戦略コンサルティング事業
財務戦略・構造改革 戦略ユニット
M&A×構造改革の最前線で、“変革の起点”となる

市場環境が急激に変化している現在では、企業成長のドライバーとなるM&A、そしてその効果を最大化するPMIといった、さらなる企業の成長を促進する“事業構造改革”の必要性が高まっている。これらを一貫して対応するのが財務戦略・構造改革戦略ユニット。アビームコンサルティングの各部署との連携のハブとなり、変革テーマ創出から変革実現に関するサービスの「核」でもある。事業の展望に加え、「若いからこそ全方位を経験してほしい」という独自の人材育成哲学について、ユニット長の嶋村貴史に聞いた。

執行役員 プリンシパル
財務戦略・構造改革 戦略ユニット長

嶋村 貴史

外資系総合コンサルティングファーム等を経て、アビームコンサルティングに参画。15年間戦略コンサルタントとして勤務した後、会計系コンサルティングファームにて海外対応部門のリードを務め、2022年にアビームコンサルティングへ再入社。事業戦略、ターンアラウンドから、新規事業立案支援、構想策定と幅広い企業変革・事業変革のプロジェクトを経験。特に日系企業の海外事業戦略・海外展開支援を専門として多数のプロジェクトを成功へ導く。専門業界は特に鉄鋼流通、自動車(製造業)に強みを持つ。

「戦略だけ」「実行だけ」では、もう通用しない

財務戦略・構造改革戦略ユニット(以下、財務戦略・構造改革SU)という部門名だけでは、具体的に何をしている組織なのかが分かりにくいかもしれません。端的にいえば「企業の成長戦略をインオーガニック、オーガニック両方の視点から支援すること」が私たちの役割です。

アビームコンサルティング(以下、アビーム)は、実行に強みを持つコンサルティングファームとして知られてきました。財務戦略・構造改革SUはこの強みを最大限に活かしながら、戦略の策定から変革の実現まで、文字通りに一気通貫で支援できる組織として2024年に創設されました。具体的には、Strategy &Transaction(戦略策定、M&A実行)、PMI(Post Merger Integration)、Transformation(変革実行)という三つの領域を、同じ組織、同じチームでカバーしています。

同業他社では、これらの領域は分かれていることが多いです。戦略を担う人、PMIを担う人、トランスフォーメーションを担う人と、それぞれ組織も違えば、担当するメンバーも異なります。しかし私たちは、一貫性を持って支援できる体制が、クライアントにとっての安心と成果につながると考えています。

クライアントがどのような成長戦略を描くのか、その描いた成長を達成するために何をしなければならないのかという改革テーマを描いていくことが,初めの一歩となります。その改革テーマ・実現手段の一つとしてM&Aがあるに過ぎません。我々はM&Aを提案するのではなく、あくまで成長戦略を共に考え、必要に応じてM&Aの実行も積極的に支援します。そして、もっと重要なのは、M&Aを通じて企業同士をうまく統合・分裂できるかどうか、M&Aによって期待された成果を確実に実現するところまで支援することです。これが私たちの考える「伴走型の変革支援」です。

クライアントにも「私たちは買収後のPMIだけではなく、その後に続くトランスフォーメーション、より良い会社に変革していくところまで一緒にやります」ということを強調して提案しています。そして、我々の組織がアビームの持つケイパビリティを連携させる起点となり、変革を確実に実現していく。これこそ、アビームが最も得意としている「戦略から実行まで」という本流の考え方そのものなのです。

日系企業のグローバル展開を、日本品質で支える

日系企業の多くは、日本国内だけでなく、海外にも目を向け、自らの成長を推進させています。一方で海外進出においては、独資による進出は困難、かつリスクの高い手段のため、現地ローカル企業との合弁などの施策がとられます。特に昨今では国内市場での成長に限界を感じている日系企業が、インドを始めとした東アジアや、中東といったこれまでとは異なった地域への進出が盛んになってきています。

こうしたクロスボーダー案件において、私たちの強みが発揮されます。アビームは日本をヘッドクオーターとするコンサルティングファームであり、海外案件でも各国のローカルコンサルタントだけに任せるのではなく、現地に駐在している日本人コンサルタントと連携してサービスを提供しています。つまり、日本人主導で日系企業に合った進め方でプロジェクトを運営し、品質を担保する体制を構築しています。

実は、こういった動きは、国内にある外資系コンサルティングファームと異なる点でもあります。一部のファームでは現地企業がグローバルブランドの名称を用いて事業を展開しているケースも見受けられます。同じブランド名を冠にしていても、国ごとに運営主体や体制が異なり、連携の度合いにも違いがある場合があります。

アビームでは、各拠点の連携の起点となり、駐在含めグローバルな働き方が可能であり、本当の意味でのグローバル連携ができる。これが、日系企業のグローバル展開を支援する際にも、大きな差別化要因になっています。

「専門性より広さ」—CXOと対等に話せる人材育成

財務戦略・構造改革SUでは、メンバーの育成に関して明確な方針を掲げています。それは、「若手だからこそ、全方位的な経験を積み、ビジネスの全体像を学んでもらう」という考え方です。

実際、私自身もそうだったのですが、「M&Aだけ」「戦略だけ」と専門性を求める若手は多いように思います。確かにそのほうが響きはかっこいいかもしれません。しかし、私は過去の経験から「実行・実現」を知らない戦略コンサルタントではクライアントの要望や目指す姿に応えきれないと痛感しました。

現在の経営環境では、CxOレベルと対話をする際に最も重要なのは、「深さ」ではなく「広さ」です。詳細にいえば「実行まで踏まえた知見」でしょう。ある企業のCxOとのディスカッションで海外に事業を拡大したいという話になった時、求められているのは上っ面の話ではありません。具体的にどのように事業を拡大していくのか、そしてそれをやるときに大変だったこと、何に注意して検討しなければいけないのかなど、より実現に向けた具体的な話が重要になってきます。

もう一つ重要なことは、本やネットで読んだ知識量ではなく、実際のプロジェクトで得た経験の数です。CxOクラスの方々には実体験に基づいた話でなければ響きません。「教科書的にはこうですが、実際には別の障壁がある」といった経験談こそが真の信頼関係を生みます。特にAIが普及した今、教科書的な知識なんてものはすぐに上書きされ、価値はゼロに近いものになっていきます。

財務戦略・構造改革SUでは、メンバーに広範囲な経験を積んでもらうために、頻度高く各領域の専門研修も実施しています。M&A、PMI、トランスフォーメーションそれぞれの専門性を身につけるための独自の研修プログラムです。

私がよくメンバーに期待しているのは、「皆さんが財務戦略・構造改革SUから別の部署に異動しても、アビームを卒業したとしても、どこでも通用する一流のコンサルタントに成長してもらう」ということです。これを財務戦略・構造改革SUのコアバリューとしています。

自ら仕掛け、組織を動かすー強い日本企業を支える“人と組織”

財務戦略・構造改革SUでは若手のうちから、採用活動やマーケティング活動といった社外向けの仕事にも積極的に参加してもらっています。例えば、採用サイトへの出演、セミナーでの講演、採用イベントの企画運営など、すべて若手メンバーが主導で進めています。こうした活動を通じて、自分がチームや会社を支えているという実感を持ってもらいたいと考えています。

クライアントワークだけだと、若いうちはプロジェクトメンバーの一人として作業者的な役割になりがちです。しかし社外向けの活動にも関わることで自分の企画が仕事として残り次につながる。若手でも一企画のリードとして全体設計を行うことで、やりがいにつながるということは、私自身の経験からも実感していることです。

2030年に向けて、財務戦略・構造改革SUは現在の規模から300名を超える組織への成長を目指しています。これは単なる規模拡大ではありません。私たちが目指すのは、ワンチームで現場に入り込み、多国籍企業にも勝てる強い日本企業を支える存在になるということです。この地位を確立させていくためにも、クライアントのことを理解し、人間味ある提案ができる戦略コンサルタントを育成したいと考えています。

財務戦略・構造改革SUは、時に社会インフラとしての重要性を持つほどの企業の成長戦略に携わりながら、変革の最前線にいられる面白さや、社会的インパクトも大きくダイナミズムがある領域だと思っています。ただ、その分リスクやプレッシャーのかかる領域でもあります。そのような環境で一人ひとりが自力を身に着け、プロフェッショナルとしてクライアントに貢献していくためにも、実体験に基づく真の価値提供ができる人材と働きたいです。