株式会社ブリヂストン

株式会社ブリヂストン

Customer Profile

会社名
株式会社ブリヂストン
所在地
〒104-8340 東京都中央区京橋三丁目1番1号
創業
1931(昭和6)年3月1日
資本金
1,263億5,400万円(2016年12月31日現在)

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

20カ月に及ぶ大規模プロジェクトで人事システムを刷新
点在していたシステムの統合、ペーパーレス化を実現し、働き方改革に貢献

世界最大手のタイヤメーカーであるブリヂストンは、15年にわたり利用してきて課題が山積していた人事システムを再構築することにした。新しいシステムはSAP HRを採用し、アビームコンサルティングを導入パートナーに選定。アビームコンサルティングは、勤怠管理システムにSAPと親和性の高いパッケージであるTIME-3(三井造船システム技研)を提案するなどブリヂストンにとってベストなソリューションを柔軟に提案し、20カ月に及ぶ大規模な導入プロジェクトを計画通り完了させた。点在していたシステムの統合、ペーパーレス化を実現するなどシステムは順調に稼働し、業務負荷を軽減。ブリヂストンは今後、業務をよりシンプルにすべく、システムのさらなる進化を視野に入れている。

プロジェクト概要

課題

  • 度重なる改修でプログラムの複雑化、システムの点在化により、進まない人事制度変更や法改正対応
  • 部下の人事情報の参照に、人事への依頼が必要で業務の非効率化
  • 紙ベースでの申請、回覧で業務の非効率化

ソリューション

  • SAP HR、人事労務分野への高い知見を活用
  • 勤怠管理システムにSAP連携に実績のあるTIME-3を選定・活用
  • ブリヂストンと一体となったプロジェクト運営

成功のポイント

  • SAP標準機能の活用により複雑な仕組みを簡素化し、事務コストを削減
  • 複数存在したシステムを集約し、データの一元管理を実現
  • 各種申請のWeb化によるペーパーレス化を実現

Story

青木 健 氏

人事労務という基幹システムの改修は、今後、マイナンバーなど関連する周辺のシステムの構築も必要となります。
アビームコンサルティングは、当社のことをよく理解していただいているので、安心して依頼することができます

株式会社ブリヂストン
労務部長
青木 健 氏

Story

プロジェクトの背景

度重なる改修で複雑化した人事システムを再構築

 株式会社ブリヂストン(以下、ブリヂストン)は、1931年に設立された、自動車用タイヤから、自転車、スポーツ用品、化工品までを製造するグローバル企業だ。創業者が社是として制定した「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命として掲げ、経営の最終目標である「真のグローバル企業」、「業界において全てに『断トツ』」の達成を目指している。そうした指針のもと、世界26カ国に180以上の生産・開発拠点を持ち、150を超える国々で事業を展開している。
 近年、ブリヂストンでは、人事システムの再構築を検討してきた。従来利用してきた人事システムは、15年ほど前に給与計算を主体として構築されたもので、その後対象範囲と機能を追加する形で改修を重ねてきた。その結果、プログラムが複雑化して分かりにくくなり、新たに改修する際には綿密に事前調査を行わなければならず、簡単な改修でも相応の費用がかかる状態になっていた。そのため、改修は法改正への対応を中心に行い、利便性の向上やセキュリティ向上といった対応に手が回らない状況だった。
 また、上司が部下の今までの経歴や考課(評価)、資格などの記録を取得する場合には、人事労務部門へ問い合わせをして情報を入手しなければならなかった。加えて、紙ベースでの申請や回覧が多く、環境負荷低減の観点から全社レベルで紙の使用量削減に取り組んでいる動きに呼応したいという思いもあった。例えば、社員の年末調整の扶養控除申告書などの帳票はすべて紙での申告が必要で、全国の拠点への配布、またそれを拠点から本社へと回収するフローとなっていた。
 さらに、人事、給与、勤怠が別々のサーバーで運用され、他にも別のサーバーで運用するシステムがあるため、周辺システムへのインターフェイスの仕組みも多く、サーバーのメンテナンスや運用のためのコストも膨らんでいた。「こうした状況を解決するためには、人事システムを再構築する必要がありました。その際、導入するパッケージは、海外で導入実績があることから、最初にSAP HRに決めました」と、ブリヂストン ITネットワーク本部 グローバルCIO室 グローバルITリスク管理ユニット ユニットリーダー平木 友彦 氏は語る。

 

図1:プロジェクトの課題と背景
平木 友彦 氏

大規模なプロジェクトでしたが、柔軟な提案や様々な場面で力を尽くしてもらったことで、計画通りプロジェクトを終えることができました

株式会社ブリヂストン
ITネットワーク本部
グローバルCIO室
グローバルITリスク管理ユニット
ユニットリーダー
平木 友彦 氏

Story

アビームの選定理由

明確なビジョン、人事業務とSAP製品に対する総合的な知見、プロジェクトマネジメント力を評価

 ブリヂストンでは、人事システムへのSAP HRの導入を前提としたものの、勤怠はSAP HRでは対応できないと判断。そこでRFPを作成し、各ベンダーからプレゼンテーションを受け、導入プロジェクトを担うベンダーを決めることにした。その結果選ばれたのは、SAP HRと親和性の高い勤怠管理システムであるTIME-3(三井造船システム技研)も含めて提案したアビームコンサルティングだった。「各ベンダーのプロジェクト責任者にプレゼンをしてもらいましたが、アビームコンサルティングの担当者はビジョンが非常に明確で、全ての質問に対して的確に答えていました。その姿を見て、プロジェクトを先導してくれる、頼りになるという印象を持ちました」(平木氏)。
 アビームコンサルティングは、SAP HRのグローバルパッケージのメリットを活かしながら、ある程度カスタマイズしてシステム刷新を行うことを提案した。そして勤怠管理システムは、日本の法制度に合ったものがよいとTIME-3を推奨したのだ。そもそもアビームコンサルティングは、2000年に国内市販用タイヤの販売物流システムをSAP R/3で再構築するプロジェクトを担当しており、ブリヂストンとは長年、パートナーの関係にある。そうした経緯も含めて、アビームコンサルティングがSAP全体に対する知見を持っていると判断したことも、ブリヂストンがアビームコンサルティングを選んだ背景にあった。

Story

プロジェクトを推進する上での課題

総力を挙げて細かなロジックを洗い出し、問題点を顕在化
適切なスケジュールとコスト管理により予定どおりプロジェクトを進行

 ブリヂストンの人事制度は非常に複雑な形になっていたものの、SAP HRの導入にあたり、制度をパッケージに合わせて変えることはしない、という方針を決めていた。そのため、制度に応じてSAP HRをカスタマイズする必要があったが、今までのシステムは改修を重ねてきたこともあり、運用側が必ずしもシステムの細かい部分のロジックを把握しているわけではなかった。設計書も完全な形で残存していなかったため、かろうじて残っていた改修時の部分的なドキュメントに基づいて作り込んでいかざるを得なかった。
 「旧システムのプログラムの調査結果に基づいて要件を決めてカスタマイズし、テストフェーズでユーザーテストを実施したところ、旧システムで給与を計算した結果と新システムでの結果が一致しないという事態が発生したのです。そのため集中的な調査とカスタマイズ、テストを実施するという作業を繰り返しました」と、ブリヂストン 労務部 労務ユニットリーダー 角田 達治 氏は説明する。丹念に調査した結果、思いがけず深い階層に算出ロジックが組み込まれており、それらを細かく洗い出して修正するなど、当初は想定していなかった多くの工数をかけることになった。「スケジュールと工数、コストの管理を担当していましたが、実はこのままでは稼働予定に間に合わないのではないかと心配な面もありました。その後、アビームコンサルティングはリソースを追加で投入してくれたり、運用担当子会社を含めたプロジェクトメンバー総がかりで問題点を明らかにしたりするなど、一つひとつ解決していきました」と、ブリヂストン 労務部長 青木 健 氏は振り返る。

Story

導入効果と今後の展望

旧システムと同様のロジックをSAP HRで実現
人事労務部門の事務コストを削減

 ブリヂストン、アビームコンサルティングをはじめとする関係者の尽力の結果、プロジェクトは計画通り進み、当初予定通り2015年9月に新しい人事システムは稼働した。「人事システムの全面刷新という20カ月に及ぶ大規模なプロジェクトでしたが、スケジュール、予算の両面で計画通りに完了させることができて大変感謝しています。」(平木氏)。「BRIGHT(Bridgestone Global Human Resources System)」と名付けられた新しい人事システムは、ブリヂストンのシステム子会社に運用が引き継がれ、アビームコンサルティングのサポートなしで安定的に運用されている。
 BRIGHTでは、SAPのパラメーターによる拡張性を活用して、旧システムでの給与計算ロジックとほぼ同様のものを実現している。加えて遡及計算もできるようになり、人事労務部門での事務コストを大きく軽減させた。また、異動入力などはSAPの標準機能をベースにしながら、一部で追加開発を行った結果、従来以上の利便性を確保することができた。懸案だった紙ベースの申請もほぼなくなり、全社挙げて取り組んでいる紙の使用量削減に大きく貢献している。「BRIGHTでは従業員自身が、結婚、転勤などの身上異動申請や評価申告、キャリア申告をSAP HRを通じて行えるようになったので、紙を使う必要がなくなりました。またWebベースなので、従業員が慣れていけばいくほど、納得して使いやすさを体感できるようになると思います。従業員からも『簡便で使いやすく、分かりやすい』と、大変好評です」(角田氏)。
 「以前は上長が部下の考課を知りたい場合には、人事部門を通じて情報を得る必要がありましたが、BRIGHTでは上長は権限に応じて、情報を得ることができるようになりました。また従業員も、前年の労働時間など様々なデータを参照・比較できるようになったので、自身の働き方の改善などに取り組むベースができあがりました」(青木氏)。もちろん、従来はシステム改修に時間を要していた法改正への対応や、働き方改革に伴う所定労働時間の短縮など、制度面での変更も迅速に行えるようになったのも、大きな改善点だ。

 

図2: 点在していたシステムの統合
角田 達治 氏

困難な改修など、このままでは打開できないという局面を事前に察知し、迅速に対応してくれたので、とても助かりました

株式会社ブリヂストン
労務部
労務ユニットリーダー
角田 達治 氏

ブリヂストンのより一層の成長を支援するためにグローバル人材育成のための基盤としてさらなる進化を目指す

 ブリヂストンでは、今回SAP HRを導入したことで、将来的にグループ会社の人事・労務情報を管理・共有し、会社間の情報を横串で分析可能な仕組みを構築することができた。こうした中で、経営の最終目標である真のグローバル企業、業界において全てに「断トツ」を実現していくためには、グローバル企業文化の育成、グローバル経営人材の育成、グローバル経営体制の整備の3点が、重点的な課題だ。
 「グローバルで活躍できる人材をどう作っていくかが大きなテーマになってきます。そのためにもまずは、ベースとなる仕組みをきちんと作っていく必要があり、同時にシステムのより良い活かし方を検討していきます。すでにSAP HRを導入している海外子会社もあるので、海外のグループ会社との連携を含めた可能性が広がっていると思います」(角田氏)。今回ブリヂストンでは、人事制度はそのままに、システムを制度に合わせる形でBRIGHTを構築した。今後は業務をパッケージに合わせることも念頭に置きながら、制度設計へのシステムの貢献も射程に入れて、業務をよりシンプルにしていく構想を抱いている。

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