BPO事業
Intelligent Operational Excellence Business Unit
オペレーションを競争力へ。BPXという挑戦

「業務を預かるのではなく、BPXという新たな価値を通じて、日本企業の競争力を高めていきたいと考えています」そう語るのは、Intelligent Operational Excellence Business Unitを率いる矢野 智一Unit Leader。生成AIの進化や人手不足を背景に、企業のオペレーションは競争力を左右する経営課題へと変化している。BPX(Business Process Transformation)という新たなアプローチで、業務プロセスそのものを変革し、クライアントの成果(Outcome)創出まで伴走している。日本企業の競争力向上、そして世界へ価値を広げるビジョンと、それを実現する組織について話を聞いた。

Profile

Principal
Intelligent Operational Excellence Business Unit Leader

矢野 智一

約30年間、コンサルティング業務に従事。製造業、金融(銀行、証券、総合リース)、公共、総合商社といった各業界の業務改革やシステム導入プロジェクトに関与。
2011年、Principalに就任し、プロジェクト責任者として、グローバルプロジェクトや大規模プロジェクトの推進を担うと同時に、方法論委員会やスマートワーク推進等の社内変革プロジェクトのリーダーを務める。
2015年にCFOサービスを担う部門長に就任。2019年、シンガポールの現地責任者に就任後、2023年からは東南アジア地域の統括を兼務し、約1,300人のコンサルタントを率いる。
2026年から、BPO事業を統括するIntelligent Operational Excellence Business Unitのリーダーに就任。

AI時代、競争力を左右するのはオペレーション

Intelligent Operational Excellence Business Unit(以下、OE BU)が担うのは、クライアントの持続的な成長の基盤となるオペレーションの高度化・最適化です。クライアントの業務プロセス全般に対し、テクノロジーとビジネスの両面から向き合い、業務を預かるだけではなく、クライアントと共に変革を実現する共創型アウトソーシングを提供しています。

いま、この領域は生成AIの登場によって大きな転換期を迎えています。これまで人が担ってきた業務をAIが担うようになり、「AIを前提とした業務オペレーションへの変革」が企業の競争力を左右する時代になりました。

クライアントから最も多く寄せられる相談は、オペレーションの効率化やコスト最適化です。競争力に直結する領域へ人材や投資を振り向けるためにも、バックオフィスや共通業務に限らず、抜本的に業務を見直して、より効率的かつ高品質に運営したい。そのニーズは年々高まっています。

しかし、私たちが本質的な課題だと考えていることは、人材です。多くの日本企業では、「人手不足」と「人余り」が同時に起きています。本来であれば、その余力は新たな価値を生み出す戦力へ転換できるはずです。しかし、従来業務と新たな仕事では求められるスキルが異なるため、単純な配置転換では解決できません。また、AIを前提とした抜本的なオペレーション改革を経験した人材の数は、ニーズに対して圧倒的に不足しています。

業務を預かるのではない。成果を生み出す仕組みをつくる

コストと人。この二つの課題に対する代表的な打ち手が、これまでのBPOでした。クライアントの業務を外部が担うことで効率化を図る手法ですが、その価値の中心は「いかに低コストで運営するか」にありました。しかし、人手を前提としたこのモデルはすでに成熟し、海外では数十万人規模で展開するプレイヤーが市場をリードしています。私たちは、その延長線上で勝負するつもりはありません。

私たちが目指すのは、BPX(Business Process Transformation)です。業務を単に引き受けるのではなく、業務プロセスそのものをAI前提で変革する。業務を分解・再設計し、AIが担うべき仕事はAIへ、人だからこそ価値を発揮できる仕事は人へと再定義することで、オペレーション全体を最適化していきます。

だからこそ、私たちが重視するのは「工数」ではなく「成果」です。目指すのは、業務改善の成果そのものを価値として提供すること。処理時間が短くなったか、必要な作業量が減ったか、コストを最適化できたか。そうした成果を継続的に生み出せる業務の仕組みを、クライアントと共につくり上げていくことが、私たちの役割です。

この考え方は、アビームコンサルティング株式会社(以下、アビーム)全体が掲げる「Outcome」の思想とも重なります。提案やシステム導入で終わるのではなく、成果が出るところまで責任を持つ。オペレーションは成果が数字で表れやすい領域だからこそ、その価値を最も明確に示せる仕事だと考えています。

オペレーションは、クライアントの事業を毎日支える基盤です。受発注が止まれば商品は届かず、給与計算が止まれば従業員への支払いにも影響が及びます。だからこそ、「まずはやってみる」という姿勢は許されません。一度引き受ければ3年、5年と続く大規模の取り組みになることもあります。クライアントが大きな覚悟を持って私たちを選んでくださるからこそ、その期待に成果で応え続ける。この変革を最前線で実現できることが、この仕事のおもしろさです。

AI変革は、実行できてこそ価値になる

工数ではなく成果で価値を測るという考え方や、変革を描くだけでなく実現までやり遂げるという考え方は、いまや珍しいものではありません。その中で私たちの強みは、AI変革を現場に実装し、成果につなげる実行力です。私たちの実行力を支えるのは、三つの強みです。

一つ目は、AIを実装するための基盤と体制です。私たちは、AIを活用したBPX事業の中核拠点として「ABeam Intelligent Center(AIC)」を一から立ち上げました。ここでは、我々が考えるフレームワークに沿って構築されたAIエージェントなどの技術基盤だけでなく、人事の問合せ対応やオンボーディング自動化など、実案件から生まれたユースケースを蓄積し、クライアントに実際の活用イメージを体感いただける環境を整えています。

この基盤を支えているのが、業務変革から運用、AI活用までを一気通貫で担う体制です。まず、BPXチームが業務プロセスを可視化・分析し、あるべき業務の姿を設計します。次に、モビライゼーションチームが品質基準(SLA)の整備や業務移管を通じて、安定した運用を立ち上げます。そして、AICが生成AIやAIエージェントを業務へ組み込み、自動化と品質向上を実現します。それぞれの専門チームが密に連携することで、AIを単なる構想で終わらせることなく、実際の業務に定着させ、成果につなげています。

二つ目は、提案する前に自ら実践する姿勢です。私たちはこれを「クライアントゼロ」と呼んでいます。AIによる変革をご提案すると、多くのクライアントから必ずと言っていいほど聞かれるのが、「まず、あなたたちはどこまで実践しているのですか」という問いです。その問いに、自信を持って答えられることが重要だと考えています。

その実践の場となっているのが、NECグループとの取り組みです。何万人もの社員を抱えるNECグループでは、生成AIを活用した業務変革が進んでおり、私たちもその変革を共に推進しています。そこで培った知見やノウハウは、BPXの方法論やAICのユースケースとして蓄積され、次のクライアントへの提案へと活かされています。実際に大規模組織で成果を上げた実践をもとに、AI変革を構想だけで終わらせず、現場への定着まで見据えたご提案ができることは、私たちならではの大きな強みです。

三つ目は、40年以上にわたり築いてきたクライアントとの信頼関係です。アビームは「Real Partner®」を掲げ、クライアントの変革に長年伴走してきました。その信頼があるからこそ、「現在委託している業務を見直したい」「より成果につながる形へ変えたい」というご相談をいただくことも少なくありません。さらに、日本発のコンサルティングファームとして、日本企業の文化やスピード感に寄り添いながら、長期的な視点で変革をご支援できることも私たちの強みです。

その象徴的な取り組みが、2026年7月に発表したソニーグループ株式会社との知財業務改革です。特許の出願・管理といった高度な知財業務を、生成AIを前提としてゼロから再設計し、その運用までを担っています。このプロジェクトでは、AIを実装する基盤と体制、自ら実践を重ねてきた知見、そして長期にわたり成果を出しつづける伴走力、そのすべてが求められます。さらに、ここで構築したモデルは、同じ課題を抱える企業やスタートアップにも展開していく予定です。個社の変革にとどまらず、業界全体へ価値を広げていく。それが、私たちが目指すBPXです。

前例のない挑戦を、未来のスタンダードへ

OE BUはまだ立ち上げ期にあるスタートアップマインド溢れる組織です。事業の拡大に伴い、多様なバックグラウンドを持つメンバーが毎月のように加わっています。業務変革を構想する人、移行を設計する人、AIを実装する人、安定した運用を支える人。それぞれ異なる専門性を持つ人材が力を合わせることで、はじめてアビームが目指すBPXを実現できます。私たちにとって多様性は理念ではなく、成果を生み出すための前提です。

だからこそ、決まった正解を求める人ではなく、新しい仕組みを自らつくることを楽しめる人と一緒に働きたいと考えています。BPXという領域は、まだ業界のスタンダードが確立された世界ではありません。前例がないからこそ、自ら学び、考え、周囲を巻き込みながら挑戦を楽しめる人と、仕事をしたいと考えています。

私たちは今、2030年に向けて事業を大きく成長させようとしています。その実現には、この数年で確かな事業基盤を築くことが欠かせません。時間は限られています。変化の速いAI時代では、綿密な計画を立てること以上に、目の前の機会を素早く捉え、形にしていく俊敏さが求められます。だからこそ今は、組織づくりにも事業づくりにも深く関われる、非常におもしろいフェーズだと思っています。

その先に見据えているのが、グローバル展開です。人件費の差を活用する従来型のアウトソーシングではなく、AIを前提に業務そのものを高度化・最適化するBPXは、日本だけでなく世界中の企業に共通するテーマです。まずは日本でモデルを磨き、その価値をアジアへ、そして世界へ広げていきたいと考えています。

私たちが目指しているのは、クライアントの成果(Outcome)を出し続けることだけではありません。オペレーションの変革を通じて、クライアントの人材変革も成し遂げたいと考えています。AIを活用した徹底的な変革の経験とスキルを保有し、BPXの当事者として変革を主導できる人材を一人でも多く輩出することを目指しています。これにより、日本企業の競争力を高め、日本社会全体をより良くしていくことができると信じています。この挑戦に、本気で向き合いたいと思う方と、ぜひ一緒に未来をつくっていきたいです。