「アビームでは、他社で経験できる何倍ものスピードでよりダイナミックな変革に携わる機会があります」そう語るのは、商社・コンシューマービジネスユニットを率いる水野美歩ユニット長。
国内市場の縮小や深刻な人手不足に直面する業界で、アビームコンサルティングは従来のコンサルタントの役割を超えた「触媒」として、クライアントと共に新たな価値創造に挑んでいる。商社・コンシューマー業界における長年の支援実績と、グローバルワンストップでの支援体制を活かし、産業横断の変革を推進する展望、それを成し遂げるチームについて話を聞いた。
執行役員 プリンシパル
商社・コンシューマービジネスユニット長
水野 美歩
総合商社を経て、アビームコンサルティングへキャリア入社。商社・コンシューマー業界を中心に、製造、金融、流通など幅広い業種において、事業戦略や顧客体験(CX)を専門とし、戦略策定から施策実行までを支援。これまでの豊富なコンサルティング経験を生かし、執筆や講演活動も積極的に行っている。
商社・コンシューマービジネスユニット(以下、商社・コンシューマーBU)は、総合商社・専門商社と、食品・飲料、消費財・化粧品、流通・小売といったコンシューマー業界を担当しています。一見異なる業界ですが、一つのビジネスユニットとして連携することで、他社にはないユニークな価値を提供しています。
近年、総合商社における非資源領域への投資が加速しています。大手流通との戦略的取り組みがその象徴ですが、商社が中心となり異業種との協業や事業買収を通じてバリューチェーンの垂直統合を図る動きは、業界の事業モデルを根本から変容させつつあります。さらに、デジタル技術を梃とした新たな事業領域への進出も盛んで、業界の境界線が急速に曖昧化する中で、その垣根を超えた変革が不可欠となっています。
商社・コンシューマーBUのミッションは、総合商社が持つグローバルなネットワークや高い投資力と、製造業が持つ優れた製品開発力を融合させ、産業横断での変革を推進すること。そして、生活者への新たな価値を共創することです。
この「産業横断」というキーワードは、単なる理念ではありません。例えば、私たちが手にするコンビニの飲料や食品の背後には、海外での原材料調達から国際物流を経て、消費者の手元に届くまでの多くのプレーヤーとプロセスが存在します。昨今の自然災害や地政学的リスクの高まりを背景に、安定的な商品供給は、もはや一国の課題ではなく、グローバルでの共通課題となりました。日本においては、川上に位置する総合商社が原材料の調達を担い、製造業が価値を付加し、小売業が消費者へと届ける。このバリューチェーンにおいて、私たちは、産業間・企業間の接点をつなぎ、変革を加速する『触媒』としての役割を果たしています。
特にコンシューマー業界は、かつてないほど深刻な課題に直面しています。最大の課題は圧倒的な人手不足でしょう。製造業における就業人口は、過去30年の間に約3分の1が減少したとも言われており、この傾向は今後さらに進むことが懸念されています。さらに、調達先のグローバル化と地政学的リスクが絡み、サプライチェーンの複雑性も飛躍的に高まっている状況です。この構造的課題に対して、企業間の垣根を越えた協業、例えば共同調達・共同配送いった取り組みが広がりを見せており、業界全体で効率性と持続可能性の両立を模索する姿勢が鮮明になっています。もはや個社単独での改革には限界があり、加えて、こうした産業横断的な変革を一社が主導することも困難な状況にあります。このような環境下において、私たちは自らを「触媒」と位置づけ、クライアント企業の内部改革を支援するのみならず、競合他社や川上・川下のステークホルダーを巻き込みながら、大規模かつ持続的な変革の実現を目指しています。
現在の環境下において、アビームコンサルティング(以下アビーム)、そして商社・コンシューマーBUには、大きく二つの強みがあります。
第一に、強固なクライアント基盤と、日本を中心としたアジアマーケットへの深い理解と実績です。
商社業界においては、大手商社のクライアントとその子会社、海外含め合計200社以上と、長年にわたる支援実績があります。特に、事業投資先のバリューアップ、グループ全体でのDX推進、それらを支えるコーポレート部門の強靭化には強みがあり、クライアントからも高くご評価いただいています。
一方、コンシューマー業界においても、特に日本の食品・消費財製造業に対する支援実績を豊富に有しています。日本市場は、流通段階の複雑性、物流効率化の困難さ、そして食文化や品質への高度なこだわりといった特性が複合的に絡み合った、極めて独自性の高い構造を有しており、日本発のアビームが培ってきた経験と知見が真価を発揮する領域です。これらの市場特性を踏まえ、サステナブルなサプライチェーンの構想や、新しい顧客接点のデザインなど、グローバル競争力を高める支援を提供しています。
第二の強みは、アビームが日本に本社を構える数少ないグローバルファームであり、迅速かつ自律的な意思決定が可能な経営体制を持つことです。東南アジアでは、既に数百人規模の拠点を複数展開していますが、最近欧米やインドにおけるケイパビリティも積極的に強化しています。日本と海外が緊密に連携することで、真の意味での「ワンチーム」によるグローバル支援体制を提供しています。
例えば、総合商社が展開する海外事業会社群に対し、標準化された制度や仕組みの導入を支援するプロジェクトでは、アビームの各国拠点が国境や組織の垣根を越えて即座に連携し、知見とリソースを統合することで、クライアントに対して一貫性のある高品質な成果を提供しています。食品製造業の海外事業展開、といったプロジェクトでも、アビームの安定的な支援体制をご評価いただくことが多いです。
このような連携が可能なのは、単にグローバルに拠点を有しているからではなく、「クライアントに最大の価値を届ける」という理念が、アビーム全社に深く根付いているからにほかなりません。
従来のコンサルティングは、予め合意した期間・スコープで支援を提供し対価を得る「報酬型ビジネスモデル」が主流でした。しかし、私たちはその枠組みだけでは、真に持続的な価値創造には限界があると認識しています。
特に、デジタルを事業の中核に据えた変革や、業界構造そのものの再定義が求められるようなプロジェクトにおいては、従来型の支援にとどまらず、アビーム自身が事業の一端を担う“実行主体”として中長期で関与することで、より本質的な価値を提供できると考えています。実際に、住友商事様との共同出資によるGX(グリーントランスフォーメーション)推進を支援する新会社設立など、従来のコンサルティングの枠を超えた取り組みがすでに始動しています。
私たちがクライアントに変革を提言する以上、自らが変革を体現できていなければ、真のパートナーシップは築けません。私たちは、コンサルティングの本質を再定義するとともに、従来の“支援者”としてのコンサルティングスタイルから脱却し、事業そのものに深く関与する“共創者”としての立ち位置への転換を目指しています。
そのために、業界ごとの専門性を磨くだけでなく、視野を広げ、知の交差点を創出する取り組みにも力を注いでいます。ワークショップやアイデア創出を目的とした研修プログラムに加え、異業種をまたぐアサインメント(クロスインダストリーでの配属)も計画的に実施しています。
前職の総合商社での経験は、私にとって極めて貴重なものでした。一方で、アビームにおいては、企業がダイナミックに変革を遂げる瞬間に立ち会い、経営層に対して直接提言を行う機会が、より早いタイミングで、かつ継続的に訪れることを強く実感しています。
アビームでは、年次や肩書にとらわれることなく、クライアントのために個の可能性を最大限に引き出す文化が根付いています。私自身も、キャリア入社間もない20代の若手時代に、数多くの責任あるプロジェクトを任される機会に恵まれました。こうした挑戦的な環境の中で、短期間のうちに多様な経験を積み重ねることができたことは、私自身の成長にとって大きな意味を持つものでした。
このような環境だからこそ、私たちは高い志と強い意欲をもって新たな挑戦に臨む人材を求めています。コンサルタントとしての経験を有する方はもとより、事業会社における深い業界経験を有する方、日々課題意識を持ち自社で何らかの改革に携わっている方も広く歓迎します。特に、「会社の枠を超え、業界全体の変革に貢献したい」という強い想いをお持ちの方には、アビームという舞台でその志を存分に発揮し、我々と共に、新たな価値創造に挑んでいただきたいと思います。