ABeam DX Insight 第20回
DXエンジン
~企業変革力の3つの力~
ABeam DX Insight 第20回
DXエンジン
~企業変革力の3つの力~
2021年9月16日
菅田 一基
戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル
これまで本インサイトでご紹介してきた通り、DX推進においては、デジタルを活用することで企業のビジネスモデル・風土などを変革することが重要とされる。このような変革期においては、企業としての変革力が試されることとなる。この点、企業変革力を要素分解して実践可能な構想に落とし込んでいくことが重要となる。
企業変革力を要素分解すると、探知力・実行力・適応力の3つに分解できると考えている。更に、3つの力それぞれが下記の図のように分解できる。
図 企業変革力の3つの力
企業変革力
1.探知力
- 環境変化の兆候を捉える力
– 財務数値の変化を読み解くことに加えて、シナリオ分析などを通じて捉えておくべき要因を明確にし、経営管理の中でモニタリング - 危機意識を高める(演出する)力
– 検知した環境変化について、それが持つリスクやネガティブインパクトについて、ロジカルにコミュニケーション
2.実行力
- 迅速かつ柔軟な戦略見直しの力
– 変化に応じて、計画期間の途上においても、迅速かつ柔軟に戦略の見直しを可能にするリーダーシップやプロセスを整備 - 意思決定するチームを一枚岩にする力
– 経営チームとして戦略遂行にコミットするために、個々人の経営メンバーとの共通意識形成のアプローチ・ノウハウを蓄積 - スケーリング・増幅する力
– クイックウィンにとどまらず、成功した取り組みのスケールアップを可能にする仕組みの構築
3.適応力
- 曖昧さ・トライ&エラーを許容するカルチャーの力
– 混沌とした状況や成功の確度が不透明な状況においても、挑戦することをサポートするカルチャーの醸成 - 評価、人材育成、権限移譲
– カルチャー醸成の裏打ちとなる、行動を重視する評価基準、次世代リーダー人材の育成制度、責任権限の見直しなどを最適化
デジタルに代表される事業環境変化の速さに対応するために、自社の企業変革力の現状の理解が不可欠である。既に企業としての組織能力高度化の取り組みを推進している企業も多いが、企業変革力を最終目的と設定し、個別の取り組みを体系化し磨きこむことが重要ではないだろうか。その際には、これまで本インサイトでご紹介してきたテーマごとの観点やメソッドをぜひ参考にしていただきたい。