ABeam DX Insight 第11回

DXタレント
~DX人材要件の5つの観点~

2021年7月1日

菅田 一基

戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル

 

DX人材を発掘・育成することがDX戦略の実行に不可欠な要素であることは言うまでもないだろう。その前提として重要なのが、DX戦略に基づいてあるべきDX人材モデルを明確にすることである。この点、求められるモデルの類型ごとに人物要件を具体化することがポイントとなる。

氷山モデルを唱えた心理学者デイビッド・C・マクレランドは、求められる成果創出には「①性格・資質」「②マインド」「③知識」「④スキル」が必要であり、それらが「⑤行動」となって表面化し、行動によって成果が生み出されるとしている。

図1 成果創出のプロセス/マクレランドの「氷山モデル」

図1 成果創出のプロセス/マクレランドの「氷山モデル」

① 性格・資質
生まれつき、または、幼少期に確立される動機、価値観、感情などの特性。個人が先天的に備えた素質と、成人期までの環境が影響する。不確実性が高く、状況変化も激しいデジタルの領域においては、新しい環境への興味、リスク感度、あいまいさへの耐性などの特性を持つ人材が適していると想定される。
② マインド
言葉・表情・動作など表面的に現れる意識、意欲、心構え、価値観。マインド自体は表出しないため、行動発揮の持続度で測られる。新しい価値創出に向けて結果を出すことが必要なデジタルの領域では、顧客志向、チャレンジ精神、チームワークなどに例示されるマインドを持つ人材が適していると想定される。
③ 知識
特定の事柄について個人が保持している情報。行動を生み出すための「能力」としての熟達度で測られる。業界情報や顧客に関する理解などが例示される。特にデジタル領域では、最先端の情報を収集するためのアンテナの高さが重要となる。
④ スキル
情報を取り入れ、加工し、タスクを遂行する力。③知識同様、行動を生み出すための「能力」としての熟達度で測られる。情報収集・調査力、仮説構築力などが例示される。不確実性が高いデジタルの領域においては、通常以上に少なく不正確な情報に基づく仮説構築能力が必要となる。
⑤ 行動
知識・スキル・マインドを総合的に活用し、意図的に行う活動のこと。行動は発揮度、達成した成果から測られる。例えば、情報収集・調査スキルと業界情報知識を用いて、課題発見・洞察力を発揮し、自ら考え提案する行動などとして定義される。デジタルの領域においては、スピーディかつ繰り返し行動することで、最終的には成果創出に持ち込む力強い行動様式が一層強く求められる。

 

ABeam DX Insight

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