かものはしプロジェクト サポーター会員分析支援

 


サポーター会員とのコミュニケーション強化に向けた分析支援


認定NPO法人かものはしプロジェクト(以下かものはしプロジェクト)では、問題解決に向けた仲間としてサポーター会員(一定期間継続的にかものはしプロジェクトへ寄付を行う会員)とのコミュニケーションを非常に重視しています。そのためサポーター会員の実態を把握することは団体を運営する上で重要なポイントとなっており、アビームコンサルティングはその会員に関する各種分析をプロボノとして支援しています。具体的には、「様々な観点からのサポーター会員の現状の把握」と「継続的・効率的な分析の実現に向けた改善点の整理」を目的として、会員データの分析を通じた仮説検証を定期的に行っています。
「客観的事実を基に仮説検証を通じて答えを導いていく」というコンサルタントとしてのスキルを活用することで、サポーター会員の現状を明らかにし、より効果的なコミュニケーションの実現に貢献することができました。今後も必要に応じて分析を継続し、ご協力できればと考えています。

 

1. 背景・目的

現在、サポーター会員による会費・寄付は、かものはしプロジェクトの活動資金の多くを占めています。そのため、サポーター会員の属性や退会理由等の情報を分析し、分析から明らかになる客観的事実を基にサポーター会員と長く良好な関係構築を実現するための施策を検討・実行することが重要です。しかし、団体内では日々多くの業務を抱える中で、リソース不足等によりサポーター会員の分析を十分に行うことは困難であったため、当社コンサルタントのコンサルティングスキルを活かし、サポーター会員の情報分析および課題の整理をご支援させていただきました。

2. 体制・進め方

2020年に実施した本支援においては、約3か月間でサポーター会員の情報分析および分析結果整理まで対応いたしました。
また、本支援はManager1名の管理の下、10名近いスタッフがそれぞれプロジェクト業務に従事しながらも、隙間時間を活用することで進めて参りました。

 

3. 分析内容

直近5年間のサポーター会員を対象に、かものはしプロジェクトからご要望のあった項目について各種分析を実施しました。具体的には、サポーター会員の「基本情報」「退会情報」「アップグレード情報」「LTV※1」に関する分析を設定した仮説を検証する形で行いました。 

 

4. 分析手法

①LTVの算出
本分析におけるLTV(Life Time Value)とは、あるサポーター会員が一生のうちに、かものはしプロジェクトに対してもたらす会費・寄付の額面(円)を表す値です。これにより、サポーター会員が入会してから退会するまでの間の寄付額を知ることができます。
一般的にNPOにおけるマンスリー会員のLTV算出ロジックの通説がない中で、統計などに関する社内知見者の協力のもと、専門的知見に基づきつつも実務で継続的に活用できる現実的なLTV算出ロジックを策定しました。

②退会理由の分析
退会時のアンケート内容を基に、サポーター会員の退会理由について「生活環境の変化」等で分類し、退会理由別構成比を算出しました。また、これらの退会理由の具体的な内容については、自由回答形式でデータを得ていたため、7,000件以上の回答内容をテキストマイニングツール等用いながら精査しました。

③属性別平均口数の算出
サポーター会員の「年代」「性別」ごとに、会費口数別の人数を算出しました。算出結果のグラフ化にあたっては、2次元の積み上げグラフによりシェアの大きさを面積で表す「マリメッコチャート」というグラフを用いて、サポーター会員の属性ごとの会費口数別人数をチャート化し、平均会費の傾向を示しました。コンサルタントとして日々市場分析などに携わる中で得た知見・経験を活かして、かものはしプロジェクトがより今後の施策検討を行いやすい形で分析結果を可視化しました。

 

5. 支援の成果

本取り組みでは、当社コンサルタントが日々の業務で培ってきたスキルを活かして、かものはしプロジェクトの今後の会員コミュニケーションに有用な分析結果をご提供しました。
分析の実施にあたり、かものはしプロジェクトから課題意識のヒアリングを行ったうえで、仮説の設計・検証としての分析項目を整理しました。提供いただいたデータの適切性を判断しつつクレンジングを行い、最適な分析手法を用い、定められた期間で分析結果の可視化を行いました。
また当社にはNPOへの知見のある社員が在籍しており、通常のクライアントとは異なる環境や立場で活動しているNPOへも適切なご支援ができました。
さらにシニアメンバーの管理のもと、若手中心に本分析を進め、かものはしプロジェクトに向けた最終報告まで完遂することができました。

その結果、かものはしプロジェクトにおいて分析結果を基に適切なリターゲティングや会員属性に適した入会後のフォローが実施されることになりました。支援実施以降の支援者数も安定して伸びています。

6. STAFF VOICE

普段の業務で得た経験がプロボノ活動としてもかたちになり嬉しく思います。自分自身のスキルがこれからも社会に還元できるものであるよう日々精進していきたいです。

デジタルテクノロジービジネスユニット
兼サステナビリティユニット
コンサルタント 小池 莉央

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