1934年の創業以来、「映像と情報」の分野で社会に貢献してきた富士フイルムホールディングス株式会社(以下、富士フイルムホールディングス)。同社は「第二の創業」と位置づけ、写真フィルムをコアビジネスとする企業から、新たな複数の事業で成長を続ける企業への転換をグループ全体で推進。イメージングソリューション、インフォメーションソリューション、ドキュメントソリューションという、3つの柱で事業を展開している。富士フイルムホールディングスでは、第二次世界大戦前の1938年から、東南アジアを中心とした輸出を積極的に展開。1956年には輸出部を設置すると共に、海外拠点を拡充し、さらに輸出を拡大。1990年代には、中国各地に生産工場も展開。
また2001年より急速に成長する中国マーケットでのトップポジションを獲得すべく、富士フイルムグループの中国におけるビジネスの統括と投資・販売を担っているのが富士胶片(中国)投資有限公司(以下、富士フイルム中国)である。
2016年現在、富士フイルム中国が注力しているのは医療事業とイメージング事業である。特にインスタントカメラ「チェキ」が、中国の若者にも大人気となっている。2015年6月には、上海の人民広場前にチェキやデジタルカメラなどを取り扱う「ワンダーフォトショップ」もオープンした。富士フイルム中国 中国ITセンター所長の辻健司氏は、「基本的には日本と同じ商品を中国市場で販売していますが、日本のレントゲンがほぼデジタル化されているのに対し、中国ではまだフイルムが多く残っているといった違いはあります」と語っている。
富士フイルムグループでは、販売や在庫管理、購買管理といったサプライチェーンの業務において標準プロセスが定義されており、グローバルの各拠点にも展開されている。しかし、富士フイルム中国では、多くの日系企業が直面する中国固有の問題が引き金となり、標準業務が徹底されていなかった。中国固有の問題とは、人材流動の高さと人員交代時の引継ぎ不足である。人の入れ替わりの度に新担当者は自身の効率を高める努力をし、生産性を上げようとした。それは、業務が徐々に属人化することと同義でもあった。結果として、属人化した業務が全社の効率を下げ、個別基準で入力した定義の異なるデータが上位者の意思決定を遅らせ、個別に調整された業務が人事異動の障壁を高める、という状態に陥っていた。
辻氏は、「日本では、世界各国の拠点のSAP ERPデータを取り込んで、需給管理をしようと考えていました。しかし、その運用の前提となるデータが、中国からは正確に抽出できないという課題がありました。4年半前に中国に赴任してきたときから、こうした課題をどこかの段階で一気に解決したいと考えていました」と話している。