かものはしプロジェクト 業務可視化支援

 

業務可視化支援では、認定NPO法人かものはしプロジェクト(以下かものはし)に対して、会員オペレーション業務の業務可視化を実施しました。​​​

1. 背景・目的

2020年度に実施した本プロジェクトの目的は、かものはしの会員オペレーション業務におけるクレジットカードでの会員会費請求業務を標準化することで、属人化の緩和を図ることでした。

サポーター会員(一定期間継続的にかものはしへ寄付を行う会員)による会費・寄付は、かものはしの収入源の多くを占めており、そしてそのサポーター会員の大半が、クレジットカードでの支払いをしています。

しかし、クレジットカードでの会費請求業務は非常に複雑でマニュアルも不十分なため、現在の担当者以外が業務にあたることが困難な状況でした。そこで、こうした属人化の状況を緩和させ、他の職員の方々でも業務が遂行できるようにしたいとご相談いただきました。

このような背景を受け、アビームコンサルティングは以下の2点をゴールにプロジェクトを実施することになりました。

  • 会費請求業務における現状の業務フローが可視化され、作業のためのマニュアルが完成していること。
  • 会費請求業務をより効率的に行うための改善点が洗い出されていること

2. 体制・進め方

​本プロジェクトはマネージャー1名、コンサルタント3名、アナリスト2名の体制で実施しました。

BPR(Business Process ReEngineering:業務変革)の知見を持つマネージャーが参画することでアウトプット品質を担保しながら、手を動かす作業は若手が担うことで、効率的にプロジェクトを推進しました。また、若手が中心に進めることで普段のプロジェクトよりもより広い業務領域をそれぞれ担うことができ、成長に繋がりました。さらに、NPOとの協業経験が長いマネージャーもアドバイザーとして参画することで、かものはしとの連携をスムーズに進めました。

全体の実施期間は3か月間で、メンバーは通常の営利企業をクライアントとするプロジェクトに参画しつつ、その隙間時間を活用する形で本プロジェクトに取り組んでいます。限られた時間の中で期待値を超えるアウトプットを出すために、「社内のBPRアセットや業界知見を利用した筋良い仮説の構築→ヒアリングでの仮説の検証」を数回繰り返すことにより、成果物の解像度を効率的に上げていくスケジュールを組みました。

実施スケジュール
実施スケジュール

3. アプローチ

本プロジェクトでは大きく、業務の前提や全体像を整理したうえで、会費請求業務と未納者*対応業務の2業務に分けてフロー・マニュアルを作成し、並行して改善点の洗い出しを行いました。

(*未納者・・・カード情報の変更や有効期限切等が原因で会費請求できなかった会員。対象者にはカード情報の更新をメールまたは手紙で依頼する。)
 

<全体像の整理>

各業務(会費請求業務と未納者対応業務)の詳細な可視化に入る前に、請求業務を理解する上での前提事項や業務全体を大掴みでまとめた資料を用意しました。

かものはしでは、カードの有効性を確認することから請求・入金確認まで2か月にわたる作業を1サイクルで実施しています。既存の業務マニュアルでは1か月単位で記載が分かれており、各作業が全体の流れの中でどこに位置付けられるか分かりにくいことがひとつの課題でした。

はじめに業務の流れを仮説立て大枠を掴むことで、その後の業務フロー・業務マニュアル作成のためのヒアリングを効率的かつ精度を保ちながら実施することに繋がりました。
当初はかものはし側とアビーム側での認識合わせを目的に作成したものでしたが、結果として業務未経験者にとって個別の業務の位置付けや意味を理解することの一助となるような価値ある資料となりました。
 

<業務フロー・マニュアル作成>

社内でアセットとして持つBPRの業務フローフォーマットを活用し、かものはしの既存の業務マニュアルから得た情報から仮の業務フローを作成しました。更に作業の内容やタイミングについて不明点を洗い出し、ヒアリングにて情報収集をした上で修正する作業を繰り返しました。既存マニュアルに記載されている流れをそのまま業務フローにするのではなく、実態と乖離している部分はヒアリングを通して明らかにし、改めて最適な作業の実施タイミングを整理し、それを基にマニュアルを作成しました。
 

<改善点の洗い出し>

業務フローにおける改善点を「リスク」、「属人化」、「非効率化」、「形骸化」の4つの観点で洗い出し整理しました。

「非効率」の課題の一例を挙げると、各会員の請求情報はExcel上で管理されている一方で、基本の会費情報は顧客管理ソリューションに蓄積されているため、両者のデータを照合する作業が毎月必要になり、作業が非常に煩雑でした。

このような課題について、次フェーズ以降で解決を目指せるよう整理しました。 

成果物一覧(抜粋)
成果物一覧(抜粋)

 

4. アビームとしての提供価値

本取り組みでは、コンサルタントとしての経験を生かした仮説の構築スキルや物事を整理する論理的思考力を発揮することで、可能な限り効率的なヒアリングを実施し、さらに社内で積み上げてきたBPRのアセットを活用することで、効率的かつ高精度なアウトプットの作成を目指してきました。また、体制面でも、BPRやNPOに知見のあるマネージャーと作業を担う若手のメンバーをバランス良く構成した人員配置とすることで、限られた時間の中で品質を保ちながらプロジェクトを推進することができました。

結果として、お客様である、かものはしの皆様からも「依頼して本当に良かった」という大変ありがたいお言葉をいただくことができました。

弊社では、日々培ったスキル・知見を活用しながら、NPOのお客様に対しても他のお客様と同様の品質でのサービス提供を実施します。

5. アビーム側参画メンバーコメント

CSR活動においてもクオリティを意識することの大切さを実感しました。

今までCSRの活動に色々と携わってきましたが、今回初めて支援先団体への報告の場に出席しました。

自分たちの成果物をみて喜んでいただいた姿をみることができ、とても嬉しかったです。モチベーションに繋がったのはもちろんのこと、CSR活動は本業のコンサルティング業務の忙しさに左右されやすいですが、その中でもクオリティを意識することの大切さを改めて実感しました。

デジタルテクノロジービジネスユニット
兼サステナビリティユニット
コンサルタント 川﨑 真実

 

1年目にCSR活動に参加したのは良い選択だったと思います。

初めてのCSR活動としてかものはしの業務可視化プロジェクトに参加させていただきました。

まだ1年目ということもあって、本業のコンサルティング業務以外に手を広げてしまうとやりすぎなのでは…という不安もありましたが、その時その時の忙しさに応じて仕事を振って頂けたので、何とか両立できたと思います。

僕はあまりバイタリティのある方ではないので、本業で手いっぱいになってしまうと目の前のことをこなすことに心身のリソースのほとんどが割かれてしまいます。活動を通して、アビーム社内や社会全体でどのような活動がどのようなモチベーションで行われているのか肌で感じることで、前のめりになりすぎた気持ちをニュートラルに戻して視野を広く持つのに一役買ってくれました。

1年目にCSR活動に参加したのは良い選択だったと思います。今後も継続してCSR活動に取り組みたいと思います。

デジタルテクノロジービジネスユニット
コンサルタント 遠田 航平

 

今後もスキルを身につけてお客様や社会に貢献したいです。

初めてのCSR活動がこの業務可視化プロジェクトでした。

自分にできることがあるのか不安な気持ちはありましたが、先輩方のサポートのおかげで大きな達成感とともにプロジェクトを終えることができました。このプロジェクトに参加してよかったと思う一番の点は、社内にロールモデルとなる先輩を見つけられたことです。2,3年目の若手の先輩方がかものはしの信頼を得ながらプロジェクトを進めていく姿を目の当たりにし、私もこのようなスキルを身につけてお客様や社会に貢献したいと感じました。

デジタルテクノロジービジネスユニット
コンサルタント 三浦 彩華

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