トップメッセージ


 




多様なステークホルダーとの共創を通じ、
より大きな社会的インパクトを
創出していきます

 


ニューヨークでの体験が私のサステナビリティ経営の原点


私がサステナビリティ経営を意識する契機となったのは、20代の終わり頃、米国で外資系コンサルティングファームに勤めていた時の体験です。ニューヨークのオフィスには、アジア・アフリカ・南米・ヨーロッパ系など、米国以外からも多様な人種の人々が集まり、1つの組織が構成されていました。また週末にはLGBTQについて理解を深めるイベントが開催されるなど、多様性を尊重する環境作りがごく自然に行われていることに驚きました。

2001年9月11日の同時多発テロによる悲劇もそのニューヨークオフィスで経験しました。多様性の包摂と拒絶という、米国社会が抱える2つの側面を目の当たりにしたことが、その後私がサステナビリティ経営を考える際の原体験になりました。

帰国後、アビームコンサルティングへ入社しましたが、日本にも米国とは異なった二面性があることに気づきました。現代のサステナビリティ経営にも通じる近江商人の「三方よし」という思想がある半面、多様性の包摂という点では日本はかなり遅れていたからです。

こうした経験を経て自分自身がキャリアアップをしていく中で、幸いにも初代CWO(Chief Workstyle Innovation Officer)に就任するなど、自身の考えを経営に反映できる機会をいただきました。今後はCEOとして社員の意識行動変容を促し、サステナビリティ経営を確実に定着させたいと考えています。
 

「価値創造ストーリー」を支える独自のケイパビリティ


アビームコンサルティングのサステナビリティ経営の本質は、まず当社自身の企業活動により直接的に社会課題の解決を推進すること。同時にコンサルティング会社として、お客様との共創による企業変革を通じて社会課題を解決し、社会的価値と経済的価値を同時に実現するサステナブルな社会作りに貢献することです。このベースとなる考え方を私たちは「価値創造ストーリー」として体系化しました。

多様な専門性を持つ精鋭人財と、そのプロフェッショナル集団が生み出す総合力。そして、企業の枠を超えた様々なステークホルダーとの共創力。これらのケイパビリティによって、お客様の社会的価値と経済的価値を同時に実現するサステナブルな企業価値創造を支援し、社会課題解決による社会的インパクトを創出することを目指しています。

 

次期中期経営戦略(Strategy2027)でサステナビリティ経営を明示


当社では3年前にVision2030を策定し、2025年をゴールとする中期経営戦略(Strategy2025)を推進してきました。しかし、Strategy2025を策定したのはコロナ禍前のことでした。コロナ禍により社会は大きく変容し、またウクライナ問題やグローバルサプライチェーンのリスクが顕在化するなど、世界情勢は大きく変化しています。Strategy2025は定量面では一定達成したこともあり、2024年度からStrategy2027を1年繰り上げてスタートすることを決断しました。

Strategy2027では「新たな価値創造」「事業ポートフォリオ経営の進化」「経営基盤の強化」の3つを柱としています。
経営戦略(経営基盤強化)における重要な取り組みの1つとして、「サステナビリティ経営」を明確に謳うのは、当社にとって初めてのことです。

これまで当社はお客様の「Real Partner®」として、お客様の変革を通じて社会課題解決を実現することを目指してきました。そこから一歩進んで、当社自身が社会課題とどう向き合うのか、そして社員一人一人が個人としてどう向き合うのか。こうした踏み込みが社会課題解決を加速するためには重要であると考え、まさに今それを実行しようとしています。

 

お客様とのサステナビリティ共創事業をスタート


今、企業を取り巻く環境変化の不確実性は高まっている一方で、企業が抱える課題も複雑化してきています。そうした課題は一企業のみで解決するのは困難で、個人や組織、企業の枠を超えて共創により解決していく必要があります。その共創による社会課題解決や価値創出を阻むのが、「自前主義」です。

私は、自前主義が日本の成長の阻害要因になっているのではないかと考えています。大きな社会的インパクトを創出するためには、1社単独での解決を目指すのではなく多様な専門性を持った複数の企業が自社の枠組みを超えて共通のゴールに向かって連携し、エコシステムを形成することが重要です。
一例を挙げると、現在、当社では、住友商事様と様々なサプライチェーン上でカーボンニュートラルを実現するというサステナビリティ共創事業を立ち上げています。戦略立案やデータ基盤の提供は当社だけでも可能ですが、再生可能エネルギーや新電力を活用した電力サプライチェーン構築は当社だけでは実現できません。そこで住友商事様との共創事業を2年前から構想し、議論をスタートさせました。

今回のような事業においては、カーボンニュートラルというゴールからバックキャスティング思考で具体的なソリューションを構想しなくてはなりません。例えば、GHGを削減するために、物流をEV化するとした場合、多くの充電ステーションが必要です。さらに再生可能エネルギーを安定供給する電力網も欠かせません。そうしたロードマップをバリューチェーンごとに策定し、2030年度のGHG46%削減(2013年度比)の目標に貢献できるよう計画を進めています。

この事業は、住友商事様との共創によって社会課題解決を実現するという、私たちがまさに目指している姿です。カーボンニュートラルという社会的価値と、グリーンエナジートランスフォーメーション事業という経済的価値とを同時に実現するからこそ、サステナブルな事業となりえるのです。このスキームには企業や政府関係機関、民間非営利組織など多様な参加者を巻き込み、共創の価値創出サイクルを実現していきます。
 

人的資本経営の強化でサステナビリティ経営を加速


当社のサステナビリティ経営推進の原動力は、まさに人財です。お客様は事業の中で社会的価値と経済的価値の両立を当たり前に追求し、私たちにもそれを求めています。そうした期待にしっかりと応えていくためには、お客様の課題を自分ゴトとして捉え、当事者意識を持って支援していく必要があります。それが社員自身の成長にもつながると信じています。

新たにスタートするStrategy2027では事業戦略と人財戦略の連動性をより高め、明確にしていきます。そのために事業戦略に合わせて人財戦略も刷新していきます。事業戦略の実現に不可欠な人財をさらに増やしていくべく、具体的な人財モデルの可視化と、その人財モデルに基づく新しい人財要件・人財育成戦略の再構築を進めていきます。

私は、お客様をはじめとするステークホルダーが、自らの事業活動や経営の中で、社会的価値と経済的価値の両立を実践していくことで、日本は変わっていくと信じています。アビームコンサルティングは、その変革の実現のために、全力で支援をさせていただきます。そして当社自身も変化し続け、共に社会課題解決を実現したいと考えています。
 

代表取締役社長 山田 貴博

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