三井化学株式会社

三井化学株式会社

Customer Profile

会社名 三井化学株式会社
所在地 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
設立 1997年
事業内容 ライフ&ヘルスケアソリューション事業、
モビリティソリューション事業、
ICTソリューション事業、
ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業
資本金 1,255億7,200万円
URL https://jp.mitsuichemicals.com/jp/index.htm

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

企業変革に向けてDX人材育成計画と研修コンテンツを策定
全社員のデジタルリテラシー向上と専門人材の育成を目指す

大手総合化学メーカーの三井化学株式会社。長期経営計画「VISION2030」の柱の1つである「DXを通じた企業変革」に向け、全社員のデジタルリテラシー向上とデータサイエンティストの育成に取り組んでいる。
アビームをパートナーにDX人材育成計画の策定、研修コンテンツを作成し、レベル0から3まで実践的な研修の実施により、25年度までに165人のデータサイエンティストを育成する計画だ。全社員が業務にひも付いたユースケースからDXの知識を習得することで、デジタルを活用した社会課題解決に向けた動きを加速させていく。

三井化学株式会社

プロジェクト概要

導入前の課題

  • デジタル技術を活用した企業変革の実現
  • 全社員のデジタルリテラシーの向上
  • 事業部門でのデータ利活用人材の不足

ABeam Solution

  • ABeam AI人材育成コンサルティングサービス

導入後の効果

  • DX 人材育成計画策定による「DXを通じた企業変革」に向けた道筋の構築
  • 研修実施によるデジタルリテラシー向上、事業部門でのデータ活用・データ分析の理解促進

Story

浦川 俊也氏

現場へのヒアリングを行い、当社の業務 を深く理解してくれたアビームの協力が あったからこそ三井化学独自の研修コン テンツを作成できました

 

三井化学株式会社
理事
デジタルトランスフォーメーション推進本部
デジタルトランスフォーメーション企画管理部長
浦川 俊也氏

Story

プロジェクトの背景

全社員のデジタルリテラシー向上と専門人材の育成を計画

 三井化学株式会社(以下、三井化学)は、三井東圧化学と三井石油化学工業が合併して、1997年に誕生した総合化学メーカーである。同社は2030年に向けた長期経営計画「VISION2030」を策定し、「変化をリードし、サステナブルな未来に貢献するグローバル・ソリューション・パートナー」を目指して、取り組みを進めている。その基本戦略は、事業ポートフォリオ変革の追求、ソリューション型ビジネスモデルの構築、サーキュラーエコノミーへの対応強化、経営基盤・事業基盤の変革加速、DXを通じた企業変革の実現の5つだ。その中で、DXの全社・全領域への展開による変革は長期経営計画VISION2030の戦略実行の土台になっている。
 三井化学ではDXを通じた企業変革の実現のためのビジョンと基本戦略を打ち出している。ビジョンは三井化学グループ全社員によるデータとデジタル技術の活用を通じ、社会課題解決のため、革新的な製品やサービス、ビジネスモデルをアジャイルに創出、企業・業界・社会の変革をリードするというもの。基本戦略は、業務変革の推進、開発力の強化、事業モデルの変革、デジタルリテラシーの向上の4つの推進で、CX(コーポレートトランスフォーメーション)を通してビジョンを実現していく。
 基本戦略の中で、最も重要なミッションはデジタルリテラシーの向上だ。全社員への教育を通して、デジタル技術の活用レベルを向上させ、専門スキルを有する人材を育成することで、DX推進を加速させていく。「同業他社と比べて、三井化学はデジタルマーケティング領域などでDXの取り組みが遅れていると認識していました。事業部門とバックオフィス部門の日常業務でデータが積極的に活用され、競合に追いつき追い越すためにも、役員を含む全社員を対象に研修を実施することにしました」と三井化学 理事デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタルトランスフォーメーション企画管理部長 浦川 俊也氏は語る。

Story

アビームの選定理由

三井化学の業務に合わせた独自コンテンツの作成が決め手

 三井化学ではDX人材の育成に当たって、最初に社員に興味を持ってもらうことが重要と考えた。世の中にある汎用的なコンテンツで学習するのではなく、三井化学の事業や業務に沿った形で独自の研修コンテンツを作成することで、社員が自分事として捉えやすく業務でデータを活用するイメージが湧きやすくなるように意識した。研修コンテンツを三井化学の業務に即したものにするには、外部の力が欠かせないと判断し、化学業界での知見とデータサイエンティスト人材育成の実績が豊富なアビームコンサルティングをパートナーに選んだ。アビームを選んだ理由は、三井化学独自のコンテンツを化学業界における事例を基に分かりやすく、親身になって一緒に作成してくれる提案だと判断したためだ。
 DX人材育成計画は、アビームの支援の下、データサイエンティスト協会のスキル定義に従って、データ活用の重要性を理解できるレベル0、上位者の指示に基づいて、データ分析を実行できるレベル1、上位者による確認を前提に、独力でデータ分析を実行できるレベル2、高度な分析技術を用い、組織全体の課題解決に向けて取り組むことができるレベル3と、4段階にDX人材レベルを定義し、レベルごとに習得すべきスキルに基づく人材育成計画を作成した。事業部数や主要製品数、年間プロジェクト実施数を基に、必要なデータサイエンティスト数を算出し、研修実施スケジュールと研修参加者数から現実的な育成人数を決めていった。「レベル0研修は2021年度中に役員を含む国内の全社員1万人を対象として場所や時間を問わず受講できることを前提にeラーニング形式の研修を実現するための研修教材や動画などのコンテンツを作成しました。レベル1研修は2022年度に約1,000人を対象にデータ分析の基礎知識を習得する座学研修と実践的なスキルを習得する演習研修を実施します。レベル1を受講した社員の中から選抜して、より高度な分析スキルを習得するレベル2研修とレベル3研修を行い、最終的に2025年度までに165人のデータサイエンティストを育成します」と三井化学 デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタルトランスフォーメーション企画管理部 企画グループリーダー 櫻井 雅浩氏は説明する。

櫻井 雅浩氏

アビームは親身な姿勢で取り組んでくれました。これからもデータサイエンティストを育てるために一緒にチャレンジ していきたいです

 

三井化学株式会社
デジタルトランスフォーメーション推進本部
デジタルトランスフォーメーション企画管理部
企画グループリーダー
櫻井 雅浩氏

 

Story

プロジェクトの目標・課題と解決策

レベル0研修後、社員のDXへの関心を高めるための施策を展開

 レベル0研修とレベル1研修は、多くの社員への幅広いデータ分析・利活用スキルの定着を目的にアビームと討議を重ねてきた。研修教材を提供するだけでなく、DXの潮流、化学業界のDX事例の紹介、DXを理解するための専門用語集、研修受講後の認定試験を設定するなど様々な観点からスキル定着化に向けて工夫している。
 教材作成にデータを使った分析演習では、アビームのコンサルタントと一緒に各事業部門のDXリーダーであるDXチャンピオンにヒアリングを実施し、三井化学の将来の業務を想定して活用できそうなユースケースを作成し、ユースケースを利用した実践的な演習を解いてもらうことで受講者が業務に応用できるとイメージを持てるようにした。
 2021年度は1万人の社員がレベル0研修の受講が完了し、2022年度は事業部門に所属する社員を中心に約1,000人がレベル1研修を予定している。「全社員を対象としたレベル0研修では内容が難しいという意見も寄せられました。そのため、社内にスタジオを開設して動画を撮影し、DXマガジンとして毎月全社員へ配信することで、DXについての関心を高める施策を行っています。また、研修内容を解説するフォロー勉強会をはじめ、興味を持った社員のさらなるスキル向上を図るための勉強会や情報発信も実施しています。研修コンテンツを作成して終わりということではなく、研修受講者の声を取り入れてより良い人材育成を実現するために、アビームとの効果検証の一環で実施できた取り組みの1つです」(浦川氏)
 2022年4月から開始したレベル1研修は1年間を4期に分けて行う計画で、第1期の約200人の受講が完了した。「私も受講していますが、三井化学の業務を想定したユースケースに基づいた演習があり、非常に身近に感じられます。社員が取り組みやすい工夫がされていて、とても学びやすいコンテンツだと満足しています」(櫻井氏)
 レベル1研修の受講者をサポートするための月2回の勉強会も開始しており、研修を受けた人の大半が参加して熱心で活発なやり取りが繰り広げられている。

 

レベルごとのスキル定義
 

レベルごとのスキル定義

Story

導入効果と今後の展望

現場の課題解決を中心としたレベル2研修コンテンツ作成を開始

 2021年度に実施したレベル0研修は全社的に好評で、社員のDXに対する関心とモチベーションを高める成果が上がった。受講後のアンケートでは「知識のレベルアップに役立った」という意見が多数寄せられている。「一歩先へ進もうとすると理解が難しい部分があり、もっと勉強しなくてはと思ったという声も上がってきています。そういった気づきを得ることができた社員が多く、手応えを感じています」(浦川氏)
 レベル2研修のコンテンツ作成も進んでいる。レベル0とレベル1の研修はeラーニングだったが、レベル2研修は実際の現場の課題を解決していくもので、高度な内容になってくる。「アビームは、スキルレベルと各レベルの人材像の定義からレベル0およびレベル1の研修コンテンツと認定試験の作成まで、大きな力を発揮してくれました。レベル2研修に向けたコンテンツ作成に当たっても、三井化学を理解した上で内容を精査してもらっており、とても心強いです」(櫻井氏)
 三井化学ではレベル2研修のコンテンツ作成と実施は大きなチャレンジだと考えている。レベル2の人材像はデータサイエンティストとして社会的にも特別なスキルを持つ専門家として評価されるようなスキルレベルを設定しており、三井化学にとってその価値は非常に大きい。「アビームの化学業界やデータサイエンスに関する知見を信頼し、レベル0とレベル1研修を共に作ってきた実績を生かして、この先も両者で連携しながらレベルの高いコンテンツを作成していきます」(浦川氏)
 三井化学では、今後、DX人材育成計画を着実に進め、高度なデータ分析技術を持つデータサイエンティスト・エキスパート集団として、DXを通じた企業変革を実現していく考えだ。

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