インターン生増加に向けた体験価値可視化および施策立案


本企画では、 認定NPO法人かものはしプロジェクト様(以下かものはし)が実施する「学生インターン」に対して応募者を増やすため、インターン生の応募~実務にあたるまでの体験価値の可視化および施策立案を実施しました。

本取組により、インターンを通して学生が得られる価値や学生が持つ課題 を可視化し、かものはしがより多くの学生とより長く相互に価値ある関係構築を行うための、仕組みづくりにつなげる要素を明らかにすることができました。

1. 背景・目的

かものはしには、当団体を支えるサポーター会員の属性やその傾向  の変化を年々感じる中で、これからの社会を変えていくためにも、将来社会を担う若年層との関与を強めていきたいという団体の意向がありました。同時に、学生インターンの応募が少なくかものはしの団体として  のリソースも不足していたことから、学生インターンという形でかものはしに関与する若年層を増やすために取り組むべき施策を明らかにすることとしました。

2. 体制・進め方

2022年に実施した本プロジェクトは、約4か月間で分析の実施と施策の提案まで、4名体制で進めて参りました。  

さらに、CX  (カスタマーエクスペリエンス=顧客体験価値)知見を持ちNPOとの協業経験も長いシニアマネージャーがアドバイザーとして関与することにより、プロジェクト品質を保ちつつ団体との連携も効率的に行える体制を組みました。
 

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3. アプローチ


今回の取組では、若年層の関わり方の中でも、直近かものはし において採用の課題を抱えていたインターン生の増加に向け、デプスインタビューを通してターゲット像やプロセス・障壁の可視化を行い施策の洗い出し・選定を実施しました。


<顧客理解> 
現役インターン生と元インターン生、さらにインターン説明会に参加したものの関与まで至らなかった学生7人を対象にデプスインタビューを実施しました。

予め仮説を設定しインタビューを追うごとに仮説を検証・アッデートするサイクルを繰り返すことで、後続のターゲティング・ジャーニー策定のためのインプットを収集しました。
 

<狙う若者像の具体化> 
前段のインタビューの結果から、インターンに応募しうるターゲット層を、「社会貢献に強い熱意を持つ若者」と「自己成長を求める  若者」の2つに設定し、両ターゲットの特徴を明らかにしました。これまで社会課題に興味の強い学生のみが応募していると予想していましたが、「何か新しい経験をしたい」「社会に出る前に働く経験を積みたい」「ベンチャー企業でのインターンと差別化できるようなインターンをしたい」という自己成長を求める層が一定数存在することを発見しました。

さらに、各ターゲットの興味関心はどんな分野や仕事にあり、またインターンを通して何を得たいと考えているか、という属性・志向を具体化していきました。

<応募に至る意思決定プロセスの明確化> 
各ターゲットがインターン参加に至るまでにどのように情報を入手し、何が応募の意思決定要因になるのか、またそれらのプロセスにおいてつまずく 要因(障壁)、さらにインターンを継続する上での課題や乗り越える要素をカスタマージャーニーとして整理しました。

結果として、「社会課題に熱意がある」層は、類似した社会課題テーマに関わる中でかものはしを認知し、安心感と実現性から関与に踏み切るジャーニーをたどり、「自己成長を狙う」層は、営利企業ではなくNPOという観点で人とは異なる経験を目的にインターン情報に行きつき、自己成長の可能性を感じることで関与に踏み切るジャーニーを辿ることが明らかになりました。

<施策の洗い出しと選定> 
障壁を乗り越えるための施策として、ターゲットの特性に合わせた情報プラットフォームへの露出方法や、ターゲットに響く具体な掲載情報を整理し、特に効果が見込まれる施策については、すぐにアクションにつなげやすいよう具体な実施方法の提案も併せて行いました。

4. アビームとしての提供価値

本支援では、当社コンサルタントが日々の業務で培ったスキルや経験を活かし、これまで不明確であった「学生がNPOのインターンに求めるニーズ」と「かものはしが提供できる価値」、そして学生が応募に踏み切るまでの思考・行動プロセスを明らかにし、インターン応募者を増やすための具体な取組を提示しました。  結果、適切なプラットフォームへの募集情報掲載や学生の生活に柔軟に対応できるライトコースの新設などを行い、実際に応募数・採用数ともに増加するインパクトが出ています。 

プロジェクト初期に行う論点設計スキル、そこに紐づく仮説の構築スキル、仮説を検証するためのインタビューで本質を聞き出すヒアリングスキル、出てきた結果を整理するための構造化スキル、そしてプロジェクト全体  を効率よく進め品質を担保するためのNPO業界の慣習・CX知見など、各フェーズにおいて様々なコンサルティングスキルや知見を活かしています。
結果として、今後のかものはし における「将来を担う若年層関与者の拡大」と「事業を支えるリソース不足の解消」に向け、具体なアクションに移れる段階へ前進することができました。  


 

かものはし サンプル

 

5. STAFF VOICE

私たちコンサルタントの日々の業務の積み重ねで得たスキルや経験を、今回のようなプロボノ活動に活かすことができ嬉しく思っています。また、本支援を通じて日々の業務に活かせる経験もさせていただいたと思っています。これからもコンサルタントとしてのスキルや経験を活かし社会に還元できるよう日々精進していきたいです。

EX-DP&Innovation-HCM
コンサルタント
須山裕加

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