ABeam DX Insight 第10回

DXタレント
~3つのDX人材モデル類型~


菅田 一基

戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル

 

DX推進において最適な人材の発掘・育成は非常に重要なカギになる。今後、本格的なビジネスモデル変革を見据えた場合には、それぞれの組織階層でDX人材への転換が求められ、DX人材としての要件も高度化していくだろう。今回は、ビジネスモデル変革を進めるためのDX人材モデルについて解説する。

まず、ビジネスモデル変革を見据えた場合、変革に向けたイノベーション戦略やビジネスモデル設計の検討に貢献できる人材が求められる。そのため、現場レベルだけでなく、ミドル層以上にもDX人材を配置することが重要となる。

図1 各組織レイヤーでのDX人材転換

図1 各組織レイヤーでのDX人材転換

また、デジタル活用による新しいビジネスモデルへの変革を実現するためには、テクニカルスキルを中心とした人材モデル定義を超えて、より高度な人材モデルについても定義する必要がある。この点、細かい違いはあると思われるが、大括りで考えると以下のような類型に整理することができるだろう。

図2 3つのDX人材モデル

図2 3つのDX人材モデル

①ビジネスイノベーター
DXによるビジネスモデル変革には、社会・産業の将来構想を踏まえたビジョン・パーパス定義が欠かせない。さらに、定義されたビジョン・パーパスに基づいて戦略を立案し、ビジネスにイノベーションを巻き起こす役割が期待される。そして、これら一連のプロセスをリードできる人材が必要となる。

②ビジネスデザイナー
新しいビジネスモデルへの変革には顧客の潜在的な課題の掘り起こしが不可欠となる。加えて、豊富なビジネス知見に裏打ちされたデジタル活用を検討し、価値創出につなげることができる人材が必要となる。

③ソリューションアーキテクト
同様に、顧客の潜在課題の掘り起こしに続いて、ビジネス起点ではなく、デジタル技術に関する深い知見を起点として、独自の提供価値を持つビジネスを創出できる人材が求められる。

 

DX戦略の実行に向けては、ビジネス部門とITテクノロジー部門の密な連携が必要となることを考えると、双方を柔軟に行き来できる人材が特に重要となる。ビジネス部門とITテクノロジー部門の相互理解を進めるために、ビジネス部門にいながらITテクノロジーを理解できる人材(上記②)、IT部門にいながらビジネスを理解できる人材(上記③)などがキーパーソンとなり、これらの人材を未来構想によってリードできる人材(上記①)が全体をまとめながら推進することとなる。

こうしたDX人材モデルについて定義したうえで、自社内外での人材発掘・育成への取り組みを開始することが重要とだと言える。
 

ABeam DX Insight

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