データドリブン思考でDXを実践、
産業界の変革をリードする

【対談】三井物産 執行役員 小日山 功氏 ×
アビームコンサルティング 山田 貴博氏
(日経ビジネス電子版Special)

データドリブン思考でDXを実践、産業界の変革をリードする

2022年6月9日

多くの企業がデータドリブンを指向したDX(デジタルトランスフォーメーション)を実践し、ビジネス変革に挑んでいる。こうした変革を根付かせる要諦とは何か。三井物産のICT部門を率いる小日山功氏と、新たなコーポレート・スローガン“Build Beyond As One.”を掲げ、ステークホルダーと一体となり、企業変革を通じて社会を変革する価値の共創を目指すアビームコンサルティングの山田貴博氏が語り合った。

 

事業の知見とICTの機能、両者の組み合わせが強み

山田 三井物産では、ICTの知見や多様な産業における事業の知見・データからDXを実践されています。まずは、その取り組みからお聞かせください。

小日山 当社では、ICT事業本部とコーポレート部門のデジタル総合戦略部の2つが中心となってDXを推進しています。デジタル総合戦略部は各事業本部のニーズに応じてDXを支援する部署です。一方、我々のICT事業本部は、ICT機能・ビジネス知見から事業現場のDXに切り込む立場。従来の業界慣習にとらわれず様々な形でDXを展開できます。
 さらに、ICT機能子会社を持つことで多種多様なDXの知見を蓄積し、新しいDXの提案に生かしています。これは他社にはない、三井物産ならではの差別化ポイントだと考えています。

山田 その強みを生かして、どのような取り組みをなさっていますか。

小日山 具体的な事例としては、当社が保有する海外プラントで故障予知を行うシステムを構築したり、ヘルスケアの領域で医療画像のAI解析や遠隔医療の普及に取り組んだりしています。

 AIを使って創薬の開発期間を短縮する事業や、病院の看護履歴のデジタル化による病院DXも新しい取り組みです。また、消費者ビジネスの知見とデジタルマーケティングの技術を足し合わせ、海外での「デジタル経済圏」構築にも挑戦したいと考えています。
 

三井物産株式会社 執行役員 ICT事業本部長 小日山 功氏
アビームコンサルティング株式会社 代表取締役副社長 山田 貴博氏

 

事業現場の1人ひとりがデータドリブンで行動する

山田 多岐にわたる事業知見、事業基盤から得られるデータやICT技術を活用して、既存ビジネスの価値向上や新たな事業価値の創造に取り組まれているわけですね。進める上で重要とお考えなのは、どのようなことでしょうか。

小日山 まずは、意識レベルの変革です。DXでは従来のような業務のデジタル化と違って、プロセス全体にわたる全体最適を図らなければなりません。自己否定をいとわず、個別最適から全体最適へと意識を変えることです。

 2つ目は、仕事のやり方を変えることに現場が抵抗しても、組織の長やトップが強い意志で臨むことです。

 3つ目は、我々全員がICTリテラシーを上げること。システムインテグレーターに丸投げしていると「本当は何がしたかったのか」も分からず、業務の棚卸しも不十分になりがちです。やはり我々が“ワイズ(賢い)ユーザー”でなければ、DXは進んでいきません。

山田 日本はこれまでずっと事業や顧客単位に個別最適化することが、商品・製品やサービスの付加価値であると認識され、そのため事業や顧客単位にサイロ化された取引や商習慣、業務プロセスやITが残り、今に至っています。全体最適へ向けてそれらを捨てる、見直していく勇気がトップのリーダーシップに必要なのはまったく同感です。

 では、企業の中に変革を根付かせるために最も重要なのは何かと言えば、人材育成、それも事業の現場におけるデータドリブン思考を持つDX人材の育成だと思うのです。三井物産ではどのように取り組んでおられますか。

小日山 データドリブン思考は人材育成の最重要ポイントです。ICT事業本部では、月次の売り上げなどの実績値を因数分解してKPIで表し、データを見ながら議論するように心掛けています。まず事業の本質をデータから読み取ること、そして自分なりにロジックを組んで分析し、その結果に基づいて「次に何をするか」を考えるのです。

山田 そうした取り組みは、まさにデータドリブン思考人材を育成する上での要諦だと思います。事業に関わる1人ひとりがそのような変革プロセスを身に付ける。それを各事業の現場で実践しているところがポイントだと思います。お客様やビジネスパートナーも巻き込んで加速し、産業全体にもスコープを広げていきたいですね。

小日山 データドリブン思考が広がれば、産業全体にも変革は根付いていくはず。そう考えて取り組んでいます。

 

バリューチェーンの全体最適へ事業基盤を持つ総合商社の出番

山田 取り組みを進める上で、我々のようなビジネスパートナーとの共創についてどのようにお考えですか。

小日山 DXでは物事の全体を俯瞰し、因数分解した上で再び組み合わせる力が必要です。我々も個々の機能は強いと自負しますが、それらを総合的にオーケストレーションするために、アビームさんの持つコンサルティング力が大変重要だと感じています。この共創の組み合わせは、とても絶妙な関係ではないでしょうか。

山田 総合的なオーケストレーションに加えて、事業側のDXの加速に向けて個別最適化されたビジネスモデルやビジネスのやり方の変革を、三井物産との共創により支援していくことが我々の存在価値です。コンサルタントだけではDXは実現できず、そこに三井物産の多岐にわたる事業基盤と知見・データ、変革の覚悟があるからこそ成立します。

最後に昨今、社会課題解決への貢献やサステナブルな成長の実現に向けて、SDGs・ESGなど新たな視点からのビジネスモデル変革がステークホルダーから求められています。「三井物産が描くデジタル時代の総合商社像」について、お話しいただけますか。

小日山 我々は様々な事業知見とICTの力を併せ持っています。その意味では、総合商社だからこそ、DXで産業を変えていくことができる。まさに、これからが我々の出番ではないかと。総合商社として様々なアセットを持つことが強みになる時代、これがもう一度来るのではないかと思っています。

山田 バリューチェーン全体での最適化において、事業基盤が多岐にわたる総合商社の果たす役割は大きいと考えています。様々なステークホルダーとの共創において、変革のリーダーシップを担っていただきたいですし、我々も共創を通じて、変革の加速化を支援していきます。本日はありがとうございました。
 

  • ※日経BPの許可により「日経ビジネス電子版」に掲載された広告から抜粋したものです。禁無断転載©日経BP

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