子育てとキャリア、どう両立する?
産休・育休を経た2人の働き方とキャリア

仕事を続けたい。キャリアアップも諦めたくない。一方で、出産や育児を迎えたとき、これまでと同じように働き続けられるのか――。ライフステージの変化を前に、そんな不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
アビームコンサルティングでサステナビリティ・脱炭素領域を担当する西澤さんと、物流改革領域を担当する吉弘さんも、産休・育休を取得する前には、復職後の自分をうまく思い描けずにいた2人ですが、周囲との対話を重ねながら、自分自身に合った働き方を見つけ、今はそれぞれのキャリアを歩んでいます。産休・育休を経て、実際にどのように働き、子育てとキャリアに向き合っているのか。2人に話を聞きました。

Profile

2019年 キャリア入社/産休・育休取得期間:2024年10月~2025年10月
大手自動車メーカーのSCM部門にて物流領域を経験後、アビームへ参画。事業会社の経営計画に追従する物流構想の策定、サプライチェーンデザインシミュレーターを活用した物流戦略立案を支援。仕事と家庭の両立に励む社員のコミュニケーション企画も担当。

西澤

Sustainable SCM Strategy Unit

Senior Consultant

2015年 キャリア入社/産休・育休取得期間:2018年11月~2021年4月
中小企業向けコンサルティング会社を経てアビームへ参画。ESG・サステナビリティ領域を中心に、Scope3算定、サプライヤーエンゲージメント等の支援に従事。また、自社の排出量算定や脱炭素推進にも従事。

仕事は続けたい。でも、復職後の自分が想像できなかった

まず、お2人が担当されている領域と役割を教えてください。

私は物流改革領域を担当しており、Managerとして、物流領域における国の補助金事業に関わる実証プロジェクトの支援をしています。資料作成やタスク管理に加えて、新卒で入社してきたメンバーの育成も担っています。

吉弘

私はサステナビリティ・脱炭素領域のプロジェクトで、Senior Consultantとして推進を担当しています。企業の温室効果ガス排出量の算定や削減に加え、最近は取引先を含むサプライチェーン全体での取り組みを支援しています。

西澤

産休や育休を取得する前、今後のキャリアについてどのように考えていましたか。

仕事は続けたいと思っていました。その時々の状況に応じて働き方を選びながら、専門性を高めていきたい気持ちは強かったです。ただ、産休と育休を合わせると、長期間業務から離れることになります。私が産休を取得したのはコロナ禍の前で、当時は出社が当たり前、オンライン会議もまだ一般的ではありませんでした。そんな働き方の中で、子育てをしながらプロジェクトで求められる役割を果たせるのか、復職後の自分をなかなかイメージできませんでした。

西澤

私はキャリア入社から5年ほど経ち、アビームコンサルティング(以下、アビーム)での仕事にも慣れてきた頃、Senior Consultantとして次のステップを意識するようになりました。カウンセラーとも今後のキャリアについて話していた一方で、プライベートでは、そろそろ子どもが欲しいと思い始めていました。昇格と、妊娠・出産・育児というライフイベントを考える時期が、ちょうど重なっていました。

どちらかに重きを置けば、もう一方との両立が難しくなる。そんな思い込みがあって、キャリアプランとライフプランの掛け算が、自分の中でうまくできませんでした。
昇格にチャレンジすると決めたすぐ後で妊娠が分かり、昇格のタイミングで産休に入ることが、合否に影響しないかという不安もよぎりました。しかし、それ以上に不安だったのは、復職と同時に新任Managerとして働く自分の姿を、どうしても思い描けなかったことです。

吉弘

ロールモデルを探すのではなく、ロールサンプルを増やす

そうした不安は、解消されたのでしょうか。

最終的には、昇格にチャレンジし、Managerに昇格することができました。迷いながらも一歩踏み出せたのは、自分の不安をそのままカウンセラーに相談できたことが大きかったと思います。
カウンセラーからは、管理職からメンバークラスまで、様々な女性の先輩社員を紹介してもらいました。話を聞いてみると、皆さんもキャリアとライフイベントの間で悩んだ経験があり、その選択や働き方も一人ひとり違っていました。「こうしなければならない」という一つの正解があるわけではない。いろいろな選択肢を知れたことで、自分なりのキャリアを考えればいいと思えるようになりました。

吉弘

西澤さんも、どなたかにご相談はされましたか。

当時のプロジェクトのManagerは同年代で、子どもの年齢も近かったので、仕事と子育てをどう両立しているのか、よく話を聞いていました。自分の悩みも相談しやすい、身近な存在でした。
復職前は、「以前と同じように働けるだろうか」と、やはり不安がありました。そんなとき、子育てをしながら働いているカウンセラーから言われたのが、「そんなに気負わなくて大丈夫だよ」という言葉です。復職するならちゃんとやらなければ、とどこかで力が入っていたのですが、その一言で少し肩の力が抜けました。

西澤

お2人とも、自分なりのキャリアやリーダー像を考える社内研修(キャリアデザイン研修)にも参加されたそうですね。

カウンセラーに勧めてもらって参加しました。女性社員を対象に、自分なりのリーダー像やこれからのキャリアについて考える研修でした。

吉弘

私も同じ研修を受けました。印象に残っているのが、誰もが知っているアニメの登場人物を例に「リーダーのあり方は一つではない」という話です。
これまで、リーダーとは能力や実力に優れ強いリーダーシップで組織を引っ張る人というイメージを持っていました。しかし、研修を通じて、必ずしもそうしたリーダーだけではなく、自身の弱さや悩みを受け入れながら周囲と対話し、人を鼓舞しチームの力を引き出すリーダー像もあることを学びました。
今後は、一人の強いリーダーがチームを牽引するだけではなく、多様なメンバーを巻き込み、それぞれの強みを活かしながら成果創出につなげるリーダーがより求められると思います。私自身も、専門性を高めるだけでなく、周囲との信頼関係を築きながら、前向きな影響を与えられる人材を目指したいと考えるようになりました。

西澤

私が特に印象に残っているのは、「同じ人はいないし、同じように歩む必要もない」という言葉です。研修では数人のグループで、感じたことや考えたことを共有する時間もありました。先輩社員に話を聞いたときと同じように、自分の考えを言葉にすることで、少しずつ整理できました。
同じように働いているように見えても、仕事以外の生活や家庭の状況、大切にしたいことは一人ひとり違います。だから、誰か一人のキャリアをそのまま自分に重ねることはできません。それまでは、誰か一人をロールモデルとして思い描くことが、キャリアを考えるヒントになると思っていました。でも、「こういうケースもある」という選択肢をたくさん知って、その中から自分に合うところを取り入れていけばいい。ロールモデルを探すのではなく、ロールサンプルを増やす。そう考えられるようになって、ようやく自分のキャリアを具体的に描けるようになりました。

吉弘

働き方が変わっても、挑戦できる仕事は狭まらない

実際に復職してみて、仕事や働き方はいかがでしたか。

私は2年5カ月、産休・育休を取得しました。その間にコロナ禍があり、復職する頃には在宅でも業務を進められる環境が整うなど、働き方そのものが大きく変わっていました。復職当初は、まず仕事と育児のある生活に慣れることを優先して、稼働を抑えながら少しずつペースを取り戻していきました。そうやって働き方は調整しても、育児を理由に仕事の選択肢まで狭まることはありませんでした。その時々の状況に合わせて役割や関わり方を変えながら、責任ある仕事にも携わっています。復職後に特に印象に残っているのは、不動産REITクライアントの外部報告支援です。主担当として、外部報告ルールや評価基準をキャッチアップしながら、報告内容の支援をしました。これまでと変わらない責任と期待を持って仕事を任せてもらえたことが、自信にもなりました。

西澤

私は1年間、産休・育休を取得しました。復職後はいきなりプロジェクトに入るのではなく、まずはサービス開発や営業活動など、比較的自分で時間を調整しやすい仕事からスタートしました。復職直後は、頭が思うように働かない感覚もありましたし、子どもの体調や保育園の都合で、思い通りにいかないこともありました。しかし、周囲にも子育てを経験している方が多く、子どもの体調や保育園の都合で予定通りにいかないことも、「子育てをしていれば、そういうこともあるよね」という感覚で自然に受け止めてもらえました。そうした周囲の理解もあって、焦らず仕事のペースを取り戻していくことができました。

吉弘

限られた時間の中で、働き方に変化はありましたか。

Managerになれば、クライアントやチームに対する責任が大きくなり、自分の都合だけでは動けない場面も増えるだろう。子育てをしながら、その役割を果たせるのだろうかと思っていました。でも実際には、業務やチームの状況に応じて働き方を調整できますし、タスクと役割を整理しておけば、一人で抱え込まずに進めることができています。今はむしろ、時間に限りがあることが自分を動かす力になっています。残業はせず、限られた時間の中でどう成果を出すかを以前より考えるようになりました。考える時間が必要な仕事も、使える時間から逆算して、思考を整理し、資料に落とし込んでいます。

吉弘

限られた時間の中で何を優先するのか、私も以前より意識するようになりました。作業に入る前に、仕事の進め方や成果の出し方を俯瞰して考えるようになりました。育児をしていると予定通りに進まないことばかりですから、そこへの対応力も鍛えられました。

西澤

限られた時間の中で働くことで、仕事の進め方にも変化があったのですね。とはいえ、それはお1人の工夫だけで成り立つものでしょうか。

いえ、1人ではなく、チームで仕事をしているからこそ成り立っていると思います。少し前に子どもが熱を出して1週間ほど休んだときも、「休んだ分を埋め合わせなければ」というプレッシャーはありませんでした。私が不在の間は、そのときの状況に合わせてチーム内で役割を調整し、戻ればまた元の体制に戻る。逆に、私に余裕があるときに、他のメンバーが体調を崩したり、育児などで急に休んだりすることがあれば、私がサポートすることもあります。誰かが一方的に支えるのではなく、そのとき動ける人が自然に支え合う。そういう関係があるからこそ、安心して働けているのだと思います。

吉弘

現在、私は時短勤務ですが、コンサルティングは工数を積み上げて計画を立てる仕事なので、プロジェクトが始まる前の段階で、どの時期が忙しくなるかを見通せます。無理のない設計をすることがチームに根付いているので、限られた時間でも回るように組める。そのうえで突発的な対応が必要になりそうなときは、できるだけ早くチームに共有します。一人で抱え込まずに相談する習慣は、育児で身につきました。

西澤

「いまの自分にとってのベスト」を選びながら、次の挑戦へ

これから挑戦したいことを教えてください。

働く場所や時間を柔軟に選べるからこそ、成果で応えたいという気持ちがあります。次は、自分で提案して、受注して、そのままプロジェクトの管理者になる。提案からデリバリーまで、一連のプロセスを自分の責任でやり切れるManagerになりたいです。子育てと両立しながらでも、Managerとしてできることをもっと広げていきたいと思っています。

吉弘

引き続き、サステナビリティや脱炭素という社会的意義のあるテーマで専門性を高めていきたいです。そのうえで、クライアントやチームメンバーが前向きに取り組み、変革を一歩ずつ前に進められるような支援ができる人でありたいと思います。
育児をしながらどう働き、どうキャリアを築くかは、人によって違います。高いパフォーマンスを発揮して昇進を目指すことも、子どもとの時間を大切にしながら自分に合ったペースで成長していくこともできます。大切なのは、自分の価値観やライフステージに応じて働き方やキャリアを選んでいくことだと思います。アビームには、そうした一人ひとりの選択を尊重してくれる環境があると感じています。

西澤

最後に、産休・育休を控えて不安だったころの自分に、一言かけるとしたらなんと声をかけますか?

両立なんて、やってみればできるものだよ。やってみないと、できるかどうかは分からないよ。そう言いたいです。
産休前は、子どもができたら仕事にどんな影響があるのか、不安なことばかり考えていました。でも実際には、子どもがいるからこそ頑張れることもあります。午後、さあもう一踏ん張りしようという時間にちょうど保育園からアプリで連絡帳が届くんです。今日の子どもの様子や笑顔を見てほっこりして、この子も頑張っているのだと思うと、自分も残りの時間を頑張ろうと思える。子どもの存在は、見えないエンジンのようなものです。

吉弘

私なら、「昔思い描いた働き方やキャリアにこだわりすぎなくていいよ」と伝えたいです。こういう働き方やキャリアをしたいという理想像は、環境やライフステージが変われば、自分が大切にしたいことや、仕事やキャリアに求めるものも変わっていくと思います。だから、過去に描いた理想像にこだわるのではなく、いまの自分にとってのベストは何かを考えて、その都度更新していけばいい。そう伝えたいです。

西澤

※取材当時(2026年8月)の情報です。

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