ABeam DX Insight 第6回
DXリーダーシップ
~4つのミッションと7つのスキル~
ABeam DX Insight 第6回
DXリーダーシップ
~4つのミッションと7つのスキル~
菅田 一基
戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル
DXによるビジネスマネジメントモデル変革を実現し、自社のポジションや競争力を飛躍的に向上するためには、外部向けだけでなく、自社内部の壁を突破できるリーダーシップが必要になる。
また、既存の業界秩序においてフォロワー(後続企業)と位置づけられる企業にとって、デジタルは戦局転換のドライバーとして活用することができるはずであるが、現実には、外部からのプレッシャーによる受け身の取組みとなりがちであり、DXの取り組みが後手に回りがちだ。
このような状況を打破し、デジタルによって競争力の強化や自社のポジションを飛躍的に向上させる契機とするためには、強力なリーダーシップが前提となることは言うまでもない。
DXによる戦局の転換を実現するために、アビームコンサルティングでは、DXリーダーには以下のようなミッション、スキルが期待されると定義づけている。これまでの事例をもとに具体的に解説する。
DXリーダーのミッション
DXリーダーのミッションをリーダーシップを発揮する方向(内部・外部)と果たす役割(ドライブ/実行者・カタリスト/推進者)によってカテゴライズし、4つに分類したのが以下の図だ。
特に、内部的にDXを率先垂範できる側面が重要性を増してくると考えている。ビジネスモデル変革への抵抗・不安感を払拭しながら改革を実行することや、社員の意識改革は極めて重要なミッションになる。
図1 DXリーダーの4つのミッション
DXリーダーに求められるスキル
上記のミッションを実現するために必要となるスキルとして、コンセプチュアルスキル、ヒューマンスキル、ジョブスキルの3つの領域ごとに以下のスキルを定義している。
ジョブスキル、ヒューマンスキルに加えて、重要性が高まっているのが、コンセプチュアルスキル=概念化能力だ。技術側面からだけでなく、デジタルの本質を言語化する能力等はデジタルの意義・役割を説いていくうえで必須のスキルになっている。
図2 DXリーダーに求められる7つのスキル
DXリーダーシップ育成アプローチ
上記のようなミッション・スキルが求められる中、アビームコンサルティングでは、研修などの基礎的なアプローチに加えて、以下の3つの観点からDXリーダーシップを育成することが重要だと考えている。
図3 DXリーダーシップ育成アプローチ
1. 新たな尺度によるDX人材の発掘
既存のモノサシでは測れないDX人材候補を社内外から発掘する
例)現場・社外からの変革提案の公募、人材登用
2. DX能力・マインドの育成
デジタルの本質を学び、変革の実践を通じて成長させる
例)実践型ワークショップ、多面フィードバック
3. DX人材が評価され、活躍し続ける環境づくり
DX人材に期待するジョブのデザイン、変革マインドに火を点ける人事制度を構築し、新たな文化を形成する
例)パーパス・ドリブンの行動評価、表彰制度
DXにおけるリーダーシップは永続的な課題である。それぞれの企業で必要なリーダーシップの在り方を定義し、育成のためのプラットフォームを体系化・整備することが重要になる。