コニカミノルタ株式会社

コニカミノルタ株式会社

Customer Profile

会社名 コニカミノルタ株式会社
所在地 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー
設立 1936年12月22日
事業内容 オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、産業用材料・機器事業
資本金 37,519百万円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

アジャイルの原理原則の理解を深め、DXを加速する
ITアーキテクト人財育成プログラム

「課題解決型デジタルカンパニー」を目指すコニカミノルタでは、プロダクト事業からサービス事業へと事業ポートフォリオの転換に取り組んでいる。それを支えるのがITアーキテクト人財であり、その育成が急務となっている。そこで同社はアビームコンサルティングのITアーキテクト人財育成のためのトレーニングプログラムを採用し、2019年6月から半年間にわたる研修を実施した。その成果を受け、2020年度からITアーキテクト人財認定制度を実施し、ITアーキテクト人財の本格的な育成に乗り出した。

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 現場の運用を考慮していないITサービス
  • サービス開発を可能にするITアーキテクト人財の育成
  • アジャイルを理解したサービス開発ができる人財の育成

ABeam Solution

  • ITアーキテクト人財育成のためのトレーニングプログラム
  • 現場の定着を重視したプログラム内容
  • 豊富な現場経験による知見

導入後の効果

  • ITアーキテクト人財の育成と認定制度を実現
  • アジャイルの原理原則を理解した人財育成を開始
  • DXを推進するための意識改革

Story

アビームコンサルティングは当初期待した以上にITアーキテクト人財の育成に貢献してくれました。今後もITアーキテクト人財の育成に力を貸していただきたいと思います

 

コニカミノルタ株式会社
IoTサービスPF開発統括部
サービス開発部 課長
内藤 紘之 氏

Story

プロジェクトの背景

サービスの事業化に向けたITアーキテクト人財の育成を決定

 コニカミノルタは、カメラ・写真機材メーカーのコニカとミノルタが経営統合して2003年に誕生した企業である。同社は2006年にカメラ事業を終了し、創業以来の画像や色を核としたイメージング技術と全世界で約200万社の顧客とのつながりを生かして、企業が抱える課題を解決していく「課題解決型デジタルカンパニー」への変革に取り組んでいる。そのために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を主導する企業への飛躍を目指して、モノ売りからコト売りへと転換し、事業ポートフォリオを変えていくために、ITサービスソリューションをはじめとする事業を進めている。

 「現在、様々なITサービスを立ち上げていますが、残念ながら現場の運用を考慮したサービス設計ができていないことがあります。その結果、販売会社のサービス提供やお客様の利用段階で、想定していなかった課題が出てきて、テストやサービスの開始が遅れることになってしまうのです」とコニカミノルタ IoTサービスPF開発統括部 サービス開発部 課長 内藤紘之氏は語る。その原因は上流工程での要件プロセスの定義や計画の立案、変化に対する先の見通しができていないことにある。その背景にはコニカミノルタがもともと製造業であり、社員の考え方やスキルだけでなく、制度や仕組みを含めて、モノ売りを基準にした文化が残っていることがあった。

 そこで、コニカミノルタではITに関する知識を踏まえた上で、運用や社内プロセスなどビジネスやITのライフサイクル全体を広く捉えて、設計することができる人財が必要だと判断。そして、これをITアーキテクト人財と定義し、全社のシステム開発力の強化や人財育成プログラムの1つとして、育成を図ることにした。

Story

アビームコンサルティングの選定理由

アジャイル開発を含んだ現場で実行できる即時性を持ったプログラム内容

 コニカミノルタではITサービスを立ち上げる中で、アジャイル開発を積極的に取り入れてきた。関係者が少ない比較的規模の小さなプロジェクトでは、アジャイル開発は順調だった。ところが、ハードウェアやソフトウェアを開発するなど、エンジニアやサービス提供側の担当者といったたくさんの関係者が関わる必要がある大規模なプロジェクトではアジャイル開発が難航していたという。

 一般的にアジャイル開発では、ドキュメントを作成せず、計画も立てずに、クイックにPoC(実証実験)を実施して、できるものを優先すればいいと考える人が多い。しかし多くの人が関わる大きなプロジェクトでは、そのやり方ではうまくいかない。「ドキュメントがないことで齟齬が発生して、サービス開始が遅れたり、計画が見えていないために現場で判断ができなくなったりと、数々の問題が出てきたのです。そこでアジャイル開発を正しく理解して、プロジェクトを進めることができる人財を育てることが急務だと考えました」(内藤氏)。

トレーニングプログラム開発におけるポイント

ITアーキテクト人財育成のため、ITABoKをリファレンスとしたトレーニングプログラム開発・実施

ITABoKが定義する5つの共通知識体系

ITABoKが定義する5つの共通知識体系

 そこでコニカミノルタではITアーキテクト人財育成トレーニングを行うために、複数のコンサルティングファームの提案を比較検討し、最終的にアビームコンサルティングを研修実施会社に選んだ。

 アビームコンサルティングに決めた理由は、「講義と議論の繰り返しによる徹底的な定着」「課題に基づく自律的な学習スタイルの醸成と定着」「現業との並行実施を可能にするトレーニングプログラム」の3つを基本コンセプトとした提案が、コニカミノルタの考えに合致していたことにあった。加えて、アビームコンサルティングのプログラムは、アクティブラーニング方式で議論を交わし、現場に即した内容だった。

 一方、他社の提案は、アジャイル開発の手法や知識を座学中心で教えるのみで、実際のアジャイル開発の定着は現場任せだったという。

 「提案書の内容もITアーキテクトの定義を明確にして、ITアーキテクチャに関する普遍的な知識体系であるITABoKのフレームワークをプログラムに落とし込んで、研修するというプログラムであったことも評価しました」(内藤氏)。


私たちが提供できるのは、自分たちの事業領域に限られてしまいます。様々な業種の経験に基づいて、そのエッセンスを提供してくれたことに感謝しています

コニカミノルタ株式会社
IoTサービスPF開発統括部
サービス開発部 担当部長 工学博士
吉田 明子 氏

 

私たち受講者の様子を見ながら、一人ひとりに対して細かなサポートをしていただきました。自分から発言しやすい環境を作ってくれたのがとてもありがたかったです

コニカミノルタ株式会社
開発統括本部 バイオ要素技術開発室
アシスタントマネジャー
川野 達也 氏

Story

プロジェクトの目標と課題の解決策

ITアーキテクトの定義を基に現場での豊富な経験を盛り込んだ研修を実施

 アビームコンサルティングが提案したトレーニングプログラムは、ITアーキテクトとして普遍的に必要なものを定義し、それを具体的な教育内容として盛り込んでいく点を意識して策定した。そして、2019年6月から11月までの半年間、毎週1回2~3時間を研修にあてて、ITライフサイクル、要求開発の講義と実践、品質管理、アーキテクチャ概論、リーダーシップ概論と議論、設計概論・実践と議論、総合演習の7つの単元で24回行うことにした。

 参加者の経験やレベルはバラバラなので、研修ではアビームコンサルティングの講師が参加者の一挙手一投足に注目し、何気ない会話の中から受講者の問題意識や特性をつかむよう意識した。受講者一人ひとりに向き合うことで、現場での課題や問題点を洗い出し、受講者が研修内容を現場でも定着できることを目指した。「入社して11年ほどになりますが、下流の設計評価の経験はあったものの、ITライフサイクル全体を考える研修は受けたことがありませんでした。これからの仕事を考えたときに、ユーザーの要求や要件定義を考える必要があると思い、研修に参加しました」と受講したコニカミノルタ 開発統括本部 バイオ要素技術開発室 アシスタントマネジャー 川野達也氏は振り返る。

 コニカミノルタがアビームコンサルティングを選んだのは、講師が現場での経験が豊富だったことも挙げられる。現場で必要なことをリアルな言葉で話してもらいたいと考え、講師のキャリアについても着目。アビームコンサルティングから提案を受けた際は、彼らのコミュニケーション力の高さに共感を持った。そうした関係性が早い段階から構築されていたので、実際の研修は講師に安心して任せることができたという。

 「アビームコンサルティングの講師は本当にたくさんの事例を交えて話をしてくれたので、実感を伴って学ぶことができました。また知識は持っていても、現場での判断に生かすところまでは結びつけることができなかったのですが、豊富な開発経験を持つ講師の話を聞いて、自分の判断に自信を持てるようになりました」(川野氏)

 

想定トレーニングシステム

想定トレーニングシステム

Story

導入効果と今後の展望

受講者の研修内容への高い評価の上に、ITアーキテクト人財認定制度を開始

 研修は毎週1回、6カ月という長い期間なので、運営面では全員が毎回参加できるようにするための様々な工夫を行った。「受講者はただでさえ、忙しいので、毎回主体的に参加してもらえるようにするよう心掛けました。アビームコンサルティングの講師の協力を受けて、要所要所で講師自身の実体験を話してもらいました。その結果、毎回内容が面白くて、受講者も興味を持って参加できたので、欠席者もなく、研修を終えることができました」と研修を担当したコニカミノルタ IoTサービスPF開発統括部 サービス開発部 担当部長 工学博士 吉田明子氏は説明する。

 受講者のアンケートでは、どの単元も教え方、講義内容、参加メンバーの理解度の点でそれぞれ高い評価がされた。様々な気づきがあったというコメントも多く、特にITライフサイクルと要求開発の単元で際立っている。コニカミノルタ社内でも要素技術を教える研修はあるが、ライフサイクル全体を見た上で、それぞれを位置づけるというマクロ的視点とミクロ的視点を合わせた講義だったことから、受講者の気づきも多かった。「研修では講師から費用対効果を重視すべきことを繰り返し述べられました。そうしたことから、研修後は自分からユーザーのところに足を運んで話をして、すり合わせるのが一番効率がよいと考えるようになりました。今まではユーザーの要求を引き出す機会がなく、どうしても受け身になっていたところがありますが、今では自分から行動を起こせるようになっています」(川野氏)。

 アジャイル開発の考え方を学ぶ中で、小さくループを回して試しながら、成果物の確度を上げていくやり方ができるようになった。「チームの中で、小さくプロトタイプ開発をしながら、ユーザーに意見を聞いて、開発を進めることができるようになりました」(川野氏)。

 この成果の上にコニカミノルタでは、2020年度にはITアーキテクト認定制度を作って、人財の認定を行っている。認定制度は本人の社内でのアピールになるとともに、会社全体におけるITアーキテクト人財の割合の可視化にもなる。さらに、認定プロセスの中で、受講者に1時間かけて上司と部門長に向けて研修で身に付けたことの業務の中での生かし方を話してもらうことにした。研修で得た知識の定着と社内のキーマンにITアーキテクトとしてアピールをすることで、受講者が社内の変革の立役者になることを期待してのことだ。

 コニカミノルタでは今後、認定制度を拡充して、ITアーキテクト人財を社内で増やし、DXの推進に役立てていく考えだ。

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