デジタルテクノロジービジネスユニット Artificial Intelligence Leapセクター ダイレクター
前職のマーケティングリサーチ会社では、アンケートデータの分析業務などに従事していましたが扱えるデータの量や種類に限りがあり、自身の経験やキャリアの幅をより広げたいと、常々考えていました。加えて、クライアントにより深く入り込み、自身の専門性を還元することでクライアントの課題解決に貢献したいと考え、コンサルティング業界への転職を決意しました。アビームを選んだ理由は、日本に本社を置くグローバル企業である点です。前職はグローバル企業の日本支社であり、データ分析手法の検討にしても協力会社の選定にしても本社の意向に沿う必要があり、課題解決には限界を感じていました。そのためより自由度があり且つ柔軟に挑戦できる環境に身を置きたいと考えました。
現在は、さまざまなデータを活用したAI開発や企業への導入/運用支援プロジェクトを推進しています。例えば、クライアント内に蓄積されている大量の未活用データから目的に合ったデータを選定・分析し、「サービスを繰り返し利用してくれる顧客」や「近く解約する可能性が高い顧客」を検知するAIサービスを開発するなど、クライアントのビジネス課題解決に貢献するプロジェクトに数多く携わっています。また最近では、電話の音声や文章、映像などの非構造化データを自然言語処理技術で分析し、人では気づくことのできない顧客ニーズを抽出するAIの開発プロジェクトを推進しています。
最近手掛けたプロジェクトで印象に残っているのは、XAI(Explainable AI:説明可能なAI)の実現性検証プロジェクトです。AIは性能向上と引き換えに内部構造がブラックボックス化し、AIの挙動や予測結果の妥当性に対するアカウンタビリティの実現が多くの企業で課題となっています。このプロジェクトでは、クライアントが構築している様々なAIモデルについてXAIを実現するためのソリューションや業務フローを検討しました。この領域は日本でソリューションを展開している企業がほとんどないため、米国のスタートアップ企業のソリューションを選定し、クライアントのデータサイエンティストとともにPoCを実施しました。第三者の立場からクライアントの課題に対して最先端の技術やAIソリューションを提案し解決出来たことは、コンサルタントとしてやりがいを感じた取り組みの一つだったと思います。
AIセクターが専門とする領域はデータサイエンス実務だけではありません。企業内に蓄積したデータをどのように活用しデータドリブン経営を実現するのか構想策定をすることもありますし、データ活用人材を育成したり、社内に蓄積されたデータを適切に管理しAI活用につなげるデータマネジメントの実現を支援したり、データ分析基盤を構築したりと支援の幅は多岐にわたります。
AIが実務で活用されはじめた今、単にデータを集めて分析してみるというフェーズは終わり、人、システム、業務、組織の各領域においてデータやAIをいかに活用しビジネス価値向上につなげていくか、という点に議論が移っています。構想策定からデータ活用基盤構築、AIモデル開発、運用までをトータルで支援する、言葉にすると簡単ですがそれを実現するためには各領域で専門性の高い人材が必要です。そうした人材育成をセクター全体で取り組みながら、チームでクライアントの価値向上に寄与できるセクターとしていきたいです。
※内容は取材当時(2022年8月)のものです。