本稿では、国内大手企業の多くがAIを経営アジェンダに掲げ、AIビジョンやロードマップを策定している企業も一定数に及ぶことを調査結果から述べた。一方、生成AI活用における組織・人材、リスク管理、ROI算出、データ整備、ガバナンスを課題とする企業も多いことが判明している。目的となる企業価値向上や業務効率化を推進するためには、適切な機能を備えるだけでなく、案件の成果と失敗をナレッジ・資産として蓄積し、再利用可能にする組織的学習機能を担うAI CoEを立ち上げることが成功の鍵となる。この学習機能が回ることで、部門ごとの試行が全社の再現性へ転換され、投資の重複を抑えつつ横展開が進みやすくなる。
アビームコンサルティングは、国内有力企業とともにAI CoE立ち上げとAIXをけん引してきた経験を有している。これらの知見に基づき、戦略・実装・統制におけるボトルネックを解消し 、「組織的学習機能」を実効性のある形で組み込む実行力が強みである。単発のPoCにとどまることなく、AIによる経営インパクトを最大化させる全社的取り組みへの昇華を伴走支援によって実現する。
本連載では、組織的学習機能以外の重要機能についても知見と調査結果をもとに掘り下げていく。
第2回では、全社戦略と整合した生成AI活用戦略の策定と実行の要諦を解説する。具体的には、取り組むべき重点アジェンダの特定、重点アジェンダに対する中期的・短期的な戦略への落としこみ、ロードマップ策定、「測定指標」ではなく「組織活動」に資するKPIの定め方を解説する。
第3回では、AI CoE組織で具備すべきアライアンス機能について解説する。生成AI技術や生成AIを活用したビジネスが日々誕生する変化の激しい昨今において、自社に不足し獲得すべき機能をスピーディに見定め、実装することが重要である。そこで、アライアンス時における連携設計、内製との分担、ナレッジ移転、統制などの要諦を解説する。
第4回では、生成AI活用を加速させる社内外へのコミュニケーションについて解説する。市場からの期待や企業価値向上のための外部発信と並行し、各部門で自律的な生成AI活用が進むなど、内部の意識改革を含めて行うことがAI活用を加速させる。そこで、具体的な展開モデルとともに、生成AI活用方針や成功事例や効果をどのように発信していくかべきかを解説する。
次回以降もぜひご覧いただきたい。