株式会社ワコム

株式会社ワコム

Customer Profile

会社名 株式会社ワコム
所在地 埼玉県加須市豊野台二丁目510番地1
設立 1983年7月12日
事業内容 ペンタブレット製品および関連するソフトウェア、スマートフォン・タブレット等のデジタルペン部品およびモジュール等の開発・製造・販売
資本金 42億300万円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

グローバル全拠点のITサービスデスク業務を
24時間体制、日英対応で柔軟にサポート

ペンタブレットやデジタルペンを中心にしたソリューションを提供するワコム。同社は、ITのイノベーションを促すためにストラテジックアウトソーシングを一つのITストラテジーとして実施し、アビームコンサルティングをパートナーに選んだ。そして、グローバルの全拠点のIT領域の1次対応窓口をABeam Global Service Desk(GSD)に移管。1次窓口としては、ワコム内で利用しているすべてのアプリケーションのQA対応のみでなく、一部の設定変更までも対応している。GSDは日本語と英語で、各拠点の業務時間に対応した24時間体制で実施し、ノウハウを蓄積しながら、さらなる改善提案にも着手している。

プロジェクト概要

導入前の課題

  • グローバル拠点ごとにサポート窓口が存在し情報共有が適切に行われていない
  • 拠点ごとのIT チームのサポート業務負荷が大きい
  • アプリケーションのグローバル標準化が進みサポート窓口の共通化が必須

ABeam Solution

  • グローバルサービスデスク標準化・導入支援コンサルティング
  • ABeam Global Service Desk
    (24時間体制、日本語・英語サポート)

導入後の効果

  • グローバルの全拠点にまたがる24時間サービスデスク体制を実現
  • 情報の共有による窓口対応の一元化とノウハウの蓄積
  • ITチームのサポート業務の削減と戦略的な業務に向けた環境構築

Story

プロジェクトの背景

クラウド化が進行する中で、IT領域の1次対応窓口の統一が課題に

 ワコムはペンダブレットやデジタルペンなどを中心としたソリューションを提供している。その製品は映画やアニメ、インダストリアルデザイン、マンガなど、あらゆる分野で顧客のクリエイティビティを支え、先進的なユーザーインターフェース技術とソリューションで医療や教育分野でも事業を展開している。また、欧米、アジアの全地域で事業を展開する中、「Technology Leadership」「Island & Ocean」「Extreme Focus」の3つを全社戦略として掲げている。こうした中、ワコムのIT部門では従来のレガシーソフトウェアを中心としたシステム環境からクラウドへの変革に取り組み、グローバルでのアプリケーション標準化を進めている。

 「イノベーションを促す最善の方法は、業界およびドメインの知識を蓄積し、グローバルレベルでワコムをサポートできるストラテジック・アウトソーシング・プロバイダーとのパートナーシップを通じた協働であると考えています」とワコムVice Presidentは語る。

 ワコムはグローバル各拠点それぞれにローカルのIT部門があり、拠点ごとにサポートを行ってきた。そのため、窓口もバラバラで、情報が共有されていないという問題があった。「情報が共有されていないので、米国でシステムの問題が起きて対応した後、日本でも同じ問題が発生し、同じような障害対応をしなければならないといった状況がありました」とワコムDirectorは語る。ワコムが掲げる3つの戦略を実現するためには、グローバルレベルでの共通化・標準化が不可欠だった。


アビームコンサルティングはワコムがビジネスおよびIT オペレーションの変革を進める上で、得がたいパートナーです。GSD はワコムのユーザーに具体的な価値を提供するための最初のステップです。戦略的なイニシアティブのもと、アビームコンサルティングとより良好なパートナー関係を築いていきたいと考えています

株式会社ワコム 
Vice President, Information Services

 

マレーシアのGSD チームはとてもよくやってくれています。日本語を話すことができるメンバーの貢献は顕著であることに加え、米国向けではIT 対応とユーザー対応の両方を担当するなど、必要な時に必要なサポートを的確にしてもらっています。その頑張りぶりには本当に感謝しています

株式会社ワコム
Director, Hosting and Infrastructure Services

Story

アビームの選定理由

24時間対応と日本語・英語のサポート、柔軟性からパートナーとして選定

 そこでワコムでは1次対応窓口(Level 1)業務を含めたIT領域におけるストラテジック・アウトソーシング・プロバイダーの選定に入り、2018年はじめにパートナーとしてアビームコンサルティングを選び、日本およびアジア拠点のAMS/ITO(アプリケーション・基盤運用保守)サービスを皮切りにグローバルアウトソーシングを開始している。アビームコンサルティングを選ぶ決め手になったのは、グローバルでのサポート力。その一つとしてサポート窓口業務を担当するABeam Global Service Desk(GSD)がワコムのグローバル全拠点の業務時間帯に対応する24時間体制を組めること、日本語と英語でのサポートが可能なことだった。「アビームコンサルティングの柔軟性も高く評価した点でした。私の上司は米国人で米国にいます。チームメンバーは日本で仕事をしていて、ドイツともコミュニケーションを取らなければなりません。それぞれの文化、働いている場所が異なる中で、どうしたらプロジェクトをスムーズに進めることができるかを考えました。アビームコンサルティングもグローバル展開しているので、国や地域の違いも理解しています。アビームコンサルティングのコミュニケーションはストレートで分かりやすく、柔軟に協力しながらプロジェクトを進めることができると判断しました」(Director)

 ワコムは日本と中国を含めたアジアの拠点では、以前から外部パートナーによるサービスデスクが運用されており、今回のプロジェクトではそれをマイグレーションする。一方、米国とドイツではそれぞれのIT部門が担当しており、白紙の状態からサービスデスクを導入しなければならなかった。その結果、今回のプロジェクトの中に、グローバルでのプロセス標準化という重要な要素が加わり、全体をどのように調整するかが大きな課題だった。

Story

プロジェクトの目標と推進する上での課題

チームメンバー全員が時差と文化の違いを越えて、プロジェクトの成功を目指す

 プロジェクトがスタートしたのは2018年12月。一番困難だったのは、ワコムとアビームコンサルティングでの共通認識の醸成だった。ワコムのIT部門にはそれまでのナレッジがあるため、説明しなくてもメンバー間だけで通じるローカルな常識が存在していた。しかし、それはあくまでワコム内の常識であり、社外スタッフにとっての常識ではない。認識のズレを放置しておくと、実際のサービスデスク業務に支障を来す可能性がある。そこで両者の認識を統一するためのミーティングを何度も行った。

 また、コミュニケーションを取る上で苦労したのは、関係者全員が日本にいるわけではないことだった。実際のサービスデスクの運用は以前から使っている問い合わせおよびインシデント管理(ITサービスマネジメント)ツール「JIRA」で行う。その中で、ワコムの日本本社と欧米オフィス、アビームコンサルティングの日本本社、そして実際のサービスデスク業務を行うアビームコンサルティングのマレーシア(GSD)とは文化の違いがある。そのため、GSDに対する考え方が異なっていただけでなく、時差もあるので合意を得るのに大きな労力がかかった。

 サービスデスクのリプレイスとサービスデスクの導入に加え、グローバルでの標準化にも取り組んだため、その調整も必要になった。「当初、ミーティングは1週間に一度くらいの頻度だったのですが、2019年4月のGo Liveが近づいてくると、回数が増え、実務のトレーニングも毎日のように行いました。マレーシアGSDのスタッフ一人ひとりにナレッジをインプットして、きちんと対応できるようにしないといけませんでした。チームメンバー全員がゴールはプロジェクトの成功だということを理解して取り組んでもらうことができました」(Director)。

 

ABeam GSD プロジェクト概要

Story

稼働後の状況と導入効果

1次対応窓口の運用でノウハウを蓄積、2次対応窓口へ業務を拡大

 2019年4月、GSDによるIT領域のサービスデスク業務が始まった。これによって、ワコムのメンバーに対して高品質なグローバルの全勤務時間に対応したサポート業務が展開されるようになった。「アビームコンサルティングと提携することで、ワコムのすべてのユーザーにサポートサービスを提供できるようになりました。ITプロフェッショナルがどこにいるのかに関係なく、同じ品質のサービスレベルを維持することが可能になりました」(Vice President)。

 ワコムではGSDをユーザーサポート、ワコムのITチームをシステムアドミニストレーターと位置づけている。ユーザーはサポートが必要な時はJIRAでチケットを開け、1次対応窓口に問い合わせる。そこで問題が解決しない場合には、2次対応窓口(Level 2)であるワコムのITチームにエスカレーションする。

 ところが運用開始直後は、2次対応窓口にエスカレーションされるチケットが多すぎることが分かった。そうすると、ワコムのITチームはほかの業務ができなくなるし、問い合わせ中のユーザーを待たせることにもなってしまう。そこで運用経験を積む中で、1次対応窓口から2次対応窓口にエスカレーションされても、もう一度GSDに返していくようにした。ユーザーの問い合わせは1回で終わるのはレアケースで、何かしらの質問が返ってくる。それをシステムアドミニストレーターが対応せず、GSDで吸収するような仕組みにした。それによって、ワコムのITチームはこの業務に追われることなく、業務全体を考えられるようになりつつある。「ワコムのITチームメンバーは各国にいますが、GSDが一つになってサービスを提供していることで、メンバーが一つにまとまり始めています。マネジメントもスムーズになり、情報共有もできるようになっています。その上で、これからはグローバルのITチームとして、ほかの国で起こったことも対岸の火事ではなく、自分の問題として考えられるようにしていくことを目標にしています」(Director)。

Story

導入効果と今後の展望

ITチームは戦略的なプロジェクトや変革イニシアティブを発揮できるように

 ワコムでは、最終的にはユーザーサポートはユーザーとGSDがコミュニケーションすることで完結できるようにしたいと考えている。すでにGSDではユーザーのチケットの理解が進んでおり、GSD内にナレッジが蓄積され始めている。これによって、ワコムのITチームが障害対応にかかりきりになるのではなく、3カ月後、半年後に取り組むべき事項について考える余裕が生まれていく。「おかげさまでサービスデスクの1次対応窓口のサポートを実装することができましたので、同じフレームワークを活用して、2次対応窓口とさらに上位のサポートへと拡張していきたいです。そして、ユーザーへの対応時間と解決時間の短縮に向けた取り組みも強化していきます。これによって、ワコムのITチームは戦略的なプロジェクトや変革イニシアティブの発揮により重点を置くことが可能になります」(Vice President)。

 特にユーザー数が多い日本では、その影響は顕著でITチームのスタッフの負荷が減り、クレームへの対応も減った。そのため、中長期的な視野に立って、取り組むべき課題や業務のあり方について考えることができるようになっている。

 ワコムでは現在、取り組んでいるサービスデスクの定着後には、アプリケーション領域の2次対応窓口(Level 2)への拡張を進めていく計画だ。その上で、欧米のAMS/ITOサポートも含めたグローバルアウトソーシングとしてもアビームコンサルティングをパートナーにして統一していく考えだ。

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