貿易金融のDX
~新たな価値創造に向けたアプローチ~

2023年1月31日

社会経済全体がデジタルエコノミ―へと進展する中、商流と金融機能をデジタルの力で連携させバリューチェーンを改革することにより、抜本的な顧客価値向上や生産性向上を図る取り組みへの期待が高まっている。
例えば、顧客との接点を持つ企業の商流に銀行機能をBank as a Serviceとして埋め込んで顧客に金融機能を商流と連携させてサービス提供する埋込型金融などである。
そして、こういったバリューチェーンを改革する動きは、旧来より紙やマニュアル作業に依存してきた貿易取引、そして、貿易金融においても見られ始めている。
本インサイトでは、金融を含む貿易取引の特徴を踏まえたうえで、現状の取り組み動向と貿易金融をデジタル化するための課題を概観し、銀行が取るべきアプローチにつき考察する(図1)。


図1 本インサイトのポイント

図1 本インサイトのポイント

1. 貿易金融の特徴

図2 は、信用状(以下、L/C)買取を例とした、貿易取引の流れを示した図である。これを見ても分かるように、貿易金融を含む貿易取引を完結させるためには、輸出者、輸入者だけではなく、保険会社、運送会社、銀行など、数多くのプレイヤーが関わる必要がある。加えて、国境を跨いで見えない相手との取引となるため、各プレイヤーが受け取った書類を確認・処理した後、自分にとって信頼のおける次のプレイヤーに順繰りに渡す必要があり、貿易取引とは、「多数のプレイヤーからなる壮大なリレーゲーム」と言える。

図2 壮大なリレーゲームと言える貿易取引の流れ

図2 壮大なリレーゲームと言える貿易取引の流れ

また、貿易取引では、輸出入するモノを化体した有価証券である船荷証券(Bill of Lading、以下、BL)など、原本性を求められる書類が存在するといった特徴を持っている。更に、貿易は国境を跨いだ見えない相手との取引のため、金融機関がその仲介役として与信リスクを負担するが、書類を唯一の拠り所として取引を行う性質上、書類に厳密な正確性が求められる。そのため、受け取った書類の記載内容や複数の書類間の整合性のチェックに多大な労力を要し、仮に瑕疵(以下、ディスクレ)があった場合、その修正(アメンド)に多数のプレイヤーとの調整が必要となる。また、貿易関係国・関係者が経済制裁対象ではないか、禁輸規制品ではないか、といったコンプライアンス上のチェックを銀行が担っているといった特徴も持っている。

2. 貿易金融の抱える課題

貿易金融は、上記の様な特徴を持っているため、効率化による処理時間の短縮、及び、様々な紙・マニュアル作業に依存するが故の高コスト構造からの脱却が、社会経済全体のデジタル化が進む中においてもグローバルベースでの長年の課題となってきた。

※例えば、日本とアジア間の貿易のように運送に日数が比較的かからない取引においては、荷物が既に陸揚げされているにもかかわらず、書類が届かないために、輸入業者が貨物を受け取れないといった事態も発生する。

また、世界的な地政学リスク上昇に伴う経済安保やアンチマネーローンダリング(AML)・テロ資金供与対策(CFT)の重要性増大と犯罪手口高度化を背景に、コンプライアンス観点でのリスクチェック、いわゆるTrade Based Money Launderingチェック(以下、TBML)の強化が一層求められている。例えば、検知が難しい迂回取引やシェルカンパニーの利用を見抜くことや、間接的な関係者も含めて経済制裁対象ではないかといった観点でのチェックである。また、L/C買取などは、銀行にとっての与信行為である一方、ディスクレ・偽造チェックは目検に依存するため、効率化だけではなく、チェック漏れによるリスクを低減させることも、銀行にとっては大きな課題である。

※例えば、2014年Standard Chartered Plcは青島港での偽造証券によりUS$1.75億の損失、2017年Australian bank ANZはシンガポール・韓国での偽造BLによりUS$3億の損失を被った

ちなみに、ADB(Asian Development Bank)が2021年に行った金融機関宛の調査においても、図3の通り、高コスト及びTBMLが上位の課題として挙がっている。
 

図3 貿易金融を推進するうえでの課題

図3 貿易金融を推進するうえでの課題

3. 貿易取引デジタル化の動向と課題

(1)情報技術の進歩に伴う貿易金融プロセスのデジタル化
上記のような特徴・課題を貿易取引は持っていることから、効率化や利便性向上、更には事務ミスリスク削減を図るデジタル化の試みが、20~30年前からインターネットの普及と共に行われてきた。具体的には、企業間の商取引データを標準規約の下で通信回線を介して電子的に交換するEDI(Electronic Data Interchange:電子的データ交換)を、貿易に適用することが行われた。その代表例には、1998年に国際的な銀行間決済のデファクトスタンダードであるSWIFTやコンテナ輸送の保険会社であるTT Clubが立ち上げたBolero(Bill Of Lading Electronic Registry Organization)がある。BoleroはBLなどの船積書類を電子化し、取引関係者間においてデジタルベースでのデータ共有を実現した。
しかし、このように長年に渡って進められたEDIだが、その利用は大企業の一部のプロセスに留まり、本格的な普及には至らなかった。というのも、一因として技術面を中心とした課題があったからである。例えば、取引相手がそれぞれ個別EDIを持つ場合は形式が異なるデータを統合する手間・コストが発生したり、セントラルサーバーへの取引集中による負荷対応やデータ耐改ざん性が十分と言えなかったりするといった課題である。
しかしながら、近年においては、Web技術、OCR(光学文字認識)、更には、ブロックチェーンといった情報技術が飛躍的に進歩し、その結果、様々な取り組みの萌芽が芽生え、貿易金融を含むプロセスデジタル化に向けた潮流が生まれている。その潮流のいくつかを紹介する。

潮流①:顧客(輸出入業者)との接点のペーパーレス・デジタルデータ化
業界横断での船積書類電子化が途上の中、銀行と顧客との接点においてペーパーレス化・プロセスデジタル化の動きが出てきている。
その一つは、銀行が受領した紙ベースの書類をOCRによってデジタルデータ化する取り組みである。つまり、紙で受け取った船積書類をデジタルデータ化し、システムによるディスクレの自動チェックや、後続の行内プロセスのシステム処理に繋げようとするものである。しかし、この取り組みは、企業毎に船積書類の書式が不統一で、輸出者の名称など各項目の表示位置は同じ書類種類でも企業によって異なるといった課題があり、AI・機械学習の高度化による読み取り精度の向上が期待されている。
また、並行して、大手行を中心に、銀行顧客と銀行間を電子的にやりとりするポータル(以下、トレードポータル)を導入してきている。トレードポータルは、船積書類情報をデータとして入手できる上、例えば、コルレス先から受領したL/Cの顧客宛通知の迅速な伝達を可能にするといった顧客メリットを与えることが可能となる。しかし、有価証券であるBLの権利移転といった法整備がなされていないため紙ベースでのやりとりが残存しトレードポータルを利用するインセンティブが限られるといった課題がある。

潮流②:銀行内の貿易金融プロセスデジタル化・自動化
上記の顧客接点のデジタル化の動きと並行し、RPA、BPMツール(Business Process Management)や貿易金融パッケージにより銀行内のプロセスをデジタル化する動きもある。例えば、先のトレードポータル経由で入手した取引データを、RPAを使って記帳システムに自動入力する、更には、TBMLのスクリーニングシステムに自動入力するといったマニュアル処理の削減である。また、貿易金融パッケージ、BPMツール、APIなどを用い、複数の部署やシステムを跨いで連携させるソリューションもあり、欧米行を中心に導入が進んでいる。しかし、繋ぐシステムが多い場合、システム連携コストを含めて大規模な開発となるといったことへの留意が必要である。

潮流③:コンソーシアム型貿易プラットフォームの構築・参加
先に述べたEDIの技術的な課題を克服するのが、ブロックチェーンの出現と共に大きな期待を集めるコンソーシアム型貿易プラットフォームである。貿易取引は、有価証券や契約など原本性が求められ、紙ベースで契約・書類をやり取りしながら、多くの関係者が順繰りに目で確認・処理をする「多数のプレイヤーからなる壮大なリレーゲーム」であると述べた。ブロックチェーンには、①改ざんが非常に困難、②一度記録した取引履歴は削除できない、③リアルタイムで必要な参加者との情報共有が可能といった特性があるが、こういった特性は、原本性・トレーサビリティの確保といった貿易取引の必須要件にマッチすることに加え、今までは郵送などで時間がかかっていたプロセスの迅速化といったメリットの享受を可能にする。こういったブロックチェーンと貿易の持つ特性の親和性が認識され、図4のように世界各地域において、様々な機能を持ったプラットフォームが立ち上がっている。

図4 貿易プラットフォームの例

図4 貿易プラットフォームの例

このように期待の大きい貿易プラットフォームだが、IBMと世界有数の海運・物流企業Maerskが2018年に立ち上げた「TradeLens」が2022年11月に撤退を発表したように、普及・収益化にはまだまだ以下のような課題があるのが実態である。

  • 船積書類のデジタル化に関しての法整備がなされていない。特にBLは有価証券であり物理的授受が権利移転の要件となるが、多くの国で電子BLの法的な整備が未済のため、デジタル化しても紙ベースでの授受が残る。
  • 国毎の商習慣や業界毎の取り決めなどにより求められる情報が異なる。また、通関システムなど独自の官民プラットフォームが部分的に構築されている。従って、標準化されていない現状でデジタル化をしようとすると、各国・業界仕様への対応が必要となる。
  • ユーザーから見た場合、様々な国と貿易取引をするケースも多く、また、機能の面でも物流から金融まで必要であり、地域・国、機能が色々なプラットフォームに分かれている現状では、網羅的にデジタル化のニーズを満たすには様々なプラットフォームに繋ぐ必要がある。その結果、事務システム対応などのコストがかかる。

一方、上記のような課題に対し、貿易取引のデータ標準化に向けて国際商業会議所と世界貿易機関が「Standards Toolkit for Cross-border Paperless Trade」を発行したり、本邦において商社・メーカー・銀行・物流・損保などの出資を受け2020年に設立されたトレードワルツ社がプラットフォーム「TradeWaltz」とアジア各国のプラットフォームを連携させたエコシステム構築を目指したりするなど、解決に向けた試みが進められている。

(2)貿易デジタルデータの利活用
潮流④:TBMLの高度化
貿易取引は、ディスクレやコンプライアンス視点などでのチェック、いわゆる、TBMLが重要であり、地政学リスクの増大を背景としてその重要性が増していることを述べた。一方、TBMLは、その高度化の必要性に迫られている。図5は、TBMLリスクとしての典型例であるが、迂回取引やシェルカンパニーの利用のような犯罪高度化に伴い、貿易取引当事者の問題有無をチェックするCDD (Customer Due Diligence、顧客管理)に重点を置いた従来のTBMLでは網羅的に対応しきれなくなっている。こういった犯罪高度化に対応するには、船積書類をデータ化したうえでサードパーティが提供するデータと組み合わせた機械学習を含むデータ分析が有用である。しかしながら、一部の銀行でこういった取り組みが見られるものの、多くにおいては、デジタル化視点では、未だ単純なスクリーニングに留まっているのが現状である。

図5 TBMLのレッドフラグの例

図5 TBMLのレッドフラグの例

潮流⑤:サプライチェーンファイナンスの拡大
貿易金融に係るデータ利活用の観点では、サプライチェーン上の受発注データを基に資金供与するサプライチェーンファイナンス(以下、SCF)が普及してきている。売掛金ファイナンスの調査会社BCRのWorld Supply Chain Finance Reportによれば、SCFの市場規模は1.31兆USドルであり、CAGR17.1%で成長するとしている。
一方、SCFはサプライヤー・バイヤーにとって資金繰り改善などのメリットをもたらすが、マニュアルでは顧客側・銀行側の事務負担が大きく、現時点で導入が進んでいる大企業から裾野を拡大させるにはデジタル化が欠かせない。欧米を中心とする大手銀行では、サプライヤー・バイヤー間の受発注データをWebポータル経由、あるいは顧客のシステムと銀行のシステムを直接繋いで授受し、銀行内のプロセスと自動連携させるデジタル化が進んでいる。しかし、更にSCFの裾野を拡大するには、受発注情報をデータとして提供するサプライヤー・バイヤー側や大手以外を含む金融機関のデジタル化の取組拡大が期待されている。

4. 考察 ― 金融機関に求められるアプローチ

(1)考えられる未来像
前述の通り、貿易金融は、本格的なデジタル化の黎明期にあるが、こういった中で未来像を踏まえたうえで、金融機関に求められるアプローチを考察してみたい。まず、未来像を考察するうえで、一般的に定義されているデジタル化の進化を改めて確認すると、①紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換し現行業務の効率化を図る「Digitization(デジタイゼーション)」、②デジタルデータを使いビジネスモデル全体を一新するなど、クライアントやパートナーに対してサービス品質向上を図る「Digitalization(デジタライゼーション)」、③デジタルを使ったビジネスモデル・業界構造の変革により新たな価値を創造する「Digital Transformation(DX、デジタルトランスフォメーション)」へと進化してゆくものと考えられている。
これに従い、貿易金融のデジタル化の進化を俯瞰すると、図6の通り、貿易金融プロセス自体の「デジタイゼーション」による効率化とデジタルデータ利活用によるサービス品質向上の「デジタライゼーション」が進み、更には、輸出入取引といった商流と貿易金融を合わせたバリューチェーン全体が一体的に変革する「デジタルトランスフォメーション」へと発展してゆくものと考えられる。

図6 デジタル化の進展

図6 デジタル化の進展

つまり、大手銀行を中心として、行内の貿易金融プロセスにパッケージやOCR/RPAを導入したり、顧客接点にポータルを活用したりするケースが増えてきたように、マニュアル処理をデジタル化する動き、すなわちデジタイゼーションが進む。そして、これによって紙情報のデジタルデータ化が進むとデータ利活用の観点で、近年、実施され始めた船積書類データのリスクワード自動スクリーニングといったシンプルなチェックから、AIや機械学習を使ったTBML観点での分析など高度なデータ利活用によるデジタライゼーションが普及する。更には、商流側でのデジタル化、つまりはブロックチェーンを使った貿易プラットフォームに、デジタル化された貿易金融プロセスが繋がることで、貿易プロセスのバリューチェーン全体のデジタル化が進むのではないかと考える。
また、現在の貿易プラットフォームは、地域・国や実装されている機能がそれぞれ異なるが、徐々に貿易プラットフォーム間の連携が進み、ユーザーからすると究極的には一つのプラットフォームへ参加すれば、地域・国を跨いで商流から金融に至る機能にアクセスできるようになる。そして、最終的にはブロックチェーンのプラットフォームにスマートコントラクト(契約履行管理の自動化)が実装され、契約条件に合致すれば決済まで自動的に実施されるような未来像を描くことができるだろう。
また、データ利活用という観点でも、商流と貿易金融のプロセスが一体的にデジタル化されれば、サプライチェーン上の広範な商取引データを活用し、高精度・網羅的な信用リスクの把握による新たなファイナンスや、TBML観点で今よりも広範な顧客・関係者データを使った分析・チェックが可能になる。更には、ESG観点でも、サプライチェーン全体が可視化され、物流を含む炭素排出量や、人権侵害リスクのある商品・関係者を網羅的に把握できるようになる。このように、商流と貿易金融を含む貿易バリューチェーン全体の一体的変革は多くの付加価値をもたらすと予想される。

(2)求められるアプローチ ~ 貿易金融デジタル化に向けて
一方で、貿易金融のデジタル化は、前述の通り、自行プロセスを効率化するデジタイゼーションの取り組みが徐々に開始された段階に過ぎない。また、ブロックチェーンを使った様々な機能を持つプラットフォームも世界の各地域・国で林立しているものの、本格的な普及には至っていない。この要因の一つは、効率化(プロセス迅速化メリット提供による顧客増に伴う収益増を含む)に係る投資対効果である。アビームコンサルティングでは、複数の金融機関から、デジタル化を進めるに当たっての足許の効率化効果が限定的なため、十分な投資対効果が出ず、この分野でのデジタル化投資が難しいという声も聞いてきた。確かに、輸出入業者とのやりとりから、各種チェック、資金決済までの行内の全てのプロセスを一気にシステム接続するためには多大なコストを要し、効率化効果に見合わない場合も多い(図7)。

図7 貿易金融プロセス(L/C付手形買取の例)

図7 貿易金融プロセス(L/C付手形買取の例)

しかしながら、貿易金融プロセスのデジタル化は目先の効率化だけが目的なのだろうか。
アビームコンサルティングでは、データ利活用にも、貿易金融プロセスのデジタル化の意義が大いにあると考えている。前述の通り、例えば、公正な市場価格との乖離、輸送経路がハイリスク地域に該当する、といったTBMLチェックはマニュアル・目検で行われているのが一般的である。しかし、船積書類の情報がデータ化されれば、様々な外部データやAI/機械学習の活用により、効率的に、かつ、人の目では気が付かなかった隠れたリスクチェックが可能になり、AMLや経済安保の重要性が増す中、TBMLを高度化できる。
更には、社会経済全体のデジタル化が進む中、時間がかかるとしても、電子BLの法整備や貿易プラットフォーム間の連携といった貿易取引の課題が徐々に解決されデジタル化が進展してゆくのは必至と考えるべきであろう。その場合、貿易金融のプロセスがデジタル化されていれば、商流と合わせた一体的なデジタル変革として、前述の通り、サプライチェーンの可視化などによる様々な付加価値の創出が可能となる。

上記を踏まえれば、目先の効率化だけに囚われず、大局観を持った未来像を描き、未来像からバックキャストしたうえで、中長期視点で取り組んでゆくアプローチが最も重要ではないかと考える。
そして、現時点での取り組みに係るポイントの一つは、投資に見合う足許の効率化効果が不十分であったとしても、将来的なデジタル化による価値創出に繋がる投資かどうかの見極めである。その意味で、デジタルデータの活用によって様々な価値が期待できる中、紙のプロセス(顧客との接点+行内プロセス)のデジタイゼーションは、情報のデジタルデータ化という意味において、目先の効率化効果もさることながら、将来に向けた土台として捉えるべきであろう。
そして、もう一つのポイントは、プラットフォームなど今後の発展スピードを含め、貿易取引デジタル化全体の進展状況を見極めながら、その状況に合わせたアジャイル的な判断をすることである。貿易取引のデジタル化は、先に述べた特徴があるが故に、進展に難しい面がある一方、例えば、コモディティに特化したKomgoや日本発の貿易プラットフォームTradeWaltzに日系メガ銀が近年出資したりなど、商流を含む貿易プラットフォームへの動きも活発化されつつあり、徐々にではあるが動きが加速する可能性もある。従って、未来像からバックキャストしたアプローチを取りつつ、何にいつ投資をするかのタイミングを含め環境変化を踏まえてアプローチを修正する柔軟性も必要である。

以上、貿易金融を巡る現状の動向や課題、更にはこれを踏まえての今後の未来像を概観してきた。要すれば、商流を含む貿易バリューチェーン全体の一体変革の未来像からバックキャストしたうえで、サプライチェーンを含むデータ利活用などによる様々な価値創造に向けて、足許のプロセスの効率化効果だけに囚われず、環境変化にアジャイル的に対応するアプローチの元で着実に前進させることが肝要である。

アビームコンサルティングは、貿易プラットフォームTradeWalzと協業するほか、SCFを含む貿易金融パッケージの導入による収益向上・効率化、Network Link AnalysisのようなTBMLソリューションの導入など、幅広く貿易金融のデジタル化をご支援してきている。デジタル化の未開拓地である貿易取引において、グローバルで培ったスキル・経験を基に、上記のアプローチも踏まえつつ、内外金融機関による新たな価値創造に向け、ご支援を強化していきたい。

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