従業員の経験を「意味づけ」し、データに基づく人材の意思決定を支えるタレントデータ基盤を高度化

大手物流会社様
事例
  • 交通・運輸・物流
  • DX
  • 人的資本経営

大手物流会社では、企業価値の向上に向けた人材の持続的な育成と適材適所の配置の実現に向け、経営/人事部門によるデータに基づいた高度な意思決定を目指していた。しかし、従業員の経験やスキルを示すタレントデータはタレントマネジメントシステムに蓄積されていたものの、粒度や項目が意思決定に活用できる状態には至っていなかった。そこでアビームコンサルティングの支援のもと、データの「発生」と「活用」を業務上の意味でつなぐセマンティックレイヤーを整備し、AI活用も見据えたデータ活用基盤を構築。現場の勘に依存していた人材の意思決定について、データに基づき支える経営基盤への転換を推進している。

Customer Profile

業種
物流事業
売上規模
非開示
従業員数
非開示
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経営/事業上の課題

  • 意思決定に活用できるタレントデータが不足し、データに基づく人材配置・育成の判断が困難
  • 自由記述などナラティブな情報を含むタレントデータが、比較・活用できる状態に整備されていない

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 情報の発生(従業員による入力)時の従業員体験と、意思決定での活用を両立するセマンティックレイヤーの整備
  • AI活用を見据えたデータ活用基盤の整備

支援の成果

  • 人事業務から発生する発令情報などのデータと従業員の経験情報を比較可能な状態とし、データに基づく意思決定の高度化を支援
  • データの発生・加工・活用とタレントデータの一元管理を、クラウド型タレントマネジメントシステムの標準機能のみで実現し、TCO(総保有コスト)の削減に貢献

クライアント課題の難所

「現場の勘」ではなく「データ」に基づく人材の意思決定を実現

大手物流会社では、各種人事システムからの発令/給与/勤怠情報の連携や、タレントマネジメントシステム上の各業務(評価/研修)を通じてタレントデータが蓄積されていた。しかし、経営/人事部門が意思決定に活用するには従業員の経験や希望の情報が不足しており、異動配置などの判断は、従業員を近くで見る現場担当者に頼らざるを得ない状況であった。現場判断は誤りこそ少ないものの、隠れた人材の発掘が難しく、情報の偏りによる不公平感にもつながることから、経験や希望のデータを定義・収集し、意思決定に活用できる形で管理する仕組みの整備が求められていた。アビームコンサルティングは、こうした経営課題に対し、構想から実行までを一貫して担う伴走型パートナーとして、以下の3つのテーマで本取り組みを推進した。

  1. 活用したいタレントデータの定義と収集
    これまで十分に活用できていなかった経験・希望などの情報を、意思決定に必要な経験・希望などのデータ項目として定義し、従業員から回答を収集する仕組みを整備した。
  2. 非構造化データを活用可能な状態へ変換
    人材データの活用には、単なる集約ではなく、多様なタレントデータを比較可能とする「意味づけ」が不可欠となる。例えば経験情報を収集しても、粒度や期間がバラバラでは比較できず、データは活用されなくなっていく。データを収集・統合したものの活用しきれないという状況は多くの企業に共通する課題であり、本取り組みでも同様にデータの「意味づけ」に取り組んだ。
  3. 業務でデータを活用するための工夫
    タレントデータは活用する人の役割や業務によって必要な項目や見せ方が異なる。配置検討一つでも、重要ポジションの配置、海外派遣者の選抜、新入社員のローテーションなど多様なユースケースが存在する。本取り組み以前は「データの種類が多く、どれを使うべきか整理できていない」ことが活用の障壁となっていた。そこでユースケースを整理し、必要な情報を担当者が容易に取り出せる仕組みを構築。担当者ごとに最適化されたデータの見せ方を実現し、現場での実際の活用を後押しした。

プロジェクトの重要成功要因

データの「発生」と「活用」を業務上の意味で接続するセマンティックレイヤーの設計

タレントマネジメントシステムのデータベースは、情報を整理・格納する観点で汎用的に設計されており、発生・活用のどちらにも一定程度対応できるが、いずれの用途にも最適化されてはいなかった。そこで本取り組みでは「発生と活用で最適なデータベースは異なる」という思想のもと、発生局面(従業員からの収集)ではユーザビリティを重視し、項目数を絞るなど入力しやすいデータベースを整備。入力率と入力の質の向上を図った。一方、活用局面では多様な意思決定に対応できるよう、より専門的な項目を比較可能な形で管理できるデータベースを整備した。意味づけされた項目の充実は、今後のAI活用の可能性を広げることにもつながる。
目的の異なるデータの発生と活用それぞれに最適なデータベースを設計し、業務上の意味でつなぐセマンティックレイヤーを整備したことが、本プロジェクト最大の重要成功要因である。

データの「発生」と「活用」を接続するセマンティックレイヤー データの「発生」と「活用」を接続するセマンティックレイヤー

アビームの貢献

従業員の経験を「意味づけ」し、意思決定を支える経営基盤を実現

本取り組みにより、従業員の経験を構造化データとして再設計し、全社横断での人材の可視化・比較を可能とした。これにより、これまで現場の勘に頼っていた異動配置についても、データに基づく判断を可能とした。さらに、個別のアドオン開発やカスタマイズに頼らず、クラウド型タレントマネジメントシステムの標準機能のみで実現。追加開発や継続的な保守にかかる負荷を抑え、TCO(システムの導入から運用・保守までを含めた総保有コスト)の削減にも貢献している。
今後は、整備したタレントデータを基盤として、AIによるスキル推定・適材配置やグローバルでの人材戦略の高度化を進め、意思決定を支える経営基盤としてのタレントマネジメントをさらに発展させていく。アビームコンサルティングは、単なるシステム導入にとどまらず、長期的な伴走を通じて蓄積した知見を活かし、企業のタレントマネジメントを経営インフラへと高度化する取り組みを支援していく。

2026年8月31日

専門コンサルタント

  • 坂本 孝司

    Principal

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