ABeam DX Insight 第7回

DXリーダーシップ
~リーダー層に必要なデジタル理解とアプローチ方法~


菅田 一基

戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル

 

リーダーシップレベルでのデジタル理解を促進し適切な意思決定を促すためには、デジタル世界の進化の過程を捉えることが効果的である。

デジタルに関する意思決定権を持つリーダー層は、DXへの取り組みやデータ活用の必要性は理解しているものの、飛び交うバズワードに翻弄され、デジタルの世界観を俯瞰できず、意思決定が鈍る場合も多いのではないだろうか。

デジタルに関する意思決定では、デジタルがもたらすメリットやデメリットについて技術理解に基づいた高度な理解が重要だと言われるが、実際にはデジタルの専門家であっても困難なケースも多い。

この点、デジタル世界への入り口として、歴史的な経緯を理解することが役立つ。その時々での技術革新が起点となってビジネスモデルが変革されていき、技術的な側面より戦略的な意味合いの方が意識されるようになっていく。

例えば、デジタル基本構造がSaaSモデルへと進化した過程を整理すると、単に提供形態が変化したというだけでなく、技術革新がいかにビジネスモデル変革につながり、自社の戦略に大きな意味合いを持つかが理解できるのではないだろうか。

図1 デジタル基本構造の歴史的推移の戦略上の意味合い

図1 デジタル基本構造の歴史的推移の戦略上の意味合い

技術革新によって、デジタル世界で扱えるデータが飛躍的に拡大し、データ活用を可能にする処理技術(半導体、分析技術、ITインフラなど)の進化と相まって、新しいデジタルサービスがビジネスモデル変革を促進させるようになってきた。また、サブスクリプション・サービスなどの新しい契約モデルと組み合わさることで、日々進化するデジタル技術への対応リスクを外部化することができ(外部ベンダーはサブスクによる計画的な技術投資が可能となる)、一層上位のレイヤーでのデジタル活用にフォーカスすることが可能になっている。このように、デジタルの進展によって、新しい価値創出が可能となるビジネスモデルに進化する点にも着目すべきだろう。

ここまで述べてきたように、これからのリーダー層にはデジタルの素養は不可欠となるが、一方でデジタルについて整理してインプットできる機会は限られている。また、一般論に留まらず、自社の課題に紐付けた理解が重要となる。

このような課題を解決するために、アビームコンサルティングが実施した、リーダー層向けのデジタルプログラムの取り組み事例をご紹介する。

図2 リーダー層向けデジタルプログラム例

図2 リーダー層向けデジタルプログラム例

アビームコンサルティングでは、研修だけでなく、個別インタビューや自社の状況の診断などのインプットも活用しながら、実践での活用や定着化が期待できるアプローチをご提案している。こうした取り組みはCDO(最高デジタル責任者)や人事などが起点となって取り組みを開始することがポイントとなる。リーダーシップレベルでのデジタル理解を促進し適切な意思決定を促すためには、デジタル世界の進化の過程を捉えることが効果的である。適切な意思決定を実現するためにはリーダー層といえども、学習の機会が必要となるだろう。

ABeam DX Insight

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