あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

Customer Profile

会社名 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
所在地 東京都渋谷区恵比寿1-28-1
設立 1918年
事業内容 損害保険事業
資本金 1000億円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

全社目線・ゼロベースで照会応答のあるべき姿を再構築
継続的に問題を解決する「問題解決のデジタル化」を実現

損害保険大手のあいおいニッセイ同和損害保険株式会社。同社は運用中のAI機能による照会応答システムの見直し・機能高度化のため、アビームをパートナーに照会応答プロジェクトを開始した。40カ所の全社照会プロセスを分析し、ゼロベースで照会応答のあるべき姿を再構築。全照会プロセスをデジタル化し、年間数億円の業務量削減と営業社員の自立支援を実現。全社横断のミドルオフィス「デジタル照会センター」を立ち上げ、照会原因に基づくデータの類型化により、継続的な問題解決を行う仕組み(問題解決のデジタル化)を実現している。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 全社で運用する照会応答システムにおける工数増大の解消
  • AI 機能を持つ照会応答システムの見直し・機能高度化

ABeam Solution

  • 全社横断でのDXコンサルティング
  • 経営指標と関連付けたKPI設定によるPDCAサイクル設計支援
  • 全社横断のデジタル改革組織の設立支援

導入後の効果

  • 照会センターの業務量削減により年間数億円のコスト削減を達成
  • 営業社員・代理店の自立促進と顧客満足度の実現
  • 社員教育と営業社員育成プログラムへの反映

Story

矢澤 雅之氏

私はこれまでコンサルティング会社にあまり良い印象がありませんでした。結果が出なくとも支援が完了したら終わりで、当事者意識が低いと感じることが多いからです。アビームは他のコンサルティング会社とは異なり、課題を常に自分事として捉えて提起し、私たちと同じオーナーシップを持って取り組みを進めてくれました。これからも頼りにしています

 

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部長
矢澤 雅之氏

Story

プロジェクトの背景

AI機能による照会応答システムの見直し・機能高度化と工数増の解消を目指す

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)は、あいおい損害保険とニッセイ同和損害保険が2010年に合併して誕生した、MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の損害保険会社である。同社は最重要事業ドメインである「地域密着」の進化と「収益力」強化の実現を掲げており、全社を挙げてビジネス構造と社員の働き方を抜本的に変えるビジネススタイル変革を推し進めてきた。「2021年には地域の優良な代理店に営業拠点の機能を担ってもらう中核代理店構想を打ち出しました」とあいおいニッセイ同和損害保険 業務プロセス改革部長 矢澤 雅之氏は語る。
 実現には、営業店から来る保険商品や事務手続きなどの照会に対して、本社が回答する照会応答業務が今まで以上に重要になる。
 あいおいニッセイ同和損保では、以前から全社で業務量調査を行っていたが、照会応答業務の工数が膨大になっていることが問題になっていた。解決のために、2016年に最先端のAI機能を持つ照会応答システムを導入し、全ての照会をAIが対応する仕組みを導入した。しかし、実際に使用してみると、保険の複雑な規定やマニュアルを基にAIが自動回答できる範囲には限界があり、人が頻度の高い質問と回答をFAQとしてAIに学習させ続けなければならなかった。その結果、AIに学習させるための工数が膨れ上がり、問題解決できたと言える状況にはならなかった。

Story

アビームの選定理由

決め手は目標を定め、そこに向けてプロセスを構築する戦略思考

 そこで、あいおいニッセイ同和損保では、AI機能による照会応答システムを廃止し、デジタルと人の役割分担を再定義して、最適解をゼロベースで導き出していくことにした。照会応答プロジェクトは、単なるFAQツールの導入による改善とは一線を画し、経営課題である営業社員・本社社員の生産性向上を目的としたビジネススタイル変革の重要施策と位置付けた。そして目標を、業務の効率化ではなく、営業社員の自立、ひいてはその先のお客さま満足に向けたPDCAサイクルの自走においた。
 その上で、照会応答プロジェクトを共に担うパートナーの選定を行い、最終的にアビームを選んだ。今回のプロジェクトでは、目指す姿を明確にして、そこに向けたプロセスを考える戦略的思考が極めて重要になる。「複数のコンサルティング会社の提案を検討しましたが、アビームの提案はゼロベースで抜本的なあるべき姿を検討して、その上で必要に応じツールを導入するというもので、私たちの考え方に合致していました」とあいおいニッセイ同和損害保険 業務プロセス改革部 デジタル照会センター センター長 長沼 知幸氏は振り返る。
 「アビームの提案は、一般的な型に当てはめるというやり方ではなく、あいおいニッセイ同和損保の持てる力を引き出し、尊重した上で、相互のチームワークよくワンチームでプロジェクトを運営していくという内容だったことも、アビームを選んだ大きな理由です」(長沼氏)。

長沼 知幸氏

スコープは無限とも言えますが、リソースは限られています。その中で最大の成果を出していくためのパートナーとして、アビームは最も優れていると思います

 

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部
デジタル照会センター
センター長
長沼 知幸氏

 

Story

プロジェクトの目標・課題と解決策

デジタルと人の役割分担を再定義し、デジタルで問題を可視化

 プロジェクトを進める中で最も難しかったのは、AIを含めたデジタルと人の役割分担だ。あいおいニッセイ同和損保では、AIの発展により営業社員からの照会をデジタル技術で一定程度対処可能だと考えていた。しかし、AIは大量のデータの中から素早く現象を把握することはできても、問題解決そのものはできない。そこで、プロジェクトの中で、改めてデジタルと人の役割分担を再定義し、人が問題解決していくために、デジタルは最短で問題の発生原因を定量的に可視化できるようにする役割に定めた。そのために、全社で合わせて40カ所の照会応答プロセスを調査し、全社目線で現状把握を行い、大きく次の3つの施策を立案した。
 1つ目がゼロベースを起点にあるべき照会プロセスの再設計、2つ目が蓄積したデータを活用して継続的に問題を解決できるPDCAサイクルの導入、3つ目がミドルオフィスとしてのデジタル照会センターの立ち上げである。
 1つ目のあるべき照会プロセスの再設計では、従来の照会プロセスをゼロベースで見直し、営業社員が自己学習し、自立することを目指したプロセスに再構築した。結果として、必要十分なツールを実装することができ、運用コストの削減にもつながった。2つ目のPDCAサイクルの導入では、単にツールの機能を使ってFAQを改善するサイクルを回すのではなく、原因を人が分析した上で、定量データから原因を可視化し、施策を実行するサイクルを立案したのが特徴だ。まず、インタビューなどで照会が起きている原因の仮説を人が立案し、特定の原因で発生している照会を定量的に把握するためのKPIを定め、データベースから抽出することで、現状を可視化する仕組みを作っていった。「結果として、担当者はKPIを確認し、施策を実行するサイクルが簡単に回せるようになり、継続的に問題解決を続けられる仕組みをつくることができたと思います」(長沼氏)。
 これらの継続的な取り組みを、3つ目の施策であるデジタル照会センターの設立につなげていった。デジタル照会センターでは、照会に関わる一連の業務を全てデジタル上で完結し、デジタルデータに基づいて照会が減らない原因を分析することで、部門横断による問題解決を継続していく。「当初はプロジェクトとして横断機能を担っていましたが、デジタル照会センターの設立を契機に、顧客から当社への照会プロセスをスコープに含め、今まで以上に全社で照会プロセスの再設計に取り組む環境が整いました」とあいおいニッセイ同和損害保険 業務プロセス改革部 担当課長 久保田 道子氏は説明する。

久保田 道子氏

アビームは私たちの自立に向けた取り組みを熱い思いを持って進めてくれました。ここまで私たちの目線で考えてくれることに驚きましたし、本当に感謝しています

 

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部
担当課長
久保田 道子氏

 

照会プロセスの現状とあるべき姿

照会プロセスの現状とあるべき姿

問題解決のデジタル化(継続的に問題解決し続ける仕組みの導入)

問題解決のデジタル化(継続的に問題解決し続ける仕組みの導入)

Story

導入効果と今後の展望

営業部門と一体となった全社DXの成功事例として経営からも高い評価

 アビームはあいおいニッセイ同和損保の強みを尊重しながら、必要な部分で専門性を提供するワンチーム型の運営を行うことで、実現性の高い構想を練り上げることに大きく貢献した。さらに、プロジェクト終了後に、あいおいニッセイ同和損保が自走していける仕組みを構築した。改革は当初の構想を実現して終わるものではなく、自らの手で改善を重ね、運営し続ける必要がある。そこで、アビームは継続的に問題を解決し続けるためのPDCAサイクルにこだわった。「PDCAについては、私たちだけでは短期的な視点で捉えてしまい、ある意味で妥協しそうになることもありました。アビームは、我々を励ましながら、長期的な視点でPDCAサイクルを一緒になって考えてくれました。そこまで踏み込んで意見してくれたことが、現在大いに役立っています」(長沼氏)。
 運用を開始したデジタル照会センターによって、組織の壁を越えて、必要な範囲で関連部門を巻き込んで、各部門と共に問題解決を進めることができるようになった。
 年間数億円のコスト削減にとどまらず、定量データの結果からは、営業社員の自立効果も継続的に確認できている。また、全ての照会対応が電話ではなくツール上での対応となったことで働き方も大きく変わり、テレワークが可能になった。こうしたことから、今回のプロジェクトは営業部門と一体となって、あるべき姿を追求した全社DXの成功事例として、経営からも高く評価されている。
 将来的には、参画するメンバーがルールを決めて、その仕組みをツールに入れてプログラム化していけば、事務局は既存問題解決を自動化し、より高度な問題解決に時間を充てることができる。実際に効果は着実に表れている。照会応答をデジタル化したことで、今まで分からなかった照会件数や利用率、品質の状態もつかむことができるようになった。「アビームと共に、データを基にどうやって問題解決を考えるのかといったベースとなる仕組みがつくられたことで、本社の関連部門の中でも、データを基にして考え、対策を立てるということがだんだんとできるようになりました」(久保田氏)。
 照会応答プロジェクトでは、今後、代理店や顧客からの照会応答業務にフォーカスを当てる。その中で、代理店も社員と同様にPDCAを回し、顧客に対してもホームページの改修などコンタクトルートの整理を実施していく。それらを通して、営業社員の自立だけでなく、代理店の自立、顧客満足度向上に向けて、全社での取り組みを進めていく考えだ。

 

ミドルオフィスとしての「デジタル照会センター」の必要性

ミドルオフィスとしての「デジタル照会センター」の必要性

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