Business Consulting事業
Manufacturing Business Unit
業界も、業務も越えて。課題の根幹から製造業を変革する

世界的な需要構造の変化やAIの進展、人材不足などを背景に、製造業はいま、従来の業界や企業の枠組みを越えた変革を求められている。半導体・電子部品、自動車、素材・化学、石油・プラントエンジニアリングなど、幅広い領域のクライアントに向き合うManufacturing Business Unit。バリューチェーン全体を捉える支援の強み、AIによる「意思決定の変革」、そして課題の根幹を捉え、多様な専門性を束ねて変革を導く「プロデューサー集団」という組織像について、佐藤亮介Unit Leaderが語る。

Profile

Executive officer
Principal
Manufacturing Business Unit Leader

佐藤 亮介

国内大手システムインテグレーターに新卒で入社し、産業システム分野で営業・企画から設計開発まで幅広く経験。その後、外資系総合コンサルティングファームにて、テクノロジーコンサルティング部門・ハイテク産業のリードを歴任。約30年にわたり、製造業・ハイテク産業の意思決定とITの間に一貫して立ち続けてきた経験をもとに、アビームへ入社後は製造業クライアントのAI・DXを含む変革支援を統括している。

業界の境界を越え、製造業のバリューチェーン全体を捉える

Manufacturing Business Unit(以下、Mfg BU)は、製造業のクライアントに向き合うコンサルティング部門です。アビームコンサルティング(以下、アビーム)では、総合電機、半導体・電子部品などのハイテク、石油精製やエンジニアリング、素材・化学、自動車など、BtoB製造業のほぼ全般を対象としています。また、素材・化学などの「プロセス系」から、自動車や電機・機械などの「ディスクリート系」まで幅広い業態をカバーしています。
これほど広範な産業を一つの部門に集約し、製造業として横断的に向き合っているコンサルティングファームは、決して多くありません。近年では、かつて総合電機メーカーと呼ばれていた企業が、事業ポートフォリオを組み替え、従来の産業分類には収まらない存在へと変化することも珍しくありません。事業のあり方が絶えず変化するなか、従来の産業の区切りだけでは実態を十分に捉えられなくなっています。
むしろ、こうした産業の境界にこそ、新たなコンサルティングの需要が生まれます。バリューチェーンを横断した事業変革や、M&Aを通じた異なる企業・事業の統合は、一つの業界の知見だけでは完結しません。だからこそ私たちは、課題に応じて各インダストリーのコンサルタントを結集し、チームを柔軟に組成しています。

例えば半導体市場には、チップそのものを設計・製造するメーカー、製造工程を支える装置メーカー、さらに装置に用いられる材料をつくるメーカーが存在します。それぞれ異なる業界の企業として扱われますが、一つのバリューチェーンを分担する密接な関係にあります。一方、各社が自社の領域を中心に事業を捉えているだけでは、バリューチェーン全体で解消できるはずの無駄やリスクに、十分に手が届かないこともあります。その結果、各社は限られた情報からお互いの動きを予測し、自社で判断できる範囲で対応せざるを得ません。
加えて現在、半導体市場は大きく動いています。自動車やスマートフォンなどの従来の需要に加え、AI向けサーバーやデータセンターへの投資が急拡大しているためです。供給体制の確保に加え、地政学リスクを踏まえたサプライチェーンの再構築も求められるなか、個社の視点だけでなく、バリューチェーン全体を俯瞰する視点が不可欠になっています。
製造業のバリューチェーンを部分ではなく、一つの流れとして捉え、業界の境界を越えて支援できる。それが私たちMfg BUの大きな強みです。

製造業に「意思決定の変革」を

私たちが向き合う製造業の各領域には、それぞれ異なる変革の波が押し寄せています。一方で、どの領域でも共通して論点になる課題もあります。グローバル市場でどう戦うか、AIを自社の事業や仕事にどう取り込むかなどです。
日本の製造業が持続的に成長するうえで、グローバル市場での成長は欠かせません。一方、各国・地域で実際に何が起き、競合企業がどこまで取り組みを進めているのかを、日本の本社から正確に把握するのは容易ではありません。アビームは、長年にわたってアジアを中心に築いてきた拠点網に加え、欧州のパートナーファームとも連携しています。各地域の実情を捉えながら、現地での変革支援から海外動向の調査まで、一貫した体制で担えることが、私たちの強みです。
もう一つの課題であるAIの活用には、日本の製造業ならではの難しさがあります。日本の製造業は、部門や役割の境界を越えて調整し合う「すり合わせの文化」と、技能を磨き続ける職人気質を土台に発展してきました。そうした強みの多くは、一人ひとりの経験や判断のなかに暗黙知として蓄積されています。これまで受け継いできた強みと、データを前提とするAIをどのように融合させるのか。日本の製造業に適したAI活用を実現することは、いま重要な経営アジェンダの一つです。

そこで私たちが提言しているのが、「意思決定の変革」です。これから日本では生産年齢人口の減少が進み、製造現場を支えてきた熟練者も次々と退いていきます。そのなかで成長を続けるには、定型的な業務をAIに置き換えるだけでは十分ではありません。熟練者が持つ暗黙知や判断をAIが活用できる形に変え、限られた人数でも意思決定の質とスピードを高められるよう、仕事そのものをつくり替える必要があります。
意思決定の変革とは、AIの活用を「業務」ではなく、「意思決定」の単位で考えることです。例えば「営業部門にAIを導入する」という大きな括りではなく、「見積り金額の初期提示をAIに任せるか」という粒度まで具体化する。これまで人が担ってきた判断について、どこまでをAIに委ね、何を人が担い続けるのかを一つひとつ見極めていきます。それは、単なるテクノロジーの導入ではなく、人の役割や意識を変える取り組みでもあります。
例えば、北米でモビリティ関連製品の流通事業を手がけるある企業では、仕入れた在庫を販売しきるまでに1年近くかかる一方、需要が発生する時期を正確に見通しにくいという課題がありました。長年にわたり需給調整の改善を重ねてきたものの、従来の業務単位での見直しには限界がありました。そこで、サプライチェーン全体を地図のように広げ、どこで、誰が、何を判断しているのかを洗い出しました。そのうえで、それぞれの判断をAIに委ねられるかを点検したところ、人にしかできないと思われていた判断にも、AIに任せられる領域が見えてきました。業務ではなく、意思決定を単位に捉え直したからこそ見いだせた変革の余地です。

課題の根幹から、プロジェクトをつくり出す

世界の需要や技術、働き手を取り巻く環境が変化するなか、製造業では新たな構造的課題も生まれています。なかでも半導体のように大規模な投資や急速な事業拡大が続く領域では、成長に伴って新たな構造的課題も生まれています。その一つが、変革を進めるために多くの外部パートナーを活用するほど、クライアントの管理負担が大きくなっていくという問題です。
成長を続ける業界や企業には、様々な専門性を持つ外部パートナーが集まり、複数のプロジェクトが同時に動きます。外部の知見やリソースを活用することは変革に欠かせませんが、関係するパートナーが増えれば、それぞれとの調整や管理を担う社員も必要になります。その結果、社員が本来注力すべき業務に十分な時間を割けなくなるだけでなく、外注費が積み上がり、コスト構造が硬直化することもあります。さらに、各社が個別の方法でプロジェクトを進めることで、AIの活用一つをとっても、社内の仕組みやルールがばらばらになりかねません。
実際、ある装置メーカーのクライアントとは、個々のプロジェクトではなく、プロジェクトを管理する構造そのものに課題があるという議論をしたことがあります。社員と外部パートナーのやり取りや、各プロジェクトに共通して発生する業務を一つの基盤に集約し、そこでAIを活用して管理業務の効率化とスピードアップする方策について討議しています。

こうした提案ができるのは、私たちが製造業というインダストリーに軸足を置きながら、扱う課題を限定していないからです。特定のテーマを起点にすれば、議論はその領域の内側に収まりやすくなります。財務会計を起点にすれば財務の課題が、AIを起点にすればAIの課題が見えてくる。私たちはインダストリーを起点に向き合うからこそ、特定の専門領域からこぼれ落ちる問題も、解くべき課題として拾い上げることができます。クライアントが「これはどの領域の専門家に相談すべきか」を、あらかじめ切り分ける必要もありません。
課題を限定しないからこそ、私たちはクライアントが抱える課題の根幹に触れることがあります。社内で検討が進み、提案依頼書の形になるころには、課題はいくつもの施策へと分解されています。そのうちの一つを請け負う立場では、そもそもの課題設定や、施策への分解の仕方まで問い直すことは容易ではありません。だから私たちは、クライアントがまだ困りごとの全体像を捉えきれていない段階から踏み込みます。何が本当に解くべき課題なのかを共に整理し、必要な専門性を集め、プロジェクトそのものをつくり出す。それもMfg BUの大切な役割です。

プロデューサー集団として、日本の製造業の未来を牽引する

私が組織に言い続けているのは、「プロデューサー集団であれ」ということです。クライアントが抱える課題を見極め、必要な専門性を組み合わせ、最適なチームをつくる。自らデリバリーを担うこともあれば、専門家に託すこともあります。大切なのは、自分ですべての答えを出すのではなく、答えを導き出せるチームと仕組みをつくり、プロジェクトの立ち上げからビジネス成果が生まれるまで責任を持つことです。それが、私の考えるプロデューサーの役割です。
こうした考え方は、私自身が21年間、グローバルコンサルティングファームで仕事をするなかで培ってきたものでもあります。個々のケイパビリティを別々に提供するのではなく、一つに束ね、経営課題を解くためのストーリーとして届ける。クライアントと長く向き合い、信頼関係を築きながら、任せていただける領域を広げていく。これまで重ねてきた経験を、日本発のアビームだからこそできるスタイルで実現していきたいと考えています。
プロデューサーとしての役割を担うには、何よりもまず、クライアントの事業と課題を深く理解していなければなりません。この部門には、石油プラントの保全を担っていたエンジニアや、家電メーカーで新規事業の開発をしていたメンバーなど、製造業の現場を経験してきた人材が集まっています。事業会社で働くなかで、日々の業務を動かしながら変革を進めることや、社外の専門家と連携して新たな取り組みを形にすることの難しさを、身をもって知っている。その経験を生かし、今度は支援する側として製造業の変革に貢献したい。そんな思いを持つメンバーが、この部門に集まっています。

定期的に開催する部門の全体会議も、メンバー同士が学び合う場としています。数字や業務連絡だけでなく、それぞれのキャリアや仕事の進め方、実践から得た知見を共有しています。AIの活用については、私自身が若手メンバーから学ぶことも少なくありません。役職や年次に関係なく学び合いながら、これからのコンサルティングのあり方そのものを考え直す取り組みも始めています。
製造業は、アビームにとって重要なインダストリーの一つです。だからこそ、個々のクライアントの支援にとどまらず、日本の製造業全体への貢献にも、さらに踏み込んでいかなければならないと考えています。
例えばモビリティ領域では、一社の自動車メーカーだけでは実現できない変革が増えています。自動車業界にとどまらず、交通や旅行、宿泊など、様々な企業やサービスをつなぎ、日本の移動体験全体を構想していく。こうした業界横断の取り組みには、多くの企業の利害や考え方を整理し、共通の目的へと導く存在が必要です。日本企業の価値観や商習慣を理解し、長年にわたって製造業のクライアントと信頼関係を築いてきたアビームだからこそ、構想だけでなく、関係者の合意形成や取り組みの推進まで担えると考えています。それは、日本発のグローバルコンサルティングファームである私たちだからこそ発揮できる価値です。
これからさらに人材とケイパビリティを充実させ、アビームのビジネス、そして日本の製造業の未来を牽引できる部門へと成長させていきます。