M&Aは、企業の成長を実現するための手段の一つ。その目的や戦略が曖昧なままでは、ディールを成立させても、その先の価値創出にはつながりません。
アビームコンサルティングのCorporate Finance & Transformation Strategy Unitでは、StrategyとTransactionを同一Unit内で担い、全社・事業戦略やM&A戦略の策定から、デューデリジェンス、M&Aの実行までを一体で支援。さらに、その先のPMI・Transformationまでを見据え、構想段階から実行可能性を織り込んでいます。
事業会社、投資銀行、コンサルティングファームで戦略とM&Aに携わってきた田邉さんと、FASで20年以上にわたりM&A・事業再編を支援してきた藤澤さん。異なる専門性を持つ二人に、StrategyとTransactionを分断しないからこそ生み出せる価値と、専門性を起点に企業変革全体へとキャリアを広げる魅力について聞きました。
事業会社、投資銀行、内外コンサルティングファームを経てアビームに参画。事業戦略全般、Go-to-Market戦略、新規事業立ち上げ支援に加え、2024年4月からはM&A/コーポレートファイナンス領域を担当。特にM&A領域においては、事業会社、投資銀行、コンサルティングファームのそれぞれの立場での経験を有する。
公認会計士として監査法人で監査業務を経験後、外資系FASでM&A・事業再編支援に従事し、アビームに参画。財務DDに加え、カーブアウト、PMI、グループ再編など幅広い案件に携わる。財務・会計の専門性とM&A実務の知見を生かし、取引実行からDay1、その後の事業運営までを見据えた支援をリードしている。
まずは、お二人のこれまでのキャリアと、Corporate Finance & Transformation Strategy Unitに参画された理由について教えてください。
私はこれまで、事業会社、投資銀行、コンサルティングファームという異なる立場から、戦略やM&Aに携わってきました。事業会社では事業開発や新規事業、投資銀行ではM&Aのエグゼキューションやファイナンス、コンサルティングファームでは全社戦略や事業戦略、成長戦略などを経験しています。
M&Aを事業会社という「当事者」、投資銀行という「M&Aの専門家」、コンサルティングファームという「戦略の専門家」の三つの視点から経験できたことは、今の自分の大きな財産です。
一方で、キャリアを通じて感じてきたのは、必ずしも戦略に基づいてM&Aが行われているわけではないということです。案件ありきで検討が進み、買収すること自体が目的になってしまう。その結果、期待した成果を生み出せないケースも目にしてきました。
本来、M&Aは企業が目指す成長を実現するための手段の一つです。「どのような企業になりたいのか」「そのために何を変えるべきなのか」という戦略があり、その実現手段としてM&Aを考える。この順番に徹底してこだわりたいと思ったことが、Corporate Finance & Transformation Strategy Unit(以下、CF&T SU)に参画した大きな理由です。
田邉
私の場合は、田邉さんとは逆の方向から、同じ課題にたどり着いたのかもしれません。
私は20年以上、監査法人やFASでM&A・事業再編を支援してきました。財務デューデリジェンス(DD)、カーブアウト、グループ再編、PMIなどを経験する中で感じてきたのは、Transactionの実行だけを見ていても、本当に価値のある支援にはならないということです。
例えばカーブアウトなら、なぜその事業を売却するのか、売却後にどのような事業ポートフォリオを目指すのかまで理解していなければ、何を切り出し、何を残すべきかという判断も変わります。
藤澤
そこはまさに共通しています。私は戦略側から「Transactionまでつなげたい」と考え、藤澤さんはTransaction側から「経営戦略まで遡る必要がある」と感じてきたということですね。
田邉
そうです。だからこそ、StrategyとTransactionを同じチームで扱い、戦略段階の目的や仮説をDDやM&Aの実行につなぎ、さらにPMIやTransformationまで見据えられるCF&T SUに魅力を感じました。
藤澤
CF&T SU のStrategy / Transaction領域ならではの提供価値や、案件の特徴について教えてください。
大きな特徴は、M&Aそのものを目的にしていないことです。アビームコンサルティング(以下、アビーム)に相談いただくクライアントからも、「ディールプロセスを支援してほしい」だけでなく、「この買収が自社の戦略にとって本当に意味があるのかも検証してほしい」という要望をいただきます。
私たちがまず考えるのは、「この会社を買うべきか」ではなく、「クライアントはどこを目指していて、その実現には何が必要なのか」です。その選択肢の一つとしてM&Aがある。だから、買収なら事業戦略や新規事業の構想から、売却なら構造改革やカーブアウトの構想から入ることもあります。
全社戦略、事業戦略、M&A戦略、新規事業、構造改革など、M&Aライフサイクルの上流からTransactionまで一つのストーリーとして考えられることが特徴です。
田邉
Transaction側から見ても、戦略から入れることには大きな意味があります。
DDでは様々な情報を分析しますが、「何のためのM&Aなのか」が明確でなければ、本当に見るべき論点も定まりません。市場参入なのか、新たなケイパビリティの獲得なのか、既存事業とのシナジーなのか。それによって重点的に検証すべきことは変わります。
StrategyとTransactionが同じチームだからこそ、戦略で立てた仮説をDDで検証し、そこで分かった事実を再び戦略や投資判断に戻す。この往復ができることは大きな特徴だと思います。
藤澤
以前、ある大企業グループの子会社売却を支援した際も、すぐに売却プロセスへ入るのではなく、まず対象会社の成長戦略を策定しました。そのうえで、必要な投資額や資金調達余力をシミュレーションし、ファンド、事業会社、IPOなど、どのような資本の持ち方がその会社の成長に適しているのかまで検討しました。
重要なのは「どう売るか」ではなく、「この会社をどう成長させるか」。戦略とM&Aのテクニカルな知見の両方が求められる、いわば“総合格闘技”のようなプロジェクトでした。
田邉
売却案件は特にそうですね。Transactionの観点だけなら売却しやすい形を考えることもできますが、本当に重要なのは、その事業が売却後にどう運営され、成長していくかです。Strategyの視点が入ることで、Transactionで設定する論点自体が変わります。
キャリアの観点でも、Strategy経験者なら、自分が描いた戦略がDDでどう検証され、PMIや事業運営にどうつながるのかまで見ることができます。逆にBDDやFDDなどの経験者なら、分析結果が投資判断や買収後の価値創出にどう影響するのかまで視野を広げられます。
自分の専門性を手放すのではなく、それを軸に隣接する領域へ経験を広げられることが、CF&T SUならではの成長機会だと思います。
藤澤
StrategyとTransactionだけでなく、その後のPMIやTransformationまで見据えていることも特徴でしょうか。
はい。私たちは、戦略、Transaction、PMI、Transformationを別々の作業とは考えていません。DDでも、BDD、FDD、ITDD、カーブアウトDDなどを個別に評価して終わるのではなく、M&Aの目的や投資仮説に照らして横断的に捉えます。戦略で立てた仮説をDDで検証すると同時に、DDで明らかになった事実を戦略や価値創出の考え方へ戻していく。そして、「買収後に何を優先して変えるのか」「Day1までに何を整えるのか」といったPMIやTransformationの論点までつなげていきます。
藤澤
戦略側にとっても、実行可能性を構想段階から織り込めることは非常に重要です。
戦略だけを見ていると、「理論上はこうあるべき」という答えになりがちですが、実際にはクライアントの組織、人材、業務、システムには様々な制約があります。
アビームには、業界だけでなく、実際の業務やシステムに深い知見を持つメンバーがいます。そうしたメンバーに構想段階から入ってもらうことで、「戦略として正しいか」だけでなく、「この会社で本当に実行できるか」まで踏まえて考えられる。これは大きな強みです。
田邉
カーブアウトでも、売却対象の範囲を決めるだけではありません。本社や他事業と共有する機能、資産、契約、システム、人員をどう分けるのか。Day1までに何を準備し、TSAをどう設計し、その後どうスタンドアロン化するのか。初期段階から売却後の事業運営を具体的に想像できているかで、Transactionの設計そのものが変わります。
さらに現在は、AIも積極的に活用しています。利用可能な社内知見や公開情報の整理、初期仮説の形成、確認すべき論点の抽出、DDで得られた情報の横断的な整理などに活用しています。
重要なのは、単なる効率化ではありません。AIを使うことで、早い段階から仮説を立て、クライアントと共有し、検証して見直す。そのサイクルを短期間で繰り返せるようになります。
藤澤
AIによって情報収集や分析が速くなるほど、コンサルタントの価値は「情報を持っていること」以上に、「何を問うべきか」に移っていくと思います。
StrategyチームでもTransactionチームでも、「なぜなのか」「本当に見るべき論点は何なのか」にこだわる。その上で、クライアントの意思決定に必要な示唆を出すことが、これまで以上に重要になります。
田邉
さらに、AI活用はDDの中だけで終わりません。Transformationチームでは、AIを前提とした将来の業務や組織のあり方も設計しています。例えばカーブアウト後のコーポレート機能も、従来の体制をそのまま再現するのではなく、「AIを前提にすれば、どんな業務・組織にできるのか」から考えられる。
StrategyやDDで把握した課題を、その後の新しいオペレーションまでつなげられることも、CF&T SUならではだと思います。
藤澤
最後に、CF&T SUが目指す姿と、これから一緒に働きたいと考えている方へのメッセージをお願いします。
CF&T SUで大切にしているのは、一人ひとりが専門性を持ちながら、その領域だけに閉じないことです。キャリアについても、ManagerはもちろんのことDirectorやPrincipalが本人と一緒に次に積むべき経験を考え、若手にも早い段階から挑戦の機会を渡しています。
Strategyチームで求めたいのは、M&Aを単なる「企業の売買」ではなく、事業の成長や企業価値向上のための手段として捉えられる人です。その事業を買収することで何が変わるのか。売却するなら、どのような株主のもとで最も成長できるのか。「そもそも何を目指すのか」「このM&Aは本当に必要なのか」と一段上の問いから考えられる方と働きたいです。
田邉
Transactionチームでも、自分の担当論点だけで完結させず、「この結果が他の論点にどう影響するのか」「クライアントの意思決定やその後の実行をどう変えるのか」まで考えられる方に来ていただきたいです。一人ですべてを担う必要はありません。Strategy、Transaction、PMI、Transformation、それぞれの専門家と協働し、自分の強みを活かしてチームで成果を出す。その中で、自分の専門性を起点に前後の領域へ越境していくことが重要です。
藤澤
また、経営戦略やM&Aには、最初から決まった正解があるわけではありません。「べき論」を提示するだけではなく、クライアントのケイパビリティやカルチャー、現場の実態まで理解し、意思決定と実行に並走する誠実さや胆力も必要です。
自分自身の成長だけでなく、周囲のメンバーの成長にも関心を持ち、チームとしてより大きな価値を出していきたい。そんな方と一緒にCF&T SUをつくっていきたいと思っています。
田邉
戦略を描いて終わり、ディールを成立させて終わりではなく、その先のPMIやTransformation、価値創出まで見据えて仕事をしたい方には、非常におもしろい環境だと思います。
戦略、M&A、FAS、投資銀行、会計・税務など、これまで培ってきた経験はすべて起点になります。その専門性をさらに広げ、企業変革全体をリードできるプロフェッショナルを目指したい方と、ぜひ一緒に挑戦していきたいです。
藤澤
※取材当時(2026年8月)の情報です。