CFO領域のDigitalization -5つの壁と3つの成功要因-

多くの企業が経営情報、KPIの整備および財務・経理業務の効率化を経営課題として認識している。これらの課題に対してデジタル技術を活用することに積極的な意思が見られるものの、大半の企業は依然としてデジタル化の途上にあり、取り組みの範囲も「RPA」や「Cloud(SaaS)」に留まっている。しかも、デジタル化の効果として、効率化を期待している企業が大半であり、経営情報やKPIの整備に関してデジタル化を推進している企業は少数である。少なくとも現時点ではデジタル技術の活用領域は、情報登録のように高負荷になりがちな業務が中心である。

財務・経理部門としての付加価値をデジタル技術が拡大し、新たな価値をもって経営課題に奏功する貢献を果たすには、いまだ遠く時代が及ばないのだろうか。もしくは、何らかの羅針盤をたずさえることで、デジタル時代にふさわしいDigitalization(デジタル情報の活用)が可能となるのだろうか。


CFO領域のDigitalizationへの5つの壁

 

調査(※1)によるとデジタル技術の活用範囲を「RPA」「クラウド(SaaS)」としている企業は80% を超えており、その効果として定型的な業務の効率化に期待を寄せる企業が50%近くあった。いまだ導入段階であり期待効果の測定まで 至っていない企業も多いものの、RPA活用による作業の効率化・高速化に一定の効果が出ていることも読み取れた。また、自動化すべき業務についても、高負荷となる情報登録作業での活用に多くの期待がかかる。経理業務では、送付された請求書に基づきシステムへデータ入力するなど、一定のボリューム作業が存在しているため、効率化を目的としたデジタル技術の活用が容易と感じやすいのであろう。デジタル技術による効率化で余った工数や要員には、財務・経理部の別業務をあてたいとの意見が80%を占めており、あくまで財務・経理部門内での有効活用を前提としている点も特徴的である。働き方改革やスマートワークというキーワードが注目される昨今において、財務・経理部の業務の一部を自動化し、財務・経理部門全体の作業を平準化することに寄与したいと考えていることが伺える。
ここで、「デジタル化とは何か」に立ち返って考えてみたい。果たして、人の単純作業やボリューム作業を機械に任せることだけがデジタル化の目的と考えてよいのだろうか。

例えば、現在のRPA活用の多くの理由付けはERP導入期に語られた効率化と同様と考えられる。CSVファイルを基に画面入力を行うツールについては以前から存在しているが、OCR技術の進化により自動化できる範囲が格段に広がったことや、「スマートワーク」「働き方改革」といった時代背景が、比較的導入が容易なRPA活用を後押ししている一因とも考えられる。

既存業務や既存技術の進化といった枠組みの中で標準化や効率化を推進していることが、現在のデジタル化の実態と考えられる。

昨今は、IoTソリューションのように今まで取得できなかったデータを取得するソリューション、マシンラーニング(機械学習)、さらにビッグデータ分析に見られるような膨大な量の情報処理や経験(データ)の蓄積に基づく判断・処理など、機械だからこそできることを実現できるソリューションが提供され始めている。効率化によるコスト削減だけではなく、「機械だからこそできること」に投資し、企業経営、財務・経理にとっての新たな価値創造に寄与することにより、Digitalizationの本質的な成果を獲得することが大切なのではないだろうか。

中国のある企業では、日本の技術者やベテランのセールスマンをヘッドハンティングし、彼らの匠の技や行動をデータ化し、活用し始めている。Digitalizationによりすさまじいスピードで日本企業のノウハウを吸収しているのである。

ではなぜ、財務・経理部門がDigitalizationによる新たな価値創造ではなく効率化を求めているのか。本アンケート結果から、そこにはDigitalizationを阻む5つの壁が存在すると我々は考える。

  • ※1.デジタル時代に求められる会計業務のプロセス、CFO組織の人材像、CFO組織のあり方を明らかにする目的で、東証一部上場企業および未上場の有力企業の財務・経理部門宛に郵送アンケート調査を実施した。

ここからは、財務・経理部門のDigitalizationの実現に向けた「知識」「技術」「データ」「制度」「人材育成」の5つの壁の存在について解説したい。

Digitalizationへの5 つの壁

Digitalizationへの 5 つの壁

一つ目の壁:知識

「知識の壁」とは、デジタル技術にはどのようなものがあり、その技術をどのように活用ができるのか、詳細な情報を入手できていないことにより生じる壁である。財務・経理部門としてデジタル技術を具体的に業務に活かすことがイメージできてないと、そもそもデジタル化を推進することができない。
「デジタル技術を適用した後、CFOに必要となる知識や能力」についてのアンケート調査によると、60% 以上の企業が「IT 技術、デジタル技術の知見が必要」と回答している。IT 部門任せにするのではなく、財務・経理部門自らがアンテナを張り、情報収集および知識の獲得に取り組んでいく必要がある。また、活用に向けては、情報収集に留まらず、技術の活用イメージを具体化する必要がある。投資対効果を経営陣に説明するためには、将来業務を実現する財務・経理部門が責任を持って対応できなくては、Digitalizationは推進できないであろう。

二つ目の壁:技術

「技術の壁」とは、Digitalizationを推進したい業務はあるが、実現にあたり信頼性を保証できるデジタル技術が存在しない、もしくは技術は存在するが活用にあたり信頼性を保証できるかどうかを判断できないことにより生じる壁である。「実績登録業務」についてアンケート調査をしたところ、妥当性・正当性を含めた最終承認に否定的な回答があったのは、AIなどの技術への信頼度の低さであると推察できる。
例えば、機械学習は数ヶ月から数年分のデータを学習させ、事実に基づいた経験則を定着させていく技術であるため、本来的には、機械が行う判断は、過去の事実に基づいて処理されているはずだが、そもそもその判断・判定そのものを信頼できない、という壁である。この壁を突破するためには、活用すべきデジタル技術の特性を見極め、はじめから完璧な仕組みを作るのではなく、実証実験などを通じて、小さな活用範囲から徐々に実績を作り込んでいく意識が必要だろう。

三つ目の壁:データ

「データの壁」とは、機械学習やビッグデータ分析など、実用に向けて大量に必要となるデータが、量および質の両面で不足していることにより、Digitalizationを推進できない壁である。この壁を乗り越えるためには、企業内に存在するデータやコードを標準化する必要がある。ERP導入などにより標準化を推進している企業の大多数は、活用に必要なデータ運用ができているため、この壁は突破しやすい。一方、データが標準化されていない場合はデータ基盤の確立が最初の一歩となる。また、活用のための保持データは増加傾向にあるため、入力負荷を軽減するべく、情報のデータ化自体にRPA活用などをする必要がある。

ビッグデータ分析では、従来の財務データだけではなく、例えば人事情報や営業活動情報、顧客の行動情報など、非財務情報のデータ化が成功の鍵となる。財務データと非財務データを組み合わせて分析することで、過去には見出せなかったデータ間の関連性や経営上の課題などに気付きを得られる。データが不足している場合はIoTなどのセンシングデータやRPAを活用した定性・定量データなど、これまで財務・経理部門が活用してこなかった情報の取り込みも視野に入れるべきである。

四つ目の壁:制度

「制度の壁」とは、内部統制や監査の観点から、デジタル技術を用いて算出した決算情報を財務・経理部門として説明できないという懸念により生じる壁である。「決算業務」についてアンケートを通じて調査したところ、決算業務を自動化すべきではないという回答もあった。過去の事実に基づいた見積もり判断などの自動化であっても否定的な結果となっている。これは、機械学習などの活用により、各種決算上の見積もり計算や判断ロジックがブラックボックス化されると、その正当性を論理的に説明できなくなる恐れがあることが大きい。この壁は、決算の信頼性に責任を持っている財務・経理部門特有の壁とも言える。

AI搭載ERP製品なども多数出てきているため、今後は制度が整備されることも推測される。企業におけるデジタル技術の導入においては、公的な実務指針が示されるまでは、監査人と協議しながら進めるほうが無難だろう。

五つ目の壁:人材育成

「人材育成の壁」とは、デジタル技術の活用により、財務・経理部門の成長機会やノウハウ蓄積が阻害される懸念から生じる壁である。「決算業務」について調査したところ、引当金計上などの決算業務を中心に自動化には否定的な結果が出ている。確かに、どの企業においても多かれ少なかれ、実務経験を重視して財務・経理部員の人材育成を行っている実態があり、業務の継続性を鑑みた時に、業務プロセスの自動化に対して躊躇するのは理解できる。

しかしながら、デジタル時代の財務・経理部門において、今後Digitalizationが進み、人が介在しなくなる可能性が高い業務の経験を積ませることが、本当に成長機会を与えることになるのだろうか。
「デジタル技術を適用した後、CFOに必要となる知識や能力」に関して調査の結果明らかになったのは、デジタル時代のCFOには、会計の専門知識以上に、コミュニケーション能力、マネージメント能力、IT技術、デジタル技術の知見といったスキルが期待されるようになっていくということである。財務・経理部門において会計知識は基礎スキルであることは当然だが、それを活用したプラスアルファの能力が必要というわけだ。つまり、デジタル時代の経理・財務部門における人材育成に必要なことは、デジタル時代に財務・経理部門に期待されるスキルの“獲得機会を与えること”である。

人材育成のためにはむしろ、新たなフィールドや役割に挑戦させ、新たな価値創造につなげることに目線を切り替えていく必要がある。


CFO領域のDigitalizationへの3つの成功要因

 

調査の結果、デジタル時代の財務・経理業務は、オペレーションの徹底的な自動化が大前提となっていることが分かった。オペレーションを自動化した後に、なおも手作業で行う業務というのは、高度な分析や各種の最終的な意思決定業務になることも予想される。アンケート結果からも大半の企業がそのような未来を想像していることが伺える。

ここからデジタル時代の財務・経理とはどのようなものなのか、従来の業務プロセスとは何が違うのかを、アンケート結果を踏まえてもう少し考察したい。デジタル化による財務・経理業務の高付加価値業務への変革とは何なのか。これまでの取り組みとの違いは何なのか、どうあるべきなのか。

本アンケート結果からも分かるように、各社ともデジタル技術により財務・経理業務の自動化や効率化を進めようとしていることは明らかである。一方で、財務・経理業務としての付加価値の実現にまでは至っていないという実体もありそうである。

ここで改めて、「Digitalization」が「デジタル情報の活用」と定義され、「業務やビジネスをデジタル化し、生産性の向上や新たなサービスを実現すること」であることに着目したい。

以下は、Digitization、Digitalization、Digital transformation というデジタル化の成熟度について整理した図である。


デジタル化の成熟度と財務・経理領域の変化

 

AIやRPAなどのデジタル技術により、企業は大きく二つの変化に直面する。一つは、企業が処理するデジタル情報の増大である。これまでは人の手を介することによる情報の欠落が避けられなかった。また、財務情報を中心に仕訳という原単位を集計したデータが蓄積され、経営成績を表現していた。ここにデジタル技術を活用することで、取引情報をそのまま自動的にシステムへ登録・集積することが可能になると、財務情報とシームレスに紐付いた非財務情報もデータ化されるようになる。

もう一つの変化は、企業内に蓄積された大量のデータを活用できるようになったことである。これまでもERPなどにより、非財務情報を含むデータを企業内に蓄積しているケースはあったが、データを使いこなす技術や時間がないために、大半の企業では有効活用されてこなかった。デジタル技術は情報の蓄積だけではなく情報の活用、つまり、非財務情報を含むデータを扱うことを可能にするという変化を生んだのである。

デジタル時代の財務・経理業務とは、デジタル技術を既存業務に適用することによるオペレーション業務からの解放と、財務情報と非財務情報を組み合わせて活用することによる新たな付加価値創造業務へのシフトを意味するのではないだろうか。

不正検知を例に挙げて考えてみよう。
従来の内部監査や内部統制評価といった不正検知に関する業務は、取引のサンプリングテストが中心となっていた。その理由は、取引のチェック業務が基本的に手作業で行われていたために、全ての取引をチェックすることが難しかったからである。取引データそのものはシステム内や紙の形で存在していたものの、これらのデータを扱うためには、膨大な時間もしくは人手を掛ける必要があり、費用対効果の面から全量チェックを行うことは現実的ではなかったと言える。それゆえ、過去の経験や暗黙知によるノウハウに基づいて対象となる取引、拠点などを選定し、不正・誤謬が発生していないかどうかをローテーションして検証していたのである。しかし、デジタル技術を活用すれば、業務量を削減しながら、全ての取引を対象に取引のチェックを行うことが可能になる。

この例はデジタル技術により大量データを扱えるようになった分かりやすい変化と言えるだろう。
機械学習などのデジタル技術の活用により、人が行うよりも広範囲かつ透明性を持って取引データの不正検知が可能となったのである。

AIやRPAだけでなく、インメモリデータベースによる処理高速化などもデジタル情報の活用に寄与するものと言えるであろう。

これまで、大量データの解析には「時間」単位もしくは「日」単位での処理時間が必要であった。処理を自動化したとしても、結果が出るまで数日単位で待たないと次の業務ができないため、タイムリーに分析結果を参照するような抜本的な業務改革を阻む障壁となっていた。これが「秒」もしくは「分」という単位で処理できるようになった結果、例えば、予測・シミュレーションといった高付加価値業務を行うことが可能となっている。

では、Digitalizationによる財務・経理業務の変革とは何なのか。
以下は業務を4 象限であらわしたものである。


財務・経理業務の4象限

 

デジタル技術がもたらす最も分かりやすい変化は、「④やりたくないが、やっている業務」(人がやるべきではない業務)の自動化である。

だが、これだけでは過去に実施してきた効率化やIT 化と変わらない結果を生むことになると予想される。アンケート結果からも、財務・経理部門の既存業務が自動化された先の新しい付加価値創造について、大半の企業がまだ具体的なイメージを持てていない。Digitalizationを推進するにあたっての懸念点として人材育成の問題が挙げられていることから、Digitalizationが進んだ後の人の役割、そのために必要なスキルを、各企業が明確に定義付けられていないと推測される。一方で、雇用の問題を挙げる企業はほとんどないため、このまま業務の自動化が促進されたとしても、余った人員や工数は、作業負荷の高い「やりたくないがやっている」業務にシフトされていくだけだろう。それでは、「②やりたいが、やれていない業務」(やるべきだができていない業務)を実現し、本当の意味で財務・経理業務に変革をもたらすことはできない。

過去の延長にある効率化や自動化の促進に留まらず、「やりたいが、やれていない」高付加価値業務へシフトし、財務・経理業務を変革に導くために必要なことは何か。以降は Digitalizationに成功するために留意すべき事項について考察したい。ポイントは3 点ある。

Digitalization の3 つの成功要因

1.何をやるべきかから考える

まず重要なのは、先に図示した「②やりたいが、やれていない業務」とは何か、つまり、財務・経理部門として今後やるべき業務とは何かを考えることからデジタル化の取り組みを開始することである。機械に置き換えることが可能だから、というだけで既存業務のデジタル化を開始した場合、結果として生じる目的のない余剰時間は、高い確率で付加価値を生まない仕事に消費されることになる。余った時間で何をやるのかを考える、といったケースも散見されるだろう。もしくは、他部門への配置転換などにより、財務・経理部門における総労働時間が削減されるだけである。

これまでのIT化は、あくまで人がやる仕事をサポートし効率化するものだったが、昨今のデジタル技術は、抜本的な仕事の代替や高度化を可能にするものである。そのため、活用すれば確実に既存業務から余剰時間を生み出し、新たな業務にシフトすることができるだろう。とはいえ、ひと口に高付加価値業務へのシフトと言っても、業務を任される人に経験のないデータ分析やシミュレーションなどがすぐにできるわけではない。事前に最新テクノロジーについての情報収集を行うと共に、必要な知識やスキルを棚卸しし、人材確保や人材育成の計画を立てることは有効な手段となる。

2.必要となる情報・データから考える

次に考えるべきは、必要となる情報やデータである。すなわち、新たに取り組む業務を実現するために求められるデータはどのようなデータかを整理するのである。今現在、企業内にある会計に関わるデータだけとは限らない。むしろデジタル技術の活用によってデータ化が可能となる非財務情報や、企業の外にある有効なデータを積極的に取り込むことを考えることが重要である。例えば、自社の売上と相関関係がありそうな顧客の行動情報を元にした販売予測や、その予測に基づく販売促進施策を企画したとしても、顧客行動データを取得できなければ、絵に描いた餅となるだけである。ソーシャルネットワークや自社サイトの閲覧情報、製品IoT情報など、どこからどのようなデータを取得するかを決定し、データ分析ができる人材確保と並行して準備を進めておかなければ、有益なデータを業務に使用できるのは遥か先になるだろう。

3.デジタルにどのような付加価値を求めるかから考える

最後にデジタル技術に対してどのような付加価値を求めるかを考える。もう一度、財務・経理業務の4象限を参照してほしい。「③やりたくないし、やっていない業務」は存在しないとして、それ以外の3領域は、全てデジタル技術を活用可能な業務と言える。特に「④やりたくないが、やっている業務」は正にRPAなどを活用した自動化・効率化の対象領域であろう。この場合、デジタル技術に求めることは、シンプルに既存業務を代替することである。

一方、「②やりたいが、やれていない業務」は、技術の壁やデータの壁があることで、これまでできていない業務領域と言える。機械学習やビッグデータ分析などのデータ活用を推進する取り組みがここに該当する。あるいは、RPA を活用したインターネットなどの外部情報の収集やデータ化も該当する。つまり、ボリュームや時間制約の問題で手作業では不可能であったことの実現こそ、デジタルに求める付加価値となる。

Digitalizationによって、中長期的な事業計画や採算管理業務の強化を図りたいとしよう。この場合は、要員をシフトするために漠然と既存業務の時間削減から始めるのではなく、その強化のために「何をやるべきか」をまず検討する。例えば、製品やサービスのライフタイムを通じた収益管理を確立し、価格設定の最適化や投資判断の精度を向上させるために必要な要員をまず考えるべきである。財務報告担当者に、急に投資判断や効果測定、価格設定などができるわけではない。経理知識に加えて、価格設定のための業務知識や分析スキルも必要となってくる。加えて、「新たに必要となる情報やデータ」を考える。例えば、販売予測の根拠となる市場ニーズの情報、目標原価設定の速度向上のためのサプライヤーの見積データ、適正な販売価格を測定するための競合他社の価格情報などである。製品・サービス収益の進捗管理や投資効果測定、終売判断などを行っていくのであれば、分析に必要となる切り口で社内の計画データや実績データを管理できているか、もしくは必要な切り口を保持できるのかを考慮しておく必要があるだろう。さらに、RPAで既存業務の削減を行い、担当者に事業計画や採算管理機能のためのデータ収集や分析、予測を行う工数を捻出させるのか、特化型AIを活用してビッグデータに基づくファクト分析を行わせ、より精緻な投資判断や効果測定を実現するのかなど、「デジタルにどのような付加価値を求めるか」を考える必要がある。

日本CFO協会の調査(※2)によると、営業利益率が上がった企業のCFO 組織が主管・関与している機能として、ここで例に挙げた事業の運用改善・継続可否判断・提案や、新商品・サービスの原価目標・価格設定、宣伝広告費・販売促進費の投資判断・進捗管理・効果測定が挙げられている。この調査結果は、これから取り組むべき業務を検討する上で、一つの大きなヒントになるものだろう。

  • ※2.出典:日本CFO協会主催CFOセミナー第258回(2018年1月18日)および日本CFO協会発行CFO FORUM 第90号(2018年1月号)

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