ABeam Consulting

[プレスリリース]


print このページを印刷する
2008年4月23日
アビーム コンサルティング株式会社

アビーム コンサルティング、ビジネス・インテリジェンス導入企業における
BI活用実態の調査結果を発表
〜BI導入企業は全体の7割以上に達するものの、活用レベルには導入企業間で温度差〜

アビーム コンサルティング株式会社(以下:アビーム コンサルティング、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西岡 一正)は、経営や業務に関するデータを収集・分析し、意思決定や業務改善などに役立てるシステム、ビジネス・インテリジェンス(以下BI)導入企業における活用実態に関する調査を発表しました。
本調査は、アビーム コンサルティングが、2007年12月から2008年1 月にかけて実施したものです。主として連結売上高1,000億円以上の東証1部上場企業および有力未上場企業(外資系企業を含む)約600社を対象にアンケート調査を行い、61社から得た有効回答を詳細に分析しました。これまで、BIの導入実績やBIツール、BI市場に関する調査はありましたが、BI導入後のユーザー企業の「活用実態」に焦点をあて、導入企業がどのようにBIを活用しているかを調査分析したものは例が無く、本調査の大きな特長となっています。
■ 調査サマリー
【導入状況】
1. BIを導入済みと回答した企業は61社中45社で全体の74%を占めている。
2. 海外で事業を展開しているBI導入済み企業35社のうち、システム上で海外の財務データを参照できない企業が40%、非財務データを参照できない企業が34%に上る。また、システム上で海外の財務データが参照可能と回答した企業も、地域別で79%、事業部別で68%が参照可能と回答しているが、製品別で37%、顧客別で26%に留まり、海外データの収集・参照に課題があることが判明した。
3. BI導入後のデータ品質について、62%の企業が「一部問題が発生しているが業務に支障は無い」、7%の企業が「問題が発生しており、業務に支障が出ている」としており、回答企業の約7割がデータ品質に何かしらの問題があると認識している。問題の中身として「数値に整合性がない」(35%)、「データが欠損している」(32%)という回答が目立つ。
【BI導入効果】
1. BI導入で実現した効果を見ると、「多様な切り口によるデータ参照」(96%)、「レポート作成作業の省力化」(96%)、「レポーティングの早期化」(91%)、「適時でのデータ参照」(87%)といった可視化の効果については、導入企業の9割前後が効果ありと回答している。
2. 可視化の効果と比べると、分析的活用(※詳細資料導入効果の分類参照)の効果を実現できている企業は5〜6割に止まり、戦略的活用の効果に至ってはさらに少ないことが分かった。
【BI活用度と取り組み施策】
1. BI導入済み企業のうち、可視化の効果止まりの企業(活用度「低」)は33%、可視化だけでなく分析的活用でも効果を上げている企業(活用度「中」)は31%、さらに戦略的活用でも効果を上げている企業(活用度「高」)は36%という結果になった。
2. BIの効果を上げる施策の実施状況をBIの活用度別に分析した結果、BI活用度「中」のグループと活用度「低」のグループで実施状況に顕著な差がある項目:「経営トップによる、BI活用に対するリーダーシップの発揮」(活用度中50%、活用度低ゼロ)、「全社ポータル掲載によるレポートの共有」(活用度中64%、活用度低20%)、「BIの分析で得たナレッジの蓄積・共有」(活用度中36%、活用度低7%)、「ユーザーに対する非定型レポートの作成や分析の支援体制」(活用度中71%、活用度低47%)など全社的な取り組みの有無となった。
3. BI活用度「高」のグループと活用度「中」のグループを比較し、実施状況に顕著な差がある項目:「KPI(重要業績評価指標)の継続的改善・見直し」(活用度高63%、活用度中29%)、「KPIに対する責任分担の明確化」(活用度高44%、活用度中21%)など評価指標の活用の巧拙となった。
【考察】
1. BI導入企業であっても海外データの収集・参照に問題を抱えている企業は多く、グローバル企業における海外拠点の可視化の取り組みは今後の大きな課題といえる。
2. BI導入企業の多くは、データ品質に問題があるとの認識を示しており、データの資産価値を高める観点からも、企業はコード体系の統一などを通じてデータ品質の向上に取り組む必要がある。
3. BI導入企業のうち、可視化の段階で止まっている企業が約1/3ある。可視化だけで終わらせず、より経営や業務に具体的な効果をもたらすためには、全社的BI活用のための体制整備を進め、KPI(重要業績評価指標)を軸としたマネジメントサイクルを確立する必要がある。
【戦略的BIの実現に向けた提言】
アビーム コンサルティングでは、今回の調査結果をまとめた報告書『戦略的ビジネス・インテリジェンス〜BI活用実態調査〜』を作成しました。報告書では企業でのBI活用の動向や、調査結果を基に、企業の戦略的BIの実現に向けた企業の取るべき方策について例示しています(※詳細は調査レポート参照)。
1. データ標準とデータガバナンスの整備
2. BIコンピテンシーセンターの設置
3. 統合的なKPI管理の実現
4. プロセスKPIの活用
■ 調査に関するコメント
今回の調査を受け、アビーム コンサルティング BIイニシアチブ プリンシパル 中世古 操は、以下のように述べています。
「今回の調査で日本国内の多くの有力企業にBIが導入されている結果が出ました。しかしながら本来のBIの目的である企業経営や業務の意思決定に戦略的に役立てられていない実態もうかがえます。現在、企業において幅広い部門や職位のユーザーがBIを活用する傾向にある中、いかに企業内に蓄積された膨大なデータをBIとして、企業経営や業務の意思決定に役立てるか、経営者自身が中心となり自社のビジネス部門とIT部門を緊密に連携させて取り組んでいくことが必要といえます。」
【詳細資料】
■ 調査概要
■ 本調査での「ビジネス・インテリジェンス」の定義
本調査では、経営や業務に関するデータを組織的かつ系統的に蓄積し、それを加工・分析して、ビジネスの業績管理、意思決定、業務改善などに役立てるシステムを、ビジネス・インテリジェンス(BI)と定義しています。
■ 本調査でのBI導入効果の分類について
本調査では、設問中にBI導入の効果として以下の11項目を想定し、これらを実現の難易度によって、3つのグループに分類。これらを基に、BI導入済み45社を段階毎にグルーピングすると、活用度低15社(33%)、活用度中14社(31%)、活用度高16社(36%)となります。
なお、実際に回答企業を活用度毎のグルーピングする際は、以下のような基準に従っています。
【段階1】活用度低:可視化
可視化の効果以外に実現している効果が0〜1項目(効果あり5項目以下)
【段階2】活用度中:分析的活用
可視化の効果は全て実現し、それ以外の効果が2〜4項目(効果あり6〜8項目)
【段階3】活用度高:戦略的活用
可視化、分析的活用の効果は全て実現し、戦略的活用の効果が2項目以上(効果あり9項目以上)
■ 調査結果
1. BI導入済み企業は45社(74%)、導入予定も含めると8割強
今回の調査でBIを導入済みと回答した企業は45社で全体の74%に達した。導入予定も含めると8割強となり、日本の大手上場企業の多くがBIを活用し始めている状況であることがわかった。
2. 海外事業を展開しているBI導入企業のうち、海外の財務データを参照できない企業が40%、非財務データを参照できない企業が34%
海外で事業を展開しているBI導入済み企業35社のうち、海外の財務データをシステム上で参照可能と回答した企業は54%、非財務データを参照可能と回答した企業は51%と約半数に留まった。逆に、海外の財務データは参照不可が40%、非財務データは参照不可が34%にも上っている。 さらに、海外の財務データが参照可能と回答した企業でも、地域別(79%)、事業部別(68%)までが多く、反面、製品別(37%)、顧客別(26%)まで参照可能な企業は少なく、製品コードや顧客コードがグローバルで統一されていないことが読み取れる。このように、BI導入済み企業であっても、海外データの収集・参照に問題を抱えている企業は多い。このことは、グローバル企業が見える化を進める上で大きな課題といえる。


3. BI導入後のデータ品質について、約7割がデータ品質に何かしらの問題があると認識
BIで使用しているデータの品質については、62%の企業が「一部発生しているが業務に支障は無い」と回答している。「問題が発生しており、業務に支障が出ている」(7%)と合わせると、BI導入企業の7割がデータ品質に問題があると認識していることが分かる。
データ品質に関する問題の中身を詳しく見ると、「数値に整合性がない」(35%)、「データが欠損している」(32%)という回答が目立つ。


4. 9割前後の企業に導入効果、しかし可視化以上の効果を上げている企業は約半数に留まる
BI導入で実現した効果を見ると、「多様な切り口によるデータ参照」(96%)、「レポート作成作業の省力化」(96%)、「レポーティングの早期化」(91%)、「適時でのデータ参照」(87%)といった可視化の効果については、導入企業の9割前後が効果ありと回答している。
しかし、「可視化」効果と比べると、「分析的活用」、「戦略的活用」効果について、効果ありとする回答は大きく減少する。「分析的活用」効果については、「課題の早期把握による迅速な対応」(64%)、「情報共有による社内コミュニケーションの円滑化」(58%)、「問題点の原因究明による適切な対応」(49%)となっている。
「戦略的活用」効果となると、「効果的な施策の立案」(53%)、「業務プロセスの改善」(47%)、「顧客に対する理解の深耕」(33%)、「新商品/新サービスの開発」(11%)とさらに少ない。


5. BIの効果を上げる施策で、活用度低のグループの課題は「経営トップのリーダーシップの下での、全社でBIを活用できる仕組みの構築」
BI導入済み企業のうち、可視化の効果止まりの企業(活用度「低」)は33%、可視化だけでなく分析的活用でも効果を上げている企業(活用度「中」)は31%、さらに戦略的活用でも効果を上げている企業(活用度「高」)は36%という結果になった。
BIの効果を上げるための施策の実施状況について、BI活用度中のグループと活用度低のグループを比較すると、「経営トップによる、BI活用に対するリーダーシップの発揮」(活用度中50%、活用度低 ゼロ)、「全社ポータル掲載によるレポートの共有」(活用度中64%、活用度低20%)、「BIの分析で得たナレッジの蓄積・共有」(活用度中36%、活用度低7%)、「ユーザーに対する非定型レポートの作成や分析の支援体制」(活用度中71%、活用度低47%)で、回答に大きな開きがある。
「可視化」効果に加え、活用度低のグループが「分析的活用」効果を実現するためには、経営トップのリーダーシップの下で、全社でBIを活用できる仕組みを整備する必要がある。具体的には、全社ポータル掲載によるレポートの共有、BIの分析で得たナレッジの蓄積・共有、ユーザーに対する非定型レポートの作成や分析の支援体制などである。


6. BIの効果を上げる施策で、活用度中のグループの課題は「KPIの活用」と「ビジネス部門とIT部門との協業」
BIの効果を上げるための施策の実施状況を、BI活用度中のグループと活用度高のグループを比較すると、「KPI(重要業績評価指標)の継続的改善・見直し」(活用度高63%、活用度中29%)、「ビジネス部門の協力によるBI活用方法の検討」(活用度高75%、活用度中43%)、「KPIに対する責任分担の明確化」(活用度高44%、活用度中21%)で、回答に顕著な開きがあった。
「可視化」、「分析的活用」効果に加え、活用度中のグループが「戦略的活用」効果を実現するために、統合的なKPI管理を前提とした評価指標の適切な運用がポイントになる。また、ビジネス部門とIT部門のコラボレーション(協業)が不可欠である。そのためには、BIコンピテンシーセンター(BICC)と呼ばれるBI専門組織を設置することも考えられる。

本件に関するお問い合わせ先
アビーム コンサルティング株式会社
マーケティング部 広報担当 秋元
電話:03-3501-8355 FAX:03-5548-7237