アビームコンサルティングでは、さまざまな金融・非金融のクライアントとの協議を通して、デジタル化社会での新たな探索・開拓先となる決済市場として、以下3つに着目している。「組込型金融(エンベデット・ファイナンス)」を検討している事業者、クレジットカード事業者、電子マネー事業者、コード決済事業者など、キャッシュレス決済に関わる企業の事業検討の参考になれば幸いである。
(1)法人決済のデジタル化
前述の通り、国内の消費者支払いのCtoBのキャッシュレス決済市場は飽和しているが、企業間支払いのBtoBの領域は、まだキャッシュレス化の余地が大きい。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル社の「企業間決済白書2022」によると、BtoBのキャッシュレス決済比率はわずか12.5%に留まっており、伝統的な商習慣として多くが銀行振込となっている。既存の銀行振込の場合、支払い業務にまつわる業務として、新規取引先の与信審査の業務負担や、支払いを実行する際の資金繰りやキャッシュフローの影響確認などの負担が存在する。例えば、クレジットカードの与信機能を事業会社のサービスに組み込むことで、新たな資金繰りへの改善策が期待できるだろう。
(2)グローバルEC決済のデジタル化
越境ECと呼ばれる国境を越えて取引できるサービスが増えている。Shopify社(カナダ)のような新興企業が登場し、日本国内の個人事業主や中小企業が、海外マーケットに商品を売り出すことができ、逆に海外から物を輸入し、国内で販売するデジタルサービスが増えている。今後、越境ECを行いたいという個人事業主や中小企業のサポート需要も見込まれ、さまざまな業種で独自の越境ECプラットフォームの登場も予想される。
(3)貸金・割賦・保証サービスのデジタル化
CtoBの消費者主体のキャッシュレス決済は、決済事業者にとって薄利多売の手数料ビジネスであるが、前述の通り手数料の低廉化が進む中で、新たな収益源として、金利ビジネスに注目が集まることも予想される。例えば、医療費、家具・家電、旅行、不動産のような、個人にとって高額な支払いの分割払いや初期費用の無料化など、クレジットカード会社などが持つ、個人の与信機能を、金融以外の事業者の本業ビジネスに組み込むことで、新たな顧客層の獲得につながる可能性がある。貸金・割賦・保証サービスは、一般的に「お金を借りる」というネガティブなイメージを持つ消費者も多いため、スマートフォンアプリやWebサイトのUX・UI上の見え方、プロモーション通知のタイミングなどの工夫が重要になるだろう。