石油化学メーカー様:サプライチェーンを横断管理するデータプラットフォーム構築と業務変革

多岐に渡る石油化学サプライチェーン情報をリアルタイムに収集するデータプラットフォーム構築と、データ活用による業務改革を支援

石油化学メーカー様:サプライチェーンを横断管理するデータプラットフォーム構築と業務変革

Customer Profile

業種     石油化学
売上規模   非開示
従業員規模  非開示

プロジェクト概要

クライアントの課題など

  • サプライチェーン全体のKPI管理体系が明示的に整理されていないこと、および報告に用いるデータのリアルタイム性が低いことで、経営層・管理者層が全社横串で示唆を得るデータ活用ができていない
  • 社員を高付加価値業務へシフトしていきたいが、定常報告用データ収集に膨大な作業時間が必要
  • 変革後業務の組織的定着化

ソリューション・知見

  • 様々な業界で蓄積されたプラント操業・保全管理等に関する業務知識
  • バックオフィス業務を管理するITシステムと、プラント操業を管理するOT(Operation Technology)システムをデータ連携する両テクノロジーの知見
  • 企業全体へ新たな仕組み・変革を定着化させるチェンジマネジメントのノウハウ

成果・効果

  • 全社標準化したKPI管理体系の下で、リアルタイムデータを活用して現場オペレーションと業績管理を連動して可視化することで、経営判断および部門関係連携のスピードアップを実現
  • プラント稼働状態や需給・会計等データの自動収集・可視化により、資料作成時間を大幅削減し、社員がコア業務へフォーカスできる時間増
  • 日々のミーティングが、ダッシュボードをベースとしたコミュニケーションへシフト。データに基づきPDCAサイクルを回し、意思決定する組織文化を醸成

Featured Points

クライアント課題の難所

各拠点・組織にサイロ化されたデータの集約化と継続的活用に向けた仕組み化

クライアントの各拠点・組織に、石油化学プラント操業・保全などのサプライチェーン管理に関する各種データが分断されていた。その結果、報告用のデータ収集・加工を手作業で対応せざるを得ない状況で、業務効率性の低下・多大な作業負荷が課題となっていた。また報告に用いる全社KPIと各拠点オペレーショナルKPIが明示的に構造化されていないことで、どの部分の現場業務改善が全社成果や他部門貢献へ繋がるか現場担当者は実感を持つことができず、経営層に対する示唆のある報告にも繋げることができないという課題を感じていた。かつてクライアントでは問題解消に向けてKPIダッシュボードを構築したことがあったが、業務プロセスやKPI構成の変更の際に、ダッシュボードを柔軟に改修できないことで業務定着化に至らず、現場ではデジタル変革に対して後ろ向きな風潮があった。

各拠点・組織にサイロ化されたデータの集約化と継続的活用に向けた仕組み化

プロジェクトの重要成功要因

データ活用ユースケースの組織的定着化、および変革を支えるデータプラットフォーム

(1)KPIツリー構成の明確化
データ上からサプライチェーン全体の業務動向・状態を正確に把握するために、全社として管理するKPIと各業務領域で管理するKPIの関係性を構造化し、領域間の繋がりを明示化することが重要。

(2)データ活用のユースケース創出
データ活用によるサプライチェーン横断の業務変革に向け、現行業務に基づく報告書を単純にダッシュボード化するだけでは不十分であり、具体的なデータ活用のユースケースが必要。

(3)サイロ化されたデータのリアルタイム収集、および業務変更に耐えうる柔軟性の高いデータプラットフォームの構築
石油化学プラントを制御・管理するOT(※)システムと、経理・販売などバックオフィス系の基幹システム・クラウドサービスのITシステムをセキュアに連携した上で、リアルタイム性の高いデータを収集するデータプラットフォームが必要。またシステム化にあたっては、業務プロセスやKPI構成の変更に耐えうるために、柔軟性の高い仕組み化が不可欠。

(4)全社を巻き込んだ変革後業務の定着化
データ活用による新たな業務プロセスを着実に根付かせるための、組織的な意識改革の取り組み。

  • ※OT (Operation Technology)・・・産業・社会インフラの設備・システムを最適に動かすための制御・運転管理技術。

アビームの貢献

データ活用ユースケース作りとシステムの実現、および組織定着化の施策をリード

(1)サプライチェーン横断のKPI構成整理
クライアントで管理していたKPIは各業務領域ごとに定義され、サプライチェーン隣接領域との関係性や、全社業績との関係性が不明瞭な部分があったため、アビームコンサルティングが各領域KPI間の繋がりを構造的に整理した。これにより、プラント操業に関する装置稼働率や保全コスト適正化などのオペレーショナルKPIが、どのように目標利益率などの全社KPI達成に影響するかを明示化できた。

(2)ユーザー中心のデータ活用ユースケース創出とダッシュボード開発
アビームコンサルティングは、現行KPIから派生する新たなデータの組み合わせや、多様なグラフ・ビジュアル表現でのデータ視覚化を、ユーザーとのワークショップ形式で繰返し試みるプロトタイプ開発型を用いて、ダッシュボード開発をリードした。本アプローチにより、ユーザー自身が実務シーンでデータを活用する意義・価値を実感しながら、データ活用のユースケース作りをユーザーと共に段階的に進めていった。

ユーザー中心のデータ活用ユースケース創出とダッシュボード開発

また、ユーザビリティテストを通じてダッシュボードのUX(ユーザビリティエクスペリエンス)向上を図り、様々な立場のユーザーが直感的に操作可能なダッシュボード化を推進。

ユーザー中心のデータ活用ユースケース創出とダッシュボード開発

(3)リアルタイムかつ柔軟性の高いデータプラットフォーム構築
様々な石油化学プラントを制御・管理するOTシステムのデータを、セキュアな連携方式でクラウド上のデータベースに一元的に収集するために、アビームコンサルティングがソリューション選定とシステム構築をリードした。さらに従来型のデータ物理統合(データ取得元よりデータをコピーしてDWHなどに集約する仕組み)ではデータのリアルタイム性確保と柔軟な拡張性に課題が生じるため、データ仮想統合ソリューションを現行システムに追加することで、データ物理統合とデータ仮想統合の強みを活かしあうハイブリッド型データプラットフォームを構築した。

リアルタイムかつ柔軟性の高いデータプラットフォーム構築

(4)データドリブン型の標準業務プロセス整理と意識変革のリード
ダッシュボードを活用して日々刻刻と変化するデータを踏まえて、どのように各KPIの担当者が意思決定・判断すべきかの標準業務プロセスをガイドラインとして整備することで、変革業務の現場定着化を推進した。
また、ダッシュボードの形骸化・データ活用による業務変革の後退を避けるために、経営層による変革ビジョンの発信をはじめ、管理者層や現場社員向けに段階的に説明を実施することで、全社意識変革・トレーニングの施策検討をリードした。加えて、データドリブン型PDCAサイクルの現場層を含む全社定着化を図る為に、ダッシュボード・新業務プロセスのトライアル運用期間を設定し、現場実状を踏まえたガイドライン内容のブラッシュアップを実施することで実務に活用可能な仕組み導入を導いた。

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