ENEOS株式会社

ENEOS株式会社

Customer Profile

会社名 ENEOS株式会社
所在地 東京都千代田区大手町1-1-2
設立 1888年
事業内容 石油製品の精製および販売、
ガス・石炭の輸入および販売、
石油化学製品等の製造および販売、
電気・水素の供給
資本金 300億円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

ジョブ型人事制度(ENEOSジョブグレード制度)に対応する
タレントマネジメントシステムを構築
「SAP SuccessFactors」で戦略的な人事施策の土台を築く

エネルギー大手のENEOS株式会社。同社は人材の可視化のためにアビームコンサルティングをパートナーにタレントマネジメントシステムSAP SuccessFactorsを導入した。管理職の人事制度をジョブ型(ENEOSジョブグレード制度)へ移行することに伴い、新しい制度の運用に必要となる機能も実装した。今後は、一般職社員に対する人事制度の改定やデータ分析に基づく人事施策を戦略的に展開していくために、タレントマネジメント機能の一層の拡充を進める考えだ。

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プロジェクト概要

導入前の課題

  • 管理職ジョブ型人事制度に対応するタレントマネジメントシステムの導入

ABeam Solution

  • タレントマネジメントシステムSAP SuccessFactors導入支援

導入後の効果

  • タレントマネジメントシステムを基盤とするENEOSジョブグレード制度を運用

Story

アビームは人事制度改定の狙いやジョブ型人事制度のベースとなる思想の部分まで理解した上で、
プロジェクトをけん引してくれました

 

ENEOS株式会社
人事部
副部長
橋本 恭弘氏

Story

プロジェクトの背景

ENEOSジョブグレード制度に向けてSAP SuccessFactorsの機能拡充を計画

 ENEOS株式会社は、2017年4月に石油精製元売り最大手のJXエネルギーと東燃ゼネラル石油が経営統合して発足したENEOSグループの中核事業会社である。ENEOSグループは「地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。」を使命として、エネルギー、石油・天然ガス開発事業を進めている。

 脱炭素社会に向けた動きが加速し、国内の燃料油需要の減少が続く中で、ENEOSグループは2019年に発表した「2040年ENEOSグループ長期ビジョン」で、アジアを代表するエネルギー・素材企業、事業構造の変革による価値創造、低炭素・循環型社会への貢献の3つを2040年のありたい姿として定めた。それに基づいて、2020年度には22年度までの第2次中期経営計画で、「長期ビジョン実現に向けた変革の推進」を打ち出し、成長事業の育成・強化を図っている。

 第2次中計では企業活動の土台となる人材の育成・確保について、旧来型人事施策からの転換と変革の推進を打ち出した。「人材育成・確保では、デジタル人材を含めた専門性の高い人材のキャリア採用や通年採用の導入、自律的なキャリア形成の支援、タレントマネジメントシステムの導入による人材の最適配置・活用のデータ管理を、柱に据えました」とENEOS 人事部 副部長 橋本 恭弘氏は語る。

 ENEOSでは2020年4月からタレントマネジメントシステム「PASSPORT」導入プロジェクトを開始し、同年9月に人材データベースと学習管理を稼働させた。10月からはタレントマネジメント機能の拡張を図り、段階的に新しい機能の実装を進めてきた。さらに2021年4月からは2022年4月施行の新制度の検討と同時並行で、対応する機能の拡充を行った。

Story

アビームの選定理由

多数の認定コンサルタントの存在と実績、優れた提案内容を評価

 ENEOSがタレントマネジメントシステムの検討を開始したのは2018年秋のことで、2017年の東燃ゼネラル石油との経営統合が背景にあった。一緒に働いたことがない社員が大幅に増えたことで、人材の最適配置・活用には、社員のスキルや能力の見える化が必須となった。

 そこで、まずはタレントマネジメントシステムの導入パートナーを選定するコンペを行うことにした。「実は、アビームコンサルティングに声をかけたのは最後でした。SAP社のセミナーで聞いた、大手商社のSAP SuccessFactorsの事例内容が素晴らしく、導入を担当したアビームコンサルティングにもコンペに参加してもらうことにしたのです」とENEOS 人事部 勤労グループ タレントマネジメントプロジェクトチーム リーダー 鎌田 智行氏は説明する。コンペを行った結果、提案内容に加え、SAP SuccessFactors認定コンサルタントの資格保有者の多さや、SAP社からの表彰経験も豊富であることなどから、アビームを選んだ。

 SAP SuccessFactorsの導入は人材データベースと学習管理機能の実装から始まり、社員が持っている語学能力の資格なども自分で入力できるようにした。それが整備された段階で、新人事制度(ENEOSジョブグレード制度)に対応した機能の実装に入っていった。

Story

プロジェクトの目標・課題と解決策

制度設計のミーティングにアビームも参加、同時並行で機能を実装

 ENEOSジョブグレード制度では、職務が求めるスキルや経験を定義した職務記述書を管理職のポジションごとに作成して公開する。職務内容に基づいて、社員はポストへのチャレンジができるようになる。新制度の狙いは、社員が自律的にキャリアを形成し、挑戦する機会を引き出して、新しい事業の創出や事業の構造改革に取り組むことができるようにすることにある。「今までは会社主導の人事異動で、キャリアを主体的に作り上げていく制度ではありませんでした。それを変革し、自分が就きたいポストに手を挙げて、自分でキャリアを構築する意識を社員に芽生えさせようと考えたのです」(橋本氏)

 新しい人事制度を作っても、それを支えるタレントマネジメントシステムの運用が適切に行われなければ制度は成り立たない。そこでENEOSでは制度設計とSAP SuccessFactorsによるタレントマネジメントシステムの機能拡張を同時並行で進めていくことにした。「制度改定を進めるチームにシステム面の制約を提示して、その枠の中で制度を設計していくことをお願いしました。そういった合意を事前に形成することで、システムの構築に手戻りが起こらないようにしました」(鎌田氏)

 制度設計側での決定をスムーズに行うため、アビームにも制度設計のミーティングに参加してもらうようにした。「システム側の要件を前提として検討する必要があるため、同じテーブルで考えられるようにすることがベストだと判断し、アビームに加わってもらいました。アビームは制度の内容も理解した上で、柔軟に対応してくれたので、プロジェクトを計画通りに進めることができました」(橋本氏)

 導入プロジェクトはコロナ禍に当たり、オンラインツールをプラットフォームとして、課題やタスクの管理、進捗管理など、すべての業務をオンラインで行った。「1つのフェーズでいくつものワーキンググループがあり、私は複数のグループに参加していました。大量のタスクを抱える時期もありましたが、アビームのコンサルタントがスケジュール管理も含めてサポートしてくれたので、安心してプロジェクト業務に取り組むことができました」とENEOS 人事部 勤労グループ タレントマネジメントプロジェクトチーム 三好 泰雅氏は振り返る。


PASSPORTの全体像

PASSPORTの全体像

 

制度設計側のスケジュールが押したことで、システムの実装がずれ込んだこともありましたが、
アビームの柔軟な対応と調整力で、計画通りに運用を開始することができました

ENEOS株式会社
人事部
勤労グループ タレントマネジメント
プロジェクトチーム リーダー
鎌田 智行氏


複数のワーキンググループが並行して走っていて、大量のタスクがありましたが、アビームのサポートで完遂できました

ENEOS株式会社
人事部
勤労グループ タレントマネジメント
プロジェクトチーム
三好 泰雅氏

Story

導入効果と今後の展望

一般職社員の制度改定やデータ分析などで戦略的な人事施策を展開

 2022年4月、ENEOSジョブグレード制度が適用され、それに対応した機能を備えたタレントマネジメントシステムの運用が始まった。ENEOSでは今後、SAP SuccessFactorsの機能を活用しつつ、改善を図り、機能の拡張も図っていく計画だ。「新制度は社員自らがキャリアプランを明確にして、自己実現していくことを思想としています。これはタレントマネジメントシステムなしには実現することはできません」(橋本氏)

 ENEOSでは、引き続きアビーム支援の下、SAP SuccessFactorsに蓄積されている社員のデータをSAP Analytics Cloudで分析し、有効な人事施策を実施するための取り組みを開始する。例えば、特定の研修を受けた社員の人事評価が高いなどの傾向をデータで裏づけることができれば、その研修をさらに効果的に社内に展開するといった施策につなげることが可能になる。「今までの人事施策は過去の経験にたよってやってきている側面がありました。これからはデータを根拠にした施策を打ち出すことで、社員のパフォーマンスを高めていくことができると考えています」(鎌田氏)

 今後はさらに、SAP SuccessFactorsと親和性が高い、従業員エクスペリエンス向上のためのツールを導入し、社員のエンゲージメントを測定して、人事施策のより戦略的な展開を進めていく考えだ。

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