旭化成株式会社

旭化成株式会社

Customer Profile

会社名 旭化成株式会社
所在地 東京都千代田区有楽町1丁目1番2号
日比谷三井タワー
設立 1931年
事業内容 繊維・ケミカル・エレクトロニクス事業からなる
「マテリアル」、住宅・建材事業からなる
「住宅」、医薬・医療・クリティカルケア事業
からなる「ヘルスケア」の3領域で展開
資本金 1,033億8,900万円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

54社2万人が使う旅費・経費精算、請求書支払業務のDXを推進
紙や捺印を廃止し、デジタルでの帳票保存・電子承認を実現

総合化学メーカー大手の旭化成株式会社。同社は紙ベースだった旅費・経費精算業務を効率化するために、アビームをパートナーとして、グループ企業54社2万人に、出張管理クラウド「Concur Travel」経費精算クラウド「Concur Expense」を導入し、大幅な工数削減と不正防止、コンプライアンスの向上、電子帳票による保存を実現した。さらには、規模をグループ企業57社に拡大し請求書管理クラウド「Concur Invoice」の導入に取り組んでいる。旭化成では旅費・経費、請求書関連帳票をSAP Concurに蓄積し、DXを推進していく考えだ。

旭化成株式会社

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 紙ベースの旅費・経費精算業務による膨大な工数の削減
  • 紙精算のため不正請求のチェックが困難な状態の解消
  • 請求書支払での紙・手作業による業務の解消による工数削減

ABeam Solution

  • SAP Concurの大規模導入プロジェクト計画・実行支援

導入後の効果

  • 旅費・経費精算のデジタル化による業務負荷の大幅な削減を実現
  • 自動チェック機能による不正防止、コンプライアンスの向上
  • 電子帳簿保存法対応による紙の廃止・電子帳票による保存の達成

Story

吹田 一人氏

アビームは旭化成の業務を知り尽くしており、私たちと共に1つのチームとなって動いてくれました

 

旭化成株式会社
人事部
人事給与サポート室
室長
吹田 一人氏

Story

プロジェクトの背景

DXによる業務改革を目指し、旅費・経費精算システム刷新を計画

 旭化成株式会社(以下、旭化成)は1922年創業で、今年100周年を迎える総合化学メーカーである。同社は時代と共に変化する社会課題に挑戦し、ポートフォリオを絶えず変革することで成長してきた。合成化学や化学繊維からスタートした事業は現在、繊維・ケミカル・エレクトロニクス事業からなる「マテリアル」、住宅・建材事業からなる「住宅」、医薬・医療・クリティカルケア事業からなる「ヘルスケア」という3つの領域へと拡大している。事業持株会社である旭化成と、7つの中核事業会社を中心に、グループ全体では60社近い規模になっている。
 旭化成は、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つの「サステナビリティ」の好循環を目指す中で、2022年度からの「新中期経営計画2024~Be a Trailblazer~」を策定した。最初の3年間を2030年の目指す姿に向けたファーストステップと位置づけ、次の成長事業への重点リソース投入と、中期視点での抜本的事業構造転換への着手による事業ポートフォリオの革新に取り組んでいる。「新中計では経営基盤強化のために取り組む重要テーマとして、Green(グリーントランスフォーメーション)、Digital(デジタルトランスフォーメーション)、People(人材のトランスフォーメーション)を設定しています。Digitalではデジタル創造期と位置付け、デジタルで多様な資産を最大限に活用し、ビジネスモデルを最速で変えていく取り組みを開始しています」と旭化成 経理・財務部 経理室 単独経営管理グループ グループ長 三嶌 晴志氏は語る。
 旭化成では、2021年度までの前中期経営計画「Cs+for Tomorrow 2021」で、DX推進による事業の高度化とワークエンゲージメントの向上、リモート環境でも活躍できる基盤づくりを進めてきた。人事部でも人事部門における業務改革のために様々な取り組みを進めてきており、その1つが旅費・経費精算システムの刷新である。

 

三嶌 晴志氏アビームのサポートは非常に強力で、アビームのガイドに従って進めていくことで、ゴールにたどり着くことができました

旭化成株式会社
経理・財務部 経理室
単独経営管理グループ
グループ長
三嶌 晴志氏



 

Story

アビームの選定理由

決め手は旭化成の業務への理解とSAP Concurの大規模導入プロジェクトの豊富な実績

 従来、旭化成では旅費精算業務は人事部が所管し、20数年前に自社開発したExcelをベースとしたシステムで行ってきた。精算書の印刷、領収書の添付など、紙での申請であるため効率が悪く、承認者は領収書の有無や金額の確認を行う責任があるが、書類が多すぎるために業務が膨れあがっていた。一方、経費精算業務は経理部が所管している別のシステムで行っており、チェック機能が十分に働かない状態に陥っていた。「旅費精算と経費精算を分けていたのは社内の都合だったので、デジタル化してデータを活用していく上では、両方を1つのシステムに統合することが不可欠だと考えました。そこで、人事部と経理・財務部が一緒になって、新旅費・経費プロジェクトを立ち上げ、新しいシステムを導入することにしたのです」と旭化成 人事部 人事給与サポート室 室長 吹田 一人氏は説明する。
 導入ソリューションは過去に検討したことがあるSAP Concurに決め、パートナーとしてアビームを選んだ。アビームを選んだのは、他の人事業務改革プロジェクトを担当しており、旭化成の業務を深く理解していることから、旅費・経費業務改革の計画策定から実現まで確実に導いてくれると判断したためだ。加えて、SAP Concurに関して多くの導入実績があり、承認フローなどの仕組みづくりについての知見が豊富であることも評価した。
 プロジェクトの最大の目的は、グループ企業54社2万人の年間およそ50万件に上る旅費・経費精算の手続きから、上長による承認、伝票起票・承認、スタッフ部門によるモニタリングまでの膨大な業務工数の大幅削減だった。さらに、紙による精算・申請ではチェックの限界に達していた不正防止やコンプライアンスレベルの向上を図るとともに、電子帳簿保存法対応による電子帳票保存を実現することも課題とした。「今までは事業会社によってコーポレートカードの利用範囲が違うなど、グループ内で異なる運用やルールがありました。それをグループ全体で統一して標準化し、システムを一気に導入することにしました」と旭化成 経理・財務部 経理室 土居ノ内 薫氏は振り返る。

 

土居ノ内 薫氏

アビームは他社の事例に関する知識も豊富なので、それらを参考にすることで自信を持って取り組みを進めることができたと感謝しています

 

旭化成株式会社
経理・財務部 経理室
土居ノ内 薫氏

 

 

Story

プロジェクトの目標・課題と解決策

SAP Concurの一斉導入による、旅費・経費、請求書支払業務の標準化・効率化

 新旅費・経費精算システム導入にあたって、苦労したのはグループ内の各事業会社との調整だった。特に規模の大きい事業会社では管理部門のトップが業務の標準化に合意しても、担当レベルまで一気に浸透させることが難しい。さらに、製薬業の旭化成ファーマのように法規制に則った独自のルールがある事業会社もある。それらをSAP Concurの統一基盤で運用していくために、アビームのアドバイスを受けながら1社ずつ訪問し、経理部門や人事部門の担当者と話し合い、標準化したルールにのっとって業務を進めることができるように調整していった。「人事部が管轄する旅費は延岡で集中して管理していたのですが、経理部門は各地区や工場に現場の社員に寄り添うような形で配置されていました。そのため、各拠点に存在する経理部門との調整に、特に力を入れて取り組みました」(三嶌氏)。
 「今までは社内説明会などをオフライン中心で実施していたのですが、新旅費・経費プロジェクトのさなか、新型コロナウイルス感染症の流行により、それができなくなりました。その際、導入教育を補完する役割として、画面上で操作をナビゲーションしてくれるWalkMe導入もアビームは支援してくれました。これにより、稼働時のユーザーの混乱が抑えられ、ルールの変更についても早く社内に浸透できたと思っています」(吹田氏)。
 また、旭化成では2023年4月に会計基幹システムの更新を計画しており、請求書支払業務も改革する機会となっていた。請求書は各現場で支払処理をしていたが、労働環境変化への対応と経理業務標準化を目的に、BPOベンダーへの業務委託により集中的に伝票処理を行うことを検討した。しかし予想以上にBPOベンダーでの工数がかかることが分かり、請求書支払業務を現場担当者から直接申請するプロセスへと大きく改革することとした。そして、旅費・経費プロジェクトでワンチームとなって導いてくれたアビームにプロジェクト計画の策定を依頼した。それにより2021年4月、Concur Invoiceでグループ企業57社が利用する請求書支払業務改革プロジェクトを立ち上げることができた。
 どちらのプロジェクトも、旭化成グループ全体への導入のため、アビームは業務処理のやり方を変えることが及ぼす影響やリスクを把握した上で、旭化成の様々な部門のメンバーと協力しながらプロジェクトをマネジメントしていった。SAP Concur導入ベンダーやBPOベンダーなど、関係者が多岐にわたる中、全体の調整を図りながら計画通りプロジェクトを完遂した。

 

旅費・経費精算業務のあるべき姿
法人カードや交通系ICカード連携、旅行代理店から利用履歴データを自動連携することにより、入力負荷の削減や不正の排除に寄与

旅費・経費精算業務のあるべき姿

請求書支払業務のDX
Concur Invoice 、AI-OCR、入力ナビゲーションツール(WalkMe)を組み合わせて、DXを実現

請求書支払業務のDX

Story

導入効果と今後の展望

業務負荷削減とコンプライアンスレベル向上を実現し、データ利活用で業務の高度化を図る

 旅費・経費精算システムは2021年4月に計画通り稼働を開始した。2023年4月の稼働を目指している請求書支払業務改革プロジェクトは、システム開発をほぼ完了し、現在、操作の習熟などユーザートレーニングに向けた取り組みを進めているところだ。「グループ企業54社2万人が利用する旅費・経費精算システムを一気に導入できたのは大きな成果です。電子帳簿保存法対応を達成し、紙の証憑を廃止、電子帳票での保存を実現しました。営業担当はオフィスに戻らなくても精算ができ、承認者はモバイル端末での承認が可能になったため、働き方改革にもつながっています」(吹田氏)。
 加えて、法人カードや交通系ICカードのデータ連携によるペーパーレス精算が実現し、SAP Concurのチェック機能の活用によって、不正防止やコンプライアンスレベルが大きく向上した。「今までは事業会社の経理部門がそれぞれ旅費・経費のモニタリングや監査対応などを行っていました。SAP Concurを導入したことで、チェックのロジックを統一させ、最後に出てくるデータを持株会社の経理が確認すればよくなったので、経理部門の業務負荷も大きく軽減されました」(土居ノ内氏)。
 一方、請求書支払システムはAI-OCRで請求書読み取りを自動化することで手間とミスを削減した上で、Concur Invoiceを利用する。これにより、紙を廃止して電子帳票保存を実現する。
 2つのシステムが運用されることで、すべての帳票がSAP Concurに蓄積されることになり、旭化成では監査対応の調査をはじめとして、データの利活用を進め、DXを加速していく考えだ。

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