ABeamNavi
EVENT REPORT
アビームナビ イベントレポート


アビームコンサルティング
代表取締役社長
代表取締役社長
山田 貴博
ユーザベース代表取締役
Co-CEO/CTO
Co-CEO/CTO
稲垣 裕介
2024年2月15日に実施したABeamNavi -vol.2-のイベントレポートをご紹介します。
アビームコンサルティング代表取締役社長と
ユーザベース代表取締役 Co-CEO/CTOによる就活生必見のスペシャルTOP対談
ユーザベース代表取締役 Co-CEO/CTOによる就活生必見のスペシャルTOP対談
これからの時代、チームを成功に導くには
アビームコンサルティング代表取締役社長の山田貴博と、当社OBで、就活生必携のソーシャル経済メディア「NewsPicks」や経済情報プラットフォーム「SPEEDA」を展開するユーザベース代表取締役 Co-CEO/CTO 稲垣裕介氏のスペシャルTOP対談が実現。2人のリーダーが語る「変革の時代にビジネスパーソンに求められる資質」とは。
PROFILE
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稲垣 裕介いながき ゆうすけユーザベース 代表取締役 Co-CEO/CTO大学卒業後、アビームコンサルティング株式会社に入社。
プロジェクト責任者として全社システム戦略の立案、金融機関の大規模データベースの設計、構築等に従事。
2008年に新野良介、梅田優祐とともにユーザベースを創業。2022年から現職。 -
山田 貴博やまだ たかひろアビームコンサルティング 代表取締役社長外資系コンサルティングファームの東京およびニューヨークオフィスを経て、2003年アビームコンサルティング入社。総合商社、金融、通信、エネルギー、運輸、製造業を中心に幅広い業界での戦略策定、経営・業務・IT改革などを担当後、金融・社会インフラビジネスユニット長に就任。
2016年取締役を経て、2020年4月に代表取締役副社長COO。
2023年4月に代表取締役社長CEOに就任。
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企業経営の「土台」はアビームが教えてくれた
- 本日はどうぞよろしくお願いします。さっそくですが、稲垣さんは2004年に新卒でアビームに入社されたそうですね。
- 稲垣氏(以下、敬称略) 学生の頃、まだ朧気ながら、将来はテクノロジーを武器に起業したいと考えていました。そこで、コンサルティングとITを掛け合わせた仕事に興味を持ち、良い会社だと思ったのがアビームでした。アビームの選考を受けましたがご縁がなく、別のITコンサル会社に内定をいただきました。しかしながら、入社する予定だったITコンサル会社がアビームの子会社となったため、結果的にアビームへ新卒で入社することになりました。
- 山田 私はアビームへ2003年にキャリア入社しましたが、監査法人のクライアントに対してコンサルティング部門がサービス提供できないというSOX法がアメリカで制定され、日本の企業でも内部統制に関する改革などが主要アジェンダだった時期と記憶しています。テクノロジーへの期待も、最近のWeb3や生成AIといった新たな価値創出目的ではなく、内部統制を支える基幹システムの整備など、かなり業務的課題を解決するためのものだったと思うのですが…、稲垣さんがアビームを卒業されてユーザベースを立ち上げられたのは2008年ですよね。 時代に先駆けたことをされてきたのだなと、改めて驚きました。アビーム時代の経験で、何かその後の事業に活かされていることはありますか?
- 稲垣 おっしゃるとおり、当時は基幹システムの導入が盛んな時代でした。システムを構築する際の、いわゆる土台づくりの大切さについて身を以て知る機会が数多くありました。そこでエンジニアとしての足腰を鍛えることができたと思っています。例えば、ユーザベースの主要サービスである経済情報プラットフォーム「SPEEDA」は、“スピードアナリスト”がその語源ですが、当サービスの要である“とにかく速いシステム”を実現できたのは、間違いなくアビーム時代の経験があったからです。また、アビームでコンサルタントとしての視点や感覚を磨くことができたおかげで、起業時に共同経営者たちと経営体制や経営思想についてしっかり話し合いをすることができ、ユーザベースという会社の基盤づくりに繋がったと感じています。
- 今でもアビームの社員とは交流があるのでしょうか?
- 稲垣 はい。大規模な統合プロジェクトに従事したことがあり、数年間、そのプロジェクトの関係で名古屋で暮らしていたのですが、当時のプロジェクトメンバーたちとは毎週のようにバーベキューをするなど、とても仲が良く、私が会社を立ち上げた際も、すごく助けてもらいました。今でも集まることがあります。そう考えると、アビームに一番、感謝すべきは、人との繋がりをいただいたことかもしれません。
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アビームとユーザベースの共通点。共創、伴走、顧客起点。
- 改めて、ユーザベースという会社の特徴を教えてください。
- 稲垣 ユーザベースは、高校の同級生とその友人の3人で創業したスタートアップです。蛇口をひねればいつでも水が出るように、僕らのサービスを使うことで誰もが欲しい経済情報を簡単に手に入れられる世界を創りたい、そんな思いを持ってスタートしました。創業メンバー3人の掛け算でスタートを切り、そこに様々な個性を持った人たちが集まってきて、まさにチームの力で勝ってきた会社だと思っています。現在は会社全体で、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスを掲げ、その実現のため、各サービスの融合とともに新たな価値の創造を目指しています。以前にも増して、人の知見が重要だと感じており、コンサルタントやアナリストなど様々なエキスパートたちとのネットワークにも力を入れています。
- 山田 人的ネットワークとパーパスを重視されているということですが、アビームでもそこはまさに、今、力を入れているところです。社会を取り巻く環境もビジネス環境も不確実性が高まり、ますます将来の予測が困難になっている中で、コンサルティングファームが自分たちの力、知見だけで適切な課題解決に導くのはかなり難易度が高いものになってきました。今は、既存の枠組みにとらわれず、クライアント、そして様々な強みを持つパートナー企業や人材…学生の皆さんのようなデジタルネイティブもその中に含まれていますが、様々な専門性を持つ人達を巻き込みながら、ともに新しい価値を生み出していく“共創”が、これまで以上に大事になってきていると感じています。
- 多様なメンバーが力を合わせることが重要ということですが、チームを成功に導くには何が必要だとお考えですか?
- 山田 さきほど稲垣さんがおっしゃったチームの強みの話とも通じると思いますが、組織や個人が持つ多様性を尊重しながら、それぞれの力を最大限に引き出し、さらにそれをチームの力として転換していくことができるリーダーシップではないでしょうか。そしてそれは、これからの時代、つまり共創時代のコンサルタント一人ひとりに求められる能力であるとも考えています。
- 実際にアビームのコンサルタントのリーダーシップが活かされた事例を教えてください。
- 山田 現在、当社ではグリーントランスフォーメーション(GX)やサーキュラーエコノミーといった、いわゆるサステナビリティトランスフォーメーションに関わる経営アジェンダへの対応に力を入れています。例えば、GXで求められているのは、ネットゼロ実現に向けた戦略やロードマップの策定といったコンサルティング支援だけでなく、実際にCO2の排出量の削減を実現まで持っていく力です。実現のためには、様々な企業が持つ商品・ソリューションサービスを組み合わせることが不可欠で、現在、いくつかの共創プロジェクトが走り出しています。戦略を描くだけでなく、描いた戦略の実現まで責任を持って取り組むというのも、リーダーシップと合わせて、これからのコンサルタントに求められる姿勢といえます。
- 稲垣 山田さんのお話しから、アビームの経営理念である「リアルパートナー」という言葉や、それを実践してクライアントから信頼を勝ち取り、バイネームで次々とプロジェクト指名されていたアビーム時代の上司の姿を思い出しました。私もその影響を受け、クライアントの期待を受け、期待に答えることで信頼の循環を作るということを意識するようになりました。ユーザベースはプロダクトの会社なので、クライアントに寄り添うというイメージとは少し違いますが、「常にそこにある存在」を目指すという意味では似ているところもあると思います。これまではプロダクト起点で頑張ってきましたが、多様な顧客ニーズに対して包括的なソリューションを提供できるように、今は思い切って顧客起点に切り替える必要性を感じています。
- 山田 共創やテクノロジーによる変革の実現や課題解決に力を入れているところもですが、クライアントのその先の顧客視点というか、顧客起点から変革テーマを創出しようとしている点は、近年、アビームが大事にしていることと重なります。やはり出自が同じだと、考えることや行動も似てくるのだと嬉しく思いました。
- 稲垣 そんな風に言っていただけて光栄です。今後はより一層、社会インフラとしてサービスを認知してもらえるように、引き続き、様々な策を講じていきたいと考えています。
- 山田 まさに最初におっしゃっていた、蛇口をひねれば、いつでも水が出るように経済情報が手に入る世界の実現ですね。ユーザベースの作り出す情報インフラの上で、アビームが新しい価値をクライアントと創造していく…そんな形の共創もいつか実現したいですね。
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変化が激しく、不確実性の高い時代を生き抜くために必要なスキルとは?
- ビジネスと社会の未来を変えることをリードしていくためには、共創が重要になるということが分かりました。では、学生のうちに身につけておくべきスキルに関してアドバイスをいただけますか?
- 稲垣 新卒で入社したときも起業したときも、私の武器は常にデジタルテクノロジーでした。だから、皆さんにもテクノロジーに強くなることをオススメします…とは言いません。まずは、役に立つかどうかは一旦忘れて、自分が好きで、他の人よりも得意だと思えるものを、やり続けてください。それがあなたの武器になってくれるはずです。ただ得意なことだけでは通用しないときがいずれ必ず訪れます。私の場合は経営体制の刷新によりCEOにならなければいけなくなったときがそうでした。自分のコンフォートゾーンではないから、最初はとても辛くて、なぜエンジニアの自分が経営について考えないといけないのかと思うこともありましたが、半年もすればできることが増えてきて、最近ではすっかり営業も得意になってきました。なぜ、そんな風に事が進んだかというと、それまで創業者として社内に向けていた愛情を社外にも向けてみたら、少しずつ良い方向へ進んでいくようになりました。正直これはやってみなければわからなかったことでした。つまり、求められた役割には全力で応える、それが未経験のことであっても一度は挑戦してみる、そうした心がけが何よりも大事だということです。
- 山田 私も具体的なスキルというよりは、心構えについてお伝えしたいと思います。今は先行きが不透明、且つ予測不能な時代だとお伝えしましたが、これから社会に出ていく学生の皆さんにとっては、過去の成功体験が通用しない時代ですので、むしろチャンスですし、面白い時代だという認識でいてもらいたいです。コンサルタントという仕事をしていると、過去の成功体験へのこだわりから、新たな成功体験を創るようなチャレンジができなくなってしまうことがあります。それに対して皆さんは、そうした縛りなく、自由な発想で課題と向き合える、それだけで十分に戦うことができます。日常の中で培われたデジタルクリエイティビティも大いに役立つはずですし、ぜひ自信をもって社会に出てきてもらいたいというのが私からのアドバイスです。
- 大変、貴重なアドバイスをありがとうございました。では最後に一問ずつ、本日のイベントに参加してくれた方たちからお二人への質問をお受けしたいと思います。まずは、稲垣さんへの質問です。「今、新卒で就活をするならどのような軸で会社を選びますか?」とのことですがいかがですか?
- 稲垣 得意領域を磨くことと、自分ができないことへのチャレンジをバランスよく実践できる環境が一番良いと思っていて、その考えは昔も今もあまり変わっていません。そういう意味では自分にとってアビームはまさに希望に沿った就職先でした。また、アビームでは社会人には欠かせない論理的思考力も身につけることができました。ただ自分の立場としては、スタートアップをオススメしたい気持ちもあるので、自信がある人たちにはぜひ挑戦してもらいたいと思っています。
- では、続いて山田さんへの質問です。コンサルタント時代に、意識して取り組んだことを教えてくださいとのことですがいかがでしょうか。
- 山田 コンサルタントは、プロジェクトベースで仕事をしているので、一つのプロジェクトが終わると、メンバーは解散し、次のプロジェクトにアサインされます。その際に、次のプロジェクトの選択肢が複数あった場合、必ずそれまで自分が経験したことのないプロジェクトを選ぶように心がけてきました。稲垣さんの話にも出てきましたが、コンフォートゾーンに留まるよりも敢えて困難な状況に飛び込むことで自ら成長を促すというわけです。最近はさらにそこで自分にしか貢献できない何かを見つける努力も欠かさないようにしています。そうすることできっと自分の専門性はまだまだ高められる、今はそんな風に考えることが多いです。
- お二人とも本日はどうもありがとうございました。