戦略コンサルティング事業
金融ビジネスユニット
時代を牽引する金融を「共創」で切り拓く

デジタル通貨、AI活用、グローバル展開──激動する金融業界で、アビームコンサルティングはどのような価値を提供しているのか。40年以上にわたってリース業界向けコンサルティングではトップクラスの実績を築き、現在は銀行、保険、リース・ノンバンクまで幅広く金融領域をカバーする「金融ビジネスユニット」。その舵取りを担う星英明ユニット長に、金融業界の変化と向き合い方、そしてアビームコンサルティングならではの「共創」アプローチについて聞いた。

執行役員 プリンシパル
金融ビジネスユニット長

星 英明

新卒でアビームコンサルティングに入社後、金融業界の専門コンサルタントとして25年以上従事、新規事業立上げ支援、全社業務改革・BPR、IT戦略・IT企画立案、次世代システム構想~導入、法規制対応、組織変革などのコンサルティングで企業変革を支援。
特にリース・ノンバンク業界のクライアントに対し、数多くのプロジェクトを実践。2021年4月より、銀行・保険・リース・ノンバンク含む、金融業界全体を担当。

金融業界の変革を支える、400名の専門組織

これまでのシンプルな金融機能の提供から、マーケットイン型のサービス創造へと金融業界は今、大きな変革期を迎えています。

私たちは「時代を牽引する金融を共に創る」というパーパスを掲げ、銀行、保険、リース・ノンバンクという金融業界全体に向き合っています。

現在、戦略領域とソリューション領域を担うチームを合わせて約400名の専門人材を擁しており、これは日本のコンサルティングファームの中でも屈指の規模を誇ります。さらに、このうち約2割のメンバーが海外駐在経験を持ち、グローバルな対応力も備えています。

私たちが向き合う金融業界には「国内人口減少と企業数の減少に伴う既存ビジネスの収縮 」という構造的課題があります。各社とも、「既存金融ビジネスの成長」「既存ビジネスの周辺、あるいはその延長線上にある新たな事業領域の拡大」「社会課題解決も見据えた新たなマーケット創造」という三層構造での戦略を模索する企業が増えています。さらに規制産業でもあることから、各種法規制・レギュレーションへの対応、サイバーセキュリティ等への対策も並行して進める必要があります。

「国内市場の縮小、企業数の減少」に立ち向かえ

一口に金融業界といっても、私たちが向き合う銀行、保険、リース・ノンバンク業界では、それぞれ置かれている状況が大きく異なります。

銀行業界では、長らく続いたマイナス金利環境が終わり、ようやく金利のある世界が戻ってきました。これにより、各銀行が預貸金ビジネス回帰に向けた動きを活発化しており、特に、預金獲得については、メガバンク・地域金融機関・ネット銀行等業態の垣根を超えた獲得競争が激化しています。メガバンクやネット銀行が、AI等先端技術を活用したワンストップサービスで顧客囲い込みを進める一方、地域金融機関もデジタル化を進めながら対面営業を組み合わせることで差別化を図るなど、各金融機関とも、各々の特色を活かした戦略を展開しています。

加えて、メガバンクを中心とした大手銀行は、グローバルビジネス・グループ経営にも注力しており、オーガニック・インオーガニックの両面から戦略を展開することで、従来の銀行の枠を超えた事業への転換を積極的に進めています。

保険業界は、損害保険・生命保険共通して、国内市場の成熟化という課題に直面しています。

損害保険領域では、例えば主力の自動車保険においては、自動運転技術の発展、「所有から利用」へのシフト、若年層の車離れなど、構造的な変化への対応が急務です。 このため、各社では、事故時の保険金支払いのみならず、リスク予防・軽減まで含めたサービス提供といった新たな取り組みが進められています。

生命保険領域においても、国内人口減少等の構造的な変化に対し、介護事業・福利厚生事業といった保険外事業への拡張や、海外市場への展開が活発化しています。

リース業界ではリーマンショック以降、リース会計基準変更も影響し、従来のリース事業が一定の成長を終え、各社とも金融機能を持つ事業会社へと位置づけを変化させています。現在の収益源は、国内における不動産ビジネスや環境・エネルギー事業、及びグローバルアセットが中心ですが、リース各社は「物の接点」が多いという特徴を活かし、製造から管理、回収、処分・廃棄まで一貫したサービスを提供できる体制を整えており、サーキュラーエコノミーへの対応も注目されています。

業界特化の「伴走型変革支援」で差別化を図る

金融業界が抱える複雑な課題に対して、私たちアビームコンサルティング(以下、アビーム)の金融チームはどのような価値を提供しているのか。一言で表すなら「伴走・成果コミット型変革支援」というアプローチです。

従来のコンサルティングでは、クライアントが抱える課題に対する解決策を提案する「課題解決型」アプローチが主流でした。業界全体の動きとしても、プロジェクトが終了次第、顧客へのサポートや関係性が終了するというケースも多く見られました。

しかし、金融業界各社における企業変革テーマは、新ビジネス立上げの検討から既存事業の付加価値向上、組織・業務変革、システム刷新、規制対応等多岐に渡り、企業価値向上に向けた取り組みは長期間にわたる継続支援も必要です。さらに、変化の激しい現代では、クライアント自身も「何が課題なのか」を明確に把握できていないことも多いのが実情です。

そこで私たちは、戦略策定にとどまらず、クライアントと共にゴールセッティングから支援し、構想策定~構築・実業務運用までトータルでサポートしながら、最終的にはクライアントが自走できる状態までを作り上げるスタイルを徹底しています。また、成果にコミットするという点では、必要に応じて当社も運営面に関与しながら、当初掲げたゴールの実現まで伴走する。このようにクライアントとの『共創』によって、新たな価値創出に取り組んでいる点が特徴の一つです。

具体的な「共創」事例としては、三井住友ファイナンス&リースとのSaaSビジネス立ち上げ、東京海上ディーアールとのサプライチェーン課題解決サービスの開発、ディーカレットとのデジタル通貨事業など、単なるコンサルティングを超えた協業プロジェクトも数多く手がけていますし、現在も社会課題解決に向けた共同での取り組み・事業推進を何社かと検討を進めています。

こういったアプローチが可能なのは、アビームが掲げている「価値創出サイクル」──戦略・ソリューション・アウトソーシングの三位一体で価値を提供するという組織の在り方──に基づいているからです。戦略・ソリューション・アウトソーシングの3事業が連動し、クライアントとWin-Winな関係を築きながらも、クライアントにとって最適な組み合わせでコンサルティングを提供することを各事業のリーダーとも一体となって意識的に進めています。

特に金融業界向けのコンサルティングにおいて、私たちはまさに戦略部門を強化しながら、実行までをソリューションチーム側と連携しカバーしています。約400名の業界専門人材がいるからこそ実現できる、幅広いオファリング開発と迅速な価値提供を行えるのがアビームの金融チームにおける大きな差別化要因だと考えています。

すべてはクライアントの成功のために「チーム戦」の文化と専門性の深化

私がアビームに27年間在籍し続けている理由を問われることがありますが、アビームが持つ価値観そのものに魅力を感じているからにほかなりません。アビームには、創業以来ずっと大切にしている2つの価値観があります。

一つは「Real Partner®」。クライアントの成功を第一義に考え、その実現を通じて社会の変革へとつなげていくという価値観です。クライアントがどんな状況であっても、アビームだったらどのような価値提供できるか、クライアントにとって何が最適解なのかを最後まで考え抜き、向き合い続けることを重要視しています。

なぜならば、私たちにとっては「クライアントとの信頼関係こそが財産」だからです。困難な状況においても、最後まで伴走し続けることで築かれる信頼関係が、次のビジネスチャンスにつながると私たちは考えています。アビームでは、目先の利益よりも中長期的なクライアントへの貢献を大切にしており、こうした考え方が私たちの価値観の中核にあります。

私自身、クライアントと同じ目線に立ち、課題解決のために時には熱い想いを持って議論を重ねてきました。最終的に同じゴールを達成できた後、「アビームに頼んで良かった」と言っていただいたときには、コンサルタントとして何物にも代えがたい達成感を覚えます。

もう一つは「成長を共に培う文化」です。コンサルティング業務は、個々人のスキルや経験に大きく基づく仕事だと捉えられがちですが、市場で高い付加価値を提供できる人材を育成するためには、その成長を支える環境が欠かせません。

上司やカウンセラーによる育成環境はもちろんのこと、プロジェクトや部門を越えて個々人の成長やプロジェクトを成功に導くための意識や、時には困難に直面した際に助け合う文化などがアビームには根付いています。これらは単なる会社内の人間関係を超えて、アビームというチーム戦で課題へ臨むことそのものが個々人の成長に繋がり、そしてクライアントへの価値提供を最大化するための文化にもつながっていると感じています。

金融チームでは、この価値観によるメリットが特に発揮されています。一つのプロジェクトに銀行の規制対応に詳しいメンバー、システム構築の経験が豊富なメンバー、海外展開を支援してきたメンバーといった、それぞれの「強み」が最大限に発揮できる人材が集まり、クライアントへの高い付加価値提供を図るとともに、各々の知見を互いに理解・高め合うことで、個々人の成長にも繋がっています。一人では対応が難しい複雑な案件であっても、あらゆる領域で精通した金融専門人材がいることで、最適なチーム体制で価値を提供し、成功体験を積み上げることができます。

時代を牽引する金融を、共に創る

これからの金融業界は、従来の金融インフラとしての機能は維持し続ける一方、新しいステージにも進んでいく必要があります。金融事業者がより動的な存在になる中で、アビームは彼らと共に新しい金融の形を作り上げていく役割を担うことを使命と捉えています。それが、金融BUのパーパスである「時代を牽引する金融を共に創る」という言葉に込めた想いでもあります。

そのためには、クライアントの変革を支援する私たち自身も変革し続けなければ、真のパートナーには当然なれず、掲げているパーパスを実現することもまた難しいと考えています。金融業界に対する専門性を高めると同時に、他業界や最新テクノロジー、グローバルキャリア等、視野を広げるための活動も金融BU内で積極的に展開しており、意欲のある方には様々なチャレンジの場を提供し続けています。

金融BUは、社会インフラとしての機能を持つ金融業界に携われると同時に、他産業ともコラボレーションしながら変革の最前線に立てる面白さがあります。私たちはこの業界で、クライアントと共に「新しい金融の未来」を、さらに創り出していく使命がある。この使命に共感できる方たちと、さらなるチームを組んで臨んでいければと思っています。