社会的養護下の子どもたちに対する自立支援の好事例調査


本取り組みでは、認定NPO法人かものはしプロジェクト(以下、かものはしプロジェクト)が社会的養護下にいる子どもたちに有益な自立支援をしている団体・施設と連携していけるよう、自立支援の好事例を調査しました。
 

1. 背景・目的

家庭が安全ではない環境で育った子ども・若者たちは、進学や就労、対人関係といった課題が複合的に重なり、将来を選び取ることが難しい状況にあります。かものはしプロジェクトは、社会的養護経験者及び家庭が安全ではない状況にいる子どもたちが、セーフティネットに支えられながら自分の人生を生きることができる姿を目指したいと考えています。

その実現に向け、かものはしプロジェクトは、子どもたちに有益な自立支援をしている児童養護施設等と繋がり、施設への中間支援や政策提言を実施しています。 ただし、自立支援を実施している団体は数多く存在するため、具体的な連携対象としてどの団体や事例を選択すべきかを網羅的に調査し検討する時間を取れていない状況でした。

こうした状況を受け、アビームコンサルティングは、日本の児童養護施設およびアフターケア事業所の自立支援の好事例をピックアップし、その中でもかものはしが深掘りすべき有望な事例・団体を提示する支援を実施しました。

 

kamo_子供自立支援①

2. 体制・進め方

本取り組みは、シニアマネージャー1名管理の下、メンバー8名体制で実施しました。各メンバーは、自身のプロジェクト業務に従事しながらも隙間時間を活用し、1か月半の短期間で作業を行いました。 論点の設計や初期の仮説設定などのポイントにおいてはNPOへの知見を持つシニアスタッフのサポートを活用しながら、若手同士でプロジェクト業務の負荷を加味しながら分担して進めました。

具体的には、以下の3ステップで進めていきました。

① 「好事例」を定義する
② 好事例に該当する事例を調査する
③ どの事例/団体を深掘りすべきか、示唆を提示する
 

kamo_子供自立支援

3. 調査内容

■好事例の定義

「好事例」の定義は以下の3つに絞り、①の定義を満たしている事例について、自立支援している団体や施設などの公式サイトの確認やインターネットで事例集・論文を検索等、デスクトップリサーチを中心に調査を行いました。

① 受益者(支援を受ける子ども・若者たち)の悩みが解消されている
② 継続的に事業を実施できる仕組みが構築できている
③ 自治体で自立支援の問題が解消されている  


kamo_子供自立支援


■好事例のKSF(重要成功要因)

調査の結果36件の事例を収集し、各事例の特徴から好事例のKSF(重要成功要因)を抽出しました。

更に、36件の事例の中から、特に受益者に貢献できていること、先駆性があること、今後連携が可能と思われることの観点から特に深掘りすべき5件の事例を選択しました。


kamo_子供自立支援


 

4. 取り組みの成果

本取り組みでは、当社のスキルを活かした調査・選定を実施し、今後のかものはしプロジェクト日本事業において、有益な自立支援を行う団体・施設と繋がり、それらの団体への中間支援や政策提言を行うための好事例のピックアップおよび深堀対象事例/団体を提示しました。

実施にあたり、デスクトップリサーチ・社内外の繋がりを活かしたリサーチを行い、最終的に俯瞰調査事例36件をピックアップし、その中から「受益者への貢献度」「先駆性」「連携実現性」の3軸に沿った選定を実施の上、5件の深堀対象事例/団体の提供に至りました。 これにより連携候補先が絞られ、連携先を選択いただける状況が実現されました。

結果として、有益な団体・施設への中間支援や政策提言の実施に向けた重要な第一歩を踏み出すことができました。 今後もかものはしプロジェクトに寄り添った取り組みを継続し、一同尽力して参ります。

5. STAFF VOICE

今回初めて、サステナビリティ活動に参画しました。
リサーチから選定を通して、最終的な中間支援や政策提言の実施に向けた深堀対象事例の提示に漕ぎつけました。
最終報告の場でお客様に喜んでいただけたこと、何より嬉しく思います。 本取り組みが、今後のかものはしプロジェクトの日本事業の一助となりましたら幸いです。 これからも継続してより多くの活動に携わることができればと思います。
 

デジタルプロセスビジネスユニット
アナリスト
碓井 日茄乃

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