独立行政法人日本スポーツ振興センター

独立行政法人日本スポーツ振興センター

Customer Profile

会社名 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)
所在地 東京都新宿区霞ヶ丘町4-1
設立 2003年(特殊法人等整理合理化計画に基づき、日本体育・学校健康センターから移行)
事業内容 日本におけるスポーツの振興および児童生徒等の健康の保持増進を図るための中核的・専門的機関として11分野の業務

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

顧客体験(CX)を描き、新スポーツくじ「WINNER」を企画
「toto」「BIG」の運営支援実績を基に構想から販売まで支援

スポーツくじ「toto」「BIG」を展開している独立行政法人日本スポーツ振興センターは、新たなスポーツくじの商品構想から販売までの一連のプロジェクトをアビームと進めた。顧客がスポーツを楽しむ喜びや体験価値を向上できる商品として、サッカーとバスケットボールの1試合ごとの予想を楽しむ新しいスポーツくじを構想。
大規模プロジェクトを1年半という短期間で完遂し、2022年9月に「WINNER」の販売を開始した。売り上げの一部をクラブに還元するという仕組みを作り、新しいスポーツの応援の形を浸透させようと挑んでいる。

独立行政法人日本スポーツ振興センター

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 「toto」「BIG」に続く新しいコンセプトの商品設計
  • スポーツくじの新しい顧客層の獲得
  • 幅広い販売網や決済システムなどと連携したシステムの円滑な構築・運用

ABeam Solution

  • 新スポーツくじ「WINNER」プロジェクトの推進(全体管理、商品設計・マーケティング計画・分析・販売チャネルなどの戦略策定、組織・業務改革、システム構築支援、外部パートナー調整)

導入後の効果

  • 1試合ごとに予想する新スポーツくじ「WINNER」の販売を実現
  • 顧客のCXを描き、地域をフックにくじファンとスポーツファンが循環するストーリーを創出
  • 1年半という短期間での構築を完遂し、販売運用を円滑に開始

Story

猪村 篤氏

アビームのコンサルタントは一人ひとりがプロフェッショナルで、まさに職人だと感じました。これまでの取り組みに感謝しています
 

 

独立行政法人
日本スポーツ振興センター
スポーツ振興事業部
部長
猪村 篤氏

Story

プロジェクトの背景

「toto」「BIG」に続く新しいスポーツくじの販売を新規事業として計画

 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下、JSC)は、日本のスポーツの振興と児童生徒などの健康の保持増進を図るための中核的専門機関として、2003年に設立された組織である。JSCは、「未来を育てよう、スポーツの力で。」というコーポレート・メッセージを掲げ、スポーツが持つ価値が日本の豊かな未来への活力となるよう、幅広い取り組みを行っている。
 JSCの業務は、国立競技場、秩父宮ラグビー場などのスポーツ施設の運営およびスポーツの普及・振興に関する業務、スポーツくじの販売と試合結果に基づく当せん金の確定と払い戻しなどのスポーツ振興投票等業務、スポーツ振興基金助成やスポーツ振興くじ助成などのスポーツ振興のための助成業務など、11の分野に及ぶ。
 そうした中、アビームは2013年からスポーツくじ事業の経営企画の支援をしている。「JSCの業務の中で、スポーツくじ販売とその収益によるスポーツ振興への助成は重要な業務として位置づけられています。
スポーツくじ販売では販売戦略やシステムの安定稼働が重要になりますが、独立行政法人であるJSCにはそうしたノウハウが足りないため、民間の知見を取り入れるべく入札を行うことになりました。アビームは、顧客体験(CX)やデジタルの知見を生かし、totoやBIGの売上最大化をミッションに、長年にわたって共に価値創出に取り組んでくれています」と日本スポーツ振興センター スポーツ振興事業部 部長 猪村篤氏は説明する。
 アビームが長年「toto」「BIG」のマーケティング戦略策定・実行、システム企画から運用保守業務を支援している中、JSCの新たなテーマとして新規事業の企画・販売が計画された。

 

笠原 亮司氏

アビームと1つのチームになって、プロジェクトを進めることができました。一緒に新しいスポーツ応援のカルチャーを作っていきたいと思います

 

独立行政法人
日本スポーツ振興センター
スポーツ振興事業部
推進役
笠原 亮司氏

 

Story

プロジェクトの目標・課題とアビームの貢献

CXの定義から業務準備・システム構築までの大規模プロジェクトを1年半で完遂

 スポーツくじは、スポーツ振興投票の実施等に関する法律に基づき2001年に販売開始され、売り上げから当せん払戻金、国庫納付金、経費等を除いた収益は主にスポーツ振興のための事業に助成される。
最初にスタートしたのがサッカー13試合の結果を購入者が自分で予想する「toto」だ。続いて、2006年に販売を開始したのが、購入者の予想が不要でコンピュータがランダムに試合結果を選択する「BIG」である。
 「BIG」は発売から20年近くが経過する中で、当せん払戻金の増額も行ってきたが、さらなる購入者増と売り上げ拡大を図るため、2020年にはスポーツ振興投票の実施等に関する法律が国会で改正され、1試合予想で対象をサッカー「Jリーグ」だけでなくバスケットボール「Bリーグ」に広げた新しいスポーツくじの販売が可能になり、JSCにおいて開発準備に着手した。
 新スポーツくじ「WINNER」プロジェクトは、「toto」「BIG」とは異なる新たなコンセプトのスポーツくじを創り出すことを目指した。そこで提供すべきCXを描き出すために、まず定量調査やデプスインタビューを通して消費者心理を分析。くじ購入者がスポーツを楽しむ喜びや体験価値を向上させ、「WINNER」がくじファンとスポーツファン・クラブファンのハブとなることで、スポーツ界はもとより各クラブの応援を通して地域の活性化を加速させるというコンセプトを定めた。ここで最も苦労したのは、コンセプトを基にCXをどのように創り出していくか、新たなスポーツ観戦と応援をどう形作っていくかという部分だった。
 「 プロジェクトメンバーに加えてスポーツ庁、販売チャネルなどの外部パートナーなど関係するステークホルダーも多く大規模なプロジェクトなので、先を見通すのが重要で、全体の方向性や認識をしっかり関係者で議論して決定経緯も含めドキュメントに起こして進めていこうという提案をアビームから受けました。実際にその方法で取り組むことで、CXから具体的な施策までをブレイクダウンして立案することができました。また、各外部パートナーとの過去の取り組みを通じて得た特性や課題感を踏まえた形でそのドキュメントを再構成し説明することで、関係各所と合意形成することができました」と、日本スポーツ振興センター スポーツ振興事業部 推進役 笠原 亮司氏は語る。
 その上で、2022年9月のBリーグ開幕に合わせて、「WINNER」の販売を開始することを目指した。そこから逆算すると、プロジェクトの期間は1年半程度と限られていた。そのため、事業展開上の必要な事項の決定とシステム開発を並行して行わなければならなかった。
 「 この規模のプロジェクトは、通常であれば2年は必要と考えていました。しかし開始までには1年半ほどしかなかったため、正直不安もありました。アビームからプロジェクトを1年半で進めるための具体的な計画の提示を受け、各外部パートナーとの調整状況を含め進捗報告を受ける中で、これであれば大丈夫だと思えるようになりました」(猪村氏)。
 プロジェクトで、アビームは全体管理、商品設計・マーケティング計画・分析・販売チャネルなどの戦略策定、組織・業務改革、システム構築支援、外部パートナー調整など幅広い領域を担当した。特に、策定したプロモーション方針を基にした広告代理店とのプロモーションの準備、追加となる業務を定義した上で運用委託業者との準備、ビジネス要件からシステム要件に落とし込んだ上でベンダーによるシステム構築の管理、多数の販売チャネルをはじめ外部パートナーとの調整など、数多くのステークホルダーとの連動が必要になった。加えて、新たな販売チャネルや決済方法の追加なども並行し、複雑に絡み合っていた。
 「JSCが運営するシステムだけでなく、10数社に上る販売チャネルのシステムとの連携も必要なため、非常に難易度の高いプロジェクトでした。アビームの助言を受けて、最終的な業務の姿や販売のあり方を描き、そこに不足している部分を見定める形でシステムを開発していきました。それによって必要最小限の対応で開発でき、最短でカットオーバーにこぎつけることができました。販売成功に向けて、アビームのマネジメント能力が欠かせませんでした」と日本スポーツ振興センター スポーツ振興事業部 システム企画課 課長 西田 直樹氏は振り返った。

 

西田 直樹氏

アビームはプロジェクト関係者とオープンなコミュニケーションを取ってくれ、一緒に道筋を考えてくれました。それを正面から受け止めたことが正しい判断につながり、計画通りのシステム稼働につながったと思います
 

独立行政法人
日本スポーツ振興センター
スポーツ振興事業部
システム企画課
課長
西田 直樹氏

 

新スポーツくじ「WINNER」のコンセプト概要
 

新スポーツくじ「WINNER」のコンセプト概要

Story

導入効果と今後の展望

新しいスポーツ応援カルチャーの浸透で、「WINNER」の販売拡大を図る

 2022年9月、「WINNER」の販売は計画通り開始された。「WINNER」はJリーグとBリーグのリーグ戦・カップ戦の試合の中から好きな1試合を選んで試合結果を予想するが、リーグや大会などの競技会の優勝チームを予想するくじも販売している。「コンセプトの検討から始めて、短い期間の中で開発を進め、苦労もありましたが、新しいコンセプトの商品を販売することができました。今後さらに認知度を高め、売り上げを伸ばすことや対象リーグの発展に寄与することでスポーツ振興につなげていきたいと考えています」(猪村氏)。
 現在、くじ市場全体が縮小傾向にある中で、スポーツくじは「BIG」を中心に1000億円を超える売り上げを安定的に確保している。その上で、JSCは「WINNER」の売り上げを伸ばし、スポーツくじ全体の売上拡大を目指していく。
 「アビームの支援の下、新しいスポーツ応援カルチャーを浸透させるため、WINNERに関する市場調査、公式サイトの顧客行動などをトータルで分析し、より顧客起点でのマーケティング施策を行うことでWINNERの認知向上とCX向上を図っていきたいです」(笠原氏)。
 JSCでは、アビームの支援の下「WINNER」の楽しみ方に関する新たな施策を打ち出し、新しいスポーツ応援カルチャーの浸透を図っていく考えだ。

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