ソリューションコンサルティング事業
エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット
国内ファーム有数の規模。実行支援のプロ集団

クラウド、AI、SaaSの普及により、全体最適化による企業改革のニーズが高まっている。この変化を捉え、構想策定から実行・定着まで一貫して支援するのがエンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニットだ。約2,000名の専門人材を擁し、常時300件のプロジェクトを推進しながら、5年後の売上倍増を目指す。国内屈指の組織を率いる金村浩海ユニット長に、変化する市場環境への向き合い方を聞いた。

執行役員 プリンシパル
エンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット長
兼 EX Acceleratorセクター長

金村 浩海

1999年アビームコンサルティングに新卒入社。会計・経営管理領域における業務改革を中心に、業界サプライチェーン改革、販社業務標準化などを担当。大規模な業務改革、IT導入、およびグローバルロールアウトなどを多数リードし、現職に至る。

アビームの中核を担う「実行支援のプロ集団」

アビームコンサルティング(以下、アビーム)は戦略策定から運用保守に至るまで、すべてワンストップでサービスを提供しています。この一連の流れは大きく「戦略」「ソリューション」「運用保守・アウトソーシング」の3つの事業に分けられます。その中枢を担うのがエンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニット(以下、EX BU)です。

EX BUは、現在のアビームを形作った成長ドライバーの一つであり、これまでの強みを活かしながら、さらなる専門性強化と他のビジネスユニットとの役割分担を明確化することを目的として2024年4月にEX BUが組織化されました。

業務改革やシステム改革といったプロセス改革を中心に、構想策定から実行支援、さらには提供サービスの定着化までを一貫して担当しています。全業種を対象としており、アビームが扱うソリューションのほぼすべてを私たちの部門でカバーしています。

EX BU単体で約2,000名のメンバーが在籍しており、組織は業務領域ごとに分かれています。マーケティング・セールス・サービス(CX)、サプライチェーン、財務会計・経営管理、人材・組織マネジメント、金融DX、そしてアカウントマネジメント系のセクターなど、それぞれの専門性を活かし、より複雑な課題にも対応できる体制を構築しています。

私たちの競合優位性は、「変革ストーリーをどう実現するか」「本当に成果が出るまでどう伴走するか」を重視した企画構想から実行・定着化まで一気通貫で対応できる体制と豊富なナレッジです。国内において、例えば、300人規模のプロジェクトや、3年間で100億円規模の案件を自社のみで完結できるコンサルティングファームは限られており、クライアントからもEX BUは高い評価を得ています。

テクノロジーの進化が生み出す新たな変革の機会

最近はプロジェクトの大型化が顕著に進んでいます。これまで個別最適で進めてきた企業改革を、全体最適の視点から一気通貫で変革したいというニーズが高まっているためです。

背景には、クラウド、AI、SaaSといったテクノロジーの進化があります。従来のオンプレミス環境では、各社がシステムを個別に構築していたため、メンテナンスも複雑で、部分的な改革にとどまるケースも多くありました。しかし、クラウド基盤の普及により、全社横断的な改革が技術的にも可能になりました。

特に製造業では、これまで物流、製造、計画など個別に改善を重ねてきた領域を、サプライチェーン全体として連動させながら変革したい、というニーズが増えました。部分的な改善では全体の流れが最適化されないという課題を解決するためです。

このような変化により、最近ではSaaSを適切に組み合わせながら、その間の連携部分を効率的に開発するようなアプローチが主流になってきました。クライアントの要件に応じて最適なSaaSを選定し、必要に応じてカスタマイズを行うことで、柔軟かつ最適なソリューションを提案しています。

私たちがこうした複雑な案件に対応できるのは、各業務領域に専門家を配置しているからです。それぞれの領域で有力なソリューションを常に追いかけることで、一つだけでなく複数の選択肢を持ち、クライアントの要件に応じて最適な組み合わせを提案するためです。

もちろん、私たちの仕事の進め方もテクノロジーの進化によって変化しました。AIを活用した調査・分析・資料作成が可能になったことで、コンサルタントの価値は「人間らしさ」「独創性」「言語化されていない課題の把握」「信頼関係構築」など、AIでは代替困難な領域にシフトしています。そのため、私たちはAIを積極的に活用し、クライアントより一歩先の知見を持つことで、より質の高い支援をすることが重要であり、人間だからこその価値を最大限に発揮することがこれからさらに求められると考えています。

クライアントと共に成長する「伴走型」のアプローチ

私たちが大切にしているのは「クライアントファースト」の姿勢です。私たちにとっては、クライアントの継続的な成長を共に実現していくことが、最大の使命です。アビームも営利企業として持続的に成長することが必要ですが、まずはクライアントが考えていることをどう実現するかがスタート地点です。

そのため、ご相談をいただいた際は、まず実現可能性を十分に検討した上で、クライアントと一緒に進めるかどうかを慎重に判断します。実現が困難であると判断した場合は率直にお伝えし、責任をもって支援できる案件のみ引き受けています。「最後まで伴走してやり切る」という前提があるからこそ、責任を持った提案ができます。

例えば、クライアントが理想とするゴールに対しリスクが高いと判断される場合は、段階的なアプローチを提案することもあります。一気にゴールを目指すのであれば、どのようなリスクがあり、どのような準備が必要かをしっかりとお伝えした上で、それでも進めるという判断をいただければ、全力で支援します。

蓄積された事例に基づく判断は、クライアントにも安心感と納得感を与えられると考えています。
しかし、何よりも大切なことは、担当するコンサルタントがどれだけクライアントのことを深く理解し、真摯に向き合えるかです。クライアントの状況は各社で異なるため、まずは状況を理解し、その上で最適なアプローチを考える。事例は検証のために活用するものであり、事例ありきで提案するわけではありません。

私たちは常時約300件のプロジェクトを推進していますが、ご相談いただくすべての案件をお引き受けできるわけではありません。案件選定における、私の判断基準はまずは「クライアントの期待に応えられるか」、そして「私たち自身の成長につながるか」の2点です。

既存のソリューションを活用した案件も重要ですが、より高い成長を目指すためには、新たなチャレンジが伴う案件を重視しています。

信頼関係を築ける人がコンサルタントとして成功する

私がコンサルタントに求めているのは、知識の豊富さよりも「柔軟な発想力」「情報収集力」「コミュニケーション力」「コーディネート力」「主体性」、そして「人間性」です。

これまでのコンサルティング業界では、特定の業界知識やソリューションの詳細を知っていることが重要視されていました。しかし、そういった専門性に固執する方よりも、発想が柔軟で、自ら積極的に情報を収集し、周囲とのコミュニケーションを通じてプロジェクトをコーディネートできる方の方が結果的により早く成長される傾向があると考えています。

クライアントとの信頼関係の構築においても、日々のコミュニケーションが何より大切です。顧客満足度の調査で改善点をご指摘いただくケースを分析すると、その多くは日常的な会話が不足していたことに起因していることがわかっています。プロジェクトの進行状況をお伝えするだけでなく、クライアントが潜在的に抱えている懸念や期待を察知するためには、現場での定期的なコミュニケーションが不可欠です。

この点においても、肝心なのは「自主性」だと考えています。答えがない問いに対しても自ら積極的に動き、クライアントとの会話を通じて方向性を見出していく必要があるからです。とはいえ、特別な能力が必要なのではなく、日常の人間関係で行っていることと本質的には同じです。友人と「どこかへ遊びに行く」と話すなかでも、お互いの興味や情報を探り合いながら、合意点を見つけるものですよね。そういったプロセスを、ビジネスの場でも実践しているわけです。

新卒入社でEX BUに加わる方には特に、「クライアントファースト」の意識を大切にしていただきたいと思います。自分のキャリア形成も大切ではありますが、まずはクライアントのために成長し、知識を身につけ、経験を積むこと。それが結果的に、自分自身の成長につながります。会社としても、皆さんの成長を後押しするために積極的な投資を行っています。

アビームではタレントマネジメント制度を導入しており、一人ひとりのキャリア志向や成長したい方向性について定期的に把握しています。プロジェクトのアサインメントの際にも単純なスキルマッチングではなく、本人のキャリア志向と成長機会を総合的に考慮して決定しています。多様なプロジェクトがあるため、様々な経験を積みながら、自分なりのキャリアパスを描いていただけるでしょう。自主的に成長したい、チャレンジしたいという意欲のある方には、多くの機会を提供できる環境です。

EX BUの目標は、5年後に現在の売上を2倍に成長させることです。変化の激しい時代だからこそ、本物の「実行力」が求められています。戦略を描くだけでなく、本当に成果が出るまで伴走する。この実行力こそが、私たちEX BUの存在意義であり、皆さんと一緒に磨き続けていきたい価値です。