いていますが、自動車利用人口の減少や技術革新といった社会変化を見据え、既存事業に次ぐ「新たな収益の柱」を創出することに取り組んでいました。具体的には、モビリティデータの活用や防災SaaS、再生エネルギー活用、地域活性化など保険領域外のビジネスをゼロから生み出すプロジェクトです。私はプロジェクト全体のマネジメントを担当し、個別の事業推進だけでなく、新規ビジネスの構想から事業化に向けたロードマップ策定や実証計画の設計を担当しました。
私はプロジェクトにおいて、既存で無償提供している防災SaaSの有償化を目指した戦略策定・実行支援を始め、複数案件の伴走支援を担当しています。アサイン当初から、実現意欲の高い事業アイデアが数多く動き出していました。各取り組みに大きな可能性を感じ、私自身も非常に刺激を受けました。一方で、これらの取り組みは各担当者の高い努力に支えられている状況で、組織全体として再現性を持って展開していくための仕組みにはまだ強化できる余地がありました。
事業単体の支援にとどまらない、自走型の事業創出体制を作るために、まずは一人ひとりの熱意と努力を組織全体の成果につなげるための仕組みを整えることから始めました。
特に難易度が高かった点は、各新規事業案件の継続判断の基準を経営層が投資判断できるレベルにまで具体化することでした。既存の保険事業であれば、収益性が明確な基準になります。しかし、新規事業は収益性に加え、「社会課題の解決に資するか」「保険会社ならではの資産を活かせているか」といった多面的な視点で判断する必要があります。クライアントの事業開発部門は取り扱う新規案件の幅や数が多く、一人の担当者が複数の新規案件を自律的に推進することが求められる環境です。
多くのステークホルダーに対して、新規ビジネスの構想・事業化の実現可能性と社会貢献をどう両立し、それを案件横断的に管理することができるか。私たちはクライアントと共に案件評価や進捗管理の方法を一から設計しました。
変革の第一歩として、進捗や課題を可視化する共通フレームワークの導入を提案しました。 各担当者が持つ素晴らしいアイデアと情熱を、経営層が投資判断できるロジックやファクトとして変換する必要があるからです。
このフレームワークを「事業推進のためのツール」と定義し、経営層が適切な投資判断を下すための客観的なファクトに基づき、各案件を横並びで比較して示せる状態を整えました。アイデア実現のため、経営層と同じ目線で語る材料にすることを目的とし、リーダー層との合意形成を図りました。
現場の社員の方々にはワークショップを開催し、事業の本質や社会的意義、そして将来的な成長性を見据えた視点での思考整理やアウトプットの手法を共有するだけでなく、実際に手を動かしながら一緒に案件を推進していきました。
リーダー層との合意形成と現場への実践的なサポートを重ねる中で、定例での報告内容は「作業の進捗報告」から「戦略の立案」へと変化していきました。「今週はこの仮説を検証し、次は技術的な課題を解消する」といった、次の一手を自発的に考えるサイクルが定着し始めました。
アビームコンサルティング(以下、アビーム)が提供したフレームワークの型をクライアント自身が使いこなせるようになることで、組織全体の推進力が一段階上がっていくことを実感しました。
コンサルタントの役割の一つは、組織の論理や感情のズレを丁寧に橋渡しし、「理屈を超えて人が動き出す状態」を作ることです。新規事業では、現場の熱意と経営層が求める客観性がかみ合わないこともあります。そうした場面では、第三者の視点を保ちながらも、クライアントと同じ熱量と覚悟を持って踏み込みます。
以前、あるクライアント担当者から「中村さんは、このサービスが本当に売れると思いますか?」と問われた際、私は言葉に詰まってしまったことがありました。当時の私は、デスクトップ調査やヒアリングの結果や示唆を出すことはできても、不確実性を伴う新規事業に対して「絶対に売れます」と言い切る自信は十分ではありませんでした。
どれほど精緻な調査・分析を行っても、「必ずやり遂げる」という人の想いがなければ、取り組みは絵に描いた餅のまま終わってしまいます。だからこそ、十分な調査・検討による洞察を出したうえで、一人のチームメンバーとして「不確実性はあっても挑戦する価値があります。一緒に進めましょう。」と、コンサルタントとしてのロジカルさと当事者としての覚悟をもってクライアントの背中を押すことが重要です。この“洞察と覚悟の両輪”を提供することこそ、不確実なプロジェクトを確実に前へ進める原動力になるのだと考えています。
今回のプロジェクトでは、自身の覚悟が試された局面がありました。私が担当していたプロダクトの今後の方向性を決定するフェーズです。当該プロダクトはすでにローンチ済みでしたが、さらなる付加価値創出と収益拡大が求められていました。
私は後方支援の立場として、市場分析などの客観的な事実を整理するだけでなく、「なぜこのプロダクトに取り組むのか」「どのような価値を社会や顧客に届けたいのか」というチームの想いや背景も含めて言語化し、マネジメント層への報告に臨みました。
結果として、データと想いの双方を踏まえた提案が受け止められ、経営・マネジメント層から「それなら挑戦しよう」と意思決定をいただくことができたと感じています。
理屈だけでは埋めきれない意思決定の最終局面において、判断を後押しする“最後のピース”を提示すること、そして当事者として変革に関与することの重要性を改めて実感した経験でした。
クライアントのグループ長は、部署のメンバーに向けて常々「商人になれ」とおっしゃっています。単に良いサービスを企画するだけでなく、誰にいくらで売り、どうやって利益を出し続け社会に貢献するか。商売の全プロセスに責任を持て、という教えです。
その熱量と姿勢に触れ、私たちもコンサルタントの枠を超え、「商人」としてビジネスに向き合う視座を持ちプロジェクトに臨みました。商売を成立させ利益を生むために、「どうすれば売れるか」というビジネスのリアリティの中で思考し続けること。その重要性を、クライアントと共に改めて確認しました。
その原動力を新規事業推進の仕組みに組み込み、支援後もクライアント自身で維持・成長し続けられるようにすることこそがプロジェクトの成功の鍵だと考えています。
だからこそ、人に言われた目標ではなく、クライアント自身が目標を設定するよう働きかけました。目的への理解と主体性を高めることで、事業を自ら推進できるようになるためです。
現在では、KPIの設定やマイルストーンの管理もクライアント自身で推進しています。そのための土台づくりに伴走できたこと、そしてクライアントの熱量に触れながら私たち自身も成長できたことが、このプロジェクトにおける最大の成果だと感じています。
私の今後の目標は、商売の全プロセス、つまりゼロから市場に出すまでを当事者として最後まで責任を持ってやり切ることです。国内のマーケットには技術や特許がたくさんあるのにも関わらず、ビジネスに活用しきれていないと痛感しています。けして容易ではないアイデアをビジネスに変えていくことに、アビームのコンサルタントとして注力していきたいと考えています。
コンサルタントはクライアントのビジネスを支援する立場であり、どうしても「自分で商売をしている」という感覚が薄れがちです。しかし、プロジェクトの主役であるクライアントと同じ熱量で向き合うことを忘れてはなりません。これからも、クライアントと同じ熱量で「脳に汗をかき、手も足も動かす」覚悟を持ち続けたいです。
私は、今後も様々な座組・新規事業に携わり、戦略立案から実現までを率いて見届けたいです。シンプルですが、クライアントから「いてくれてよかった」と感じてもらい、プロジェクトを離れた後もクライアントに良い影響を残し続けられるような支援を目指していきたいです。